初めての冒険
クランはまず名声を上げるために東西南北4つのダンジョンの最下層に行き、スタンプを押して帰ってくるのが通例である。4つのスタンプを集めるとクランランクが1つ上がり、冒険依頼などを受けることができるようになる。
これらのダンジョンは、小ダンジョン、つまり5人以下のパーティでないと入れないようになっている。
パーティBは南のダンジョンを目指し、パーティA「ドロン・バッハ・カラン・フェイ」の4人は北のダンジョンを目指して「防御壁のエリア外(通称:壁外エリア)」に出ていった。
ドロン「俺たちの最初の冒険だな」
バッハ「そうだね。エリア外に出たのは初めてだから緊張するよ」
カラン「そうそう、スキル狙いの盗賊が出るかもしれないしね」
フェイ「怖いこと言わないでよ。僕戦闘スキル持ってないんだから」
カラン「まぁここら辺に出る盗賊は単体だから大丈夫よ」
フェイ「え?そうなの?」
カラン「スキルの強奪はトドメを刺した人しか権利がないからね」
カラン「2人以上いたらスキルの取り合いになっちゃうでしょ?」
カラン「だから普通は単独行動が多いの」
カラン「上下関係のはっきりした盗賊集団もいるけど最近は目的情報はないみたいだから」
カラン「別の国をターゲットにしているのかもしれないね」
フェイ「なるほど」
カラン「まぁ、盗賊にとって一番欲しいスキルはフェイのスキルだろうけどね」
フェイ「え、、」
ドロン「襲う相手のスキルの強さが事前に分かるからな」
フェイ「そっか」
ドロン「まぁ俺が守ってやるから安心しな」
ドロン「それにスキルがなくても戦えるしな」
一応それなりの装備は整えた
16歳までみんなでアルバイトをして貯めた資金で購入したものだ
フェイ「そういえば、モンスターってスキル持ってるんだっけ?」
ドロン「持ってるって話は聞いたことないな」
カラン「モンスターは神から見放された種族だからね」
カラン「人間には神からの加護が与えられるけれど、モンスターにはそれがない」
カラン「でも、人間と同じようにスキルを奪うことはできるのよ」
バッハ「え、そうなの?じゃあスキルを持ってるモンスターもいるんだ」
カラン「いるわ」
カラン「でもスキルを持っているものは自然と序列が上がるから」
カラン「ボスと呼ばれるモンスターを支配する側にまわるのがほとんどよ」
フェイ「なるほどね」
フェイ「ってことはボスを倒せばスキルを得られる可能性があるってことか」
パーティAは周囲を警戒しながら北ダンジョンを目指すのであった。
みんな初めての「壁外エリア」ということもあり、緊張と興奮が入り混じった旅出となった。