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ヴォイドアウト SF民が異世界攻略  作者: PonnyApp
8章 湖の街バイユール編
214/238

218 コーヴィルの呼び出し


 *    *    *    *


{ピンポンパンポーン! おはようございます。ロラン・ローグ、定刻になりました。恒星間年月日は統一星暦996年9月25日の7時、漂流してから21日目、バイユールを訪れてから5日目、昨晩は頑張りましたね!}

「……おう……ねむ」

{本日はリサさんと語学学習、川渡蜥蜴(リバーディーラ)の素材と洗濯物の回収タスクが残っていますよ!}

「準備したら飯行く……」


 ロランはまだ重たい頭を何とか目覚めさせようとした。

 昨夜は徹夜にはならなかったが、資料作りに没頭していたせいで疲労が溜まっていた。


 朝の支度を終えると、ロランはリサのいる部屋の扉をノックした。


「おはよう、ロランさん、エリクシルさん」

「{おはようございます}よく眠れました?」

「……おかげさまで。こんなに良い布団で寝られるなんて……なんてお礼を言ったらいいか」

「いいんですよ。さ、朝ご飯に行きましょう」


 リサは昨晩よりも血行が良く、肌ツヤも良くなっていた。

 軽く挨拶を済ませると、ロランはリサを連れてダイニングエリアへと向かう。


 食堂に入ると、ウェイターが丁寧に挨拶してきた。


「おはようございます。ロラン様。実はコーヴィル様より伝言を預かっております」

「えっ、コーヴィルさんから? なんだろ……」

「できれば正午前までに冒険者ギルドを訪ねて欲しいと言付かっております」

「……わかりました」


「ロランさん、なんだったの?」

「冒険者ギルドから呼び出しがあったようで……」

「呼び出し……」

《さて、どうしたもんか……》

{{用件が気になりますね}}


 リサと不安な面持ちのロランはウェイターに案内され、いつもの湖畔を一望できる席へと案内された。


 翡翠湖は、冬の訪れとともにその美しさを一層際立たせていた。

 湖面に映り込む朝日と、湖自体の美しいエメラルドグリーンが重なり合い、自然が織り成す壮大なパレットが目の前に広がる。


「わぁっ! すごい! 昨日は景色を楽しむ余裕なんてなかった。ここからの景色は随分綺麗だったんだね……!」

「でしょう! リクディア百景にも数えられているんですよ」


 不安も紛れるほどの素晴らしい光景にリサは表情をより一層明るくしていた。


「……さぁ、まずは腹ごしらえです」


 リサが朝食を楽しんでいる間、ロランはエリクシルと相談していた。


《コーヴィルさん、俺達がどう過ごしてるかの確認だったらいいんだけど》

{{それなら手紙や言伝で充分なはずです。これはなんらかの依頼が待っているような……}}

《依頼か……。さすがにリサさんをギルドに連れて行くのは良くねぇ気がする》


 ギルドでの仕事に彼女を巻き込むのは、あまりにも危険だろう。


{{そうですね。ここからは別行動がよろしいかと思います}}

《この三日間別行動のたびに宿に缶詰ってのもあれだし。本当に依頼で数日離れるとかだったら、ホテルにリサさんを預けっぱなしも心配だな》


 ロランは思案しながら、リサの顔をちらりと見た。

 彼女は無邪気に朝食を楽しみ、ロランの心配には気づいていないようだった。


{{まずはコーヴィルさんの用件を確認してからでも遅くはないと思いますが、最悪ニアさんを頼ることも考えなければなりませんね}}

《それは最終手段にしてえなぁ……まずは話を聞いてからにしよう》


 ニアに預けることで実践的な言語学習が進むだろうが、彼女が頼みを聞いてくれるのか。

 それにリサの負担も大きいだろう。

 エリクシルの言う通り、話しを聞いてから考えよう。


 食事を終えた後、ロランはリサに話を切り出すことにした。


「……リサさん。朝食の後、俺たちは冒険者ギルドにいかなければなりません。その間は宿で言語学習を進めてもらっても構いませんか?」

「……はい、私は大丈夫。ここにいる間なにかあったら、と思うと心配だけど……」

{心配ありませんよ。ここは安全ですし、用件を確認したら一度戻ってきます!}

「……わかった」


 一行は一度部屋へと戻り、ロランはリサに資料を手渡した。

 十数枚はあろうかというパピルスの束を受け取って、リサは目を丸くして驚いた。


「わわっ……スゴイ量」

「なんとか基本だけでもまとめてみました。これを学んだあとは実践が必要だとは思うんですけど」

{無理なく、休み休みで構いませんから}

「いえ、頑張ります。私、一応は……タラミス・コロニーの大学で異文化コミュニケーションの修士を取得したし、フォロンティア・ミルズでも異文化交流をしてたから、こういうことは得意なんです」


 リサは少し自信を持って言った。

 さっそくやる気を出してくれたことにロランは嬉しく思う。


「大学卒! すげぇ!」

{それならわたし達も安心ですね!}


 こうして、リサは資料に目を通しながら学習を進めることになり、ロランとエリクシルは冒険者ギルドへと向かうため、別行動を取ることにした。

 おっと、忘れずにリサの延泊料金を支払わねば。

 とりあえず1泊分だ。


 *    *    *    *


 ――支払い   540ルース

 ――所持金 6,075ルース

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