表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

記憶無き少女

暗闇の中で、声が聴こえる。その声が何を言っているのかは分からないが、その言葉はきっと、私にとってはとても大切なことなのだろう。


強烈な明かりで目が覚める。視界の中には自分を照らす街灯と、星の一つも浮かばない黒い空。


背中にはひんやりとした硬い地面。


重い体を起こし、辺りを見回す。灯りの付いていない寂れたビルが自分を囲む。


私はここでいったい何をしていたのか、思い出そうとするとひどい頭痛に襲われる。


近くにあった段ボール箱の中を覗く。中には一丁の拳銃が入っていた。


(なんで箱にこんな物が?)


ひとまずそれを手に取り辺りを探索する。貧相な見た目の人たちが、あちらこちらにいる。


その人たちは皆私を見ると酷く怯えたような表情をする。


話しかけようと近づくとすぐに何処かへ逃げていってしまう。不思議に思いながら街を練り歩く。


「おいそこのお前、一旦止まれ。」


突然後ろから声をかけられる。


振り向くとそこには、石で作られた剣の様なものをこちらに向けている男と、拳銃を構えている女。


「えっと、貴方達は一体誰でしょうか?」


私の問いかけに対し、その人たちはこう返す。


「先にまずお前から答えろ。何をしにここへ来た。」


「えっと………分からない」


「あ?」


「分からないの、なんで私がここにいるのか、私が今まで何をしていたのか、全く分からないの。」


私の返答に相手は少し困惑し、もう一人と話し合う。


そしてもう一度私に質問をする。


「お前、自分の名前は分かるか?」


どうにかして思い出そうと記憶を辿る。


そして出てきた、おそらく私の名前であろう言葉。


「私の名前は………リルア、多分リルア、だと思う。」


男は少し悩んだあと私に対しこんなことを言った。


「おいお前、俺達の組織に入れ。行く宛ねーだろ。」


いきなりの勧誘。それに驚いている私には見向きもせず足早に歩いていく男。


「ごめんねリルアちゃん。とりあえず一旦付いてきてもらっていいかな。」


もう一人が謝りながら男の後に続き、私もとりあえずその後を追う。


しばらく歩いていると、とある建物の前で止まる。


どこかで見たことがあるように感じるが、同じ様な建物が多いため多分気のせいだろう。


建物の奥に入っていき、とある一室に案内された。


扉の反対方向には大きめのデスクとチェアがあり、中央にはソファーが置かれている。まるで社長室の様な部屋であった。


だが所々壁が欠けていたり、ソファーがボロボロなため、そこまで高貴なものには見えなかった。


奥の椅子に男が座り、私に話しかける。


「ようこそ、ここは組織「レジスタンス」。ここら一帯を仕切っている団体だ。」


レジスタンス、聞き馴染みは無いが初めて聞いたような気がしない。


「アントン、まずは一旦私達の自己紹介をしようよ。」


もう一人の女性が男に向かって言う。男も「そうだな」といった様子で頷く。


「始めまして、私はメル。ここレジスタンスのアンダーボスをしているよ、よろしくね。」


「俺はアントンだ、ここのボスをしている。早速だがお前をこの組織に入れる。拒否権は無い。」


「あ、えっと、始めまして。これからよろしくお願いします。」


いきなりの展開に頭がついていかない。とりあえずは私は「レジスタンス」と呼ばれる組織に加入したらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ