第二話 確認事項と身体検査
その後も質問は何度か続いた。
現在の会社で成し遂げた成果。自分の大切にしていること。強みや価値観。座右の銘など諸々聞かれた。
『他に選考中の異世界などございますか?』
あるわけねぇだろ。そう心の中で嘲笑する。
「いえ、御世界が第一希望です」
『かしこまりましったっと。最後に、何か聞いておきたいことなどございますか??』
「こ、これって夢じゃないんですよね?」
『は、はぁ。』
「あ、後最後に聞きたいことが! もし受かったらスキル、なんてものとかって…?」
『はい、もし内定でしたらエンタメ業界用のスキルを選んでいただきます。あちらに無スキルで転勤させるのはいささか危ないんでね。手当みたいなもんだと思ってください』
おおおお! 嬉しい! 急に行きたくなってきたぞ!!
『質問は以上でしたら、今日はこちらで面接の方は終了となります。ありがとうございましたぁ。結果は来週までに決めてお送りいたしますね』
「あ、ありがとうございました…」
一礼してドアを出る。
「お送りしますって、メールできたりすんのかな」
そんなくだらないことを考えながらドアを開けると俺の家につながっていた。
そこからまた、あのいつもの日常が続いてあっという間に1週間が過ぎた。
チリリリリリリリリ
「やっべ! 遅刻する!!」
とっくに異世界のことは忘れて日常に戻ってきていた。
定時に間に合うかどうかっ! 電車に駆け込む。
「あとちょっと!! 発車しないでくれっ!!!」
ダッシュで電車に駆け込んだ。
確かに駆け込んだはずだった。
目の前は面接室だ。
俺はドアの前に立っていた。
中に入ると前回の面接官とは違う女性が座っていた。
『ほ、本日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございますっ! わ、私、採用サポート担当のラプスと申しますっ!』
「は、はい。よろしくお願いします、でいいのか?」何が何だかよくわからない。
『ほ、帆尾様は異世界転勤の選考に内定されたため、こちらにお送りさせていただきました!』
おいおいおいおいちょっとまって。
お送りするって、直接お送りってこと? 送還ってことだったのかよ!! あの天使、それ先言ってくれよ。
まぁ、内定が出ただけ良しとしよう。ラプスちゃん可愛いし。
『そこでなんですけど。こ、こちらに記入事項があるので記載していただいてもよろしいでしょうか?』
ラプスちゃんの言うままに書類を作っていく。意思確認や保険組合の加入などだ。
へぇ、保険なんてあるのか。とか思いながら書き進めていく。
『い、以上になります! さ、最後にスキルを決めていただきますっ! エンタメ業界の方ですので、こ、これらの中からの選択になります!」
彼女は服からカプセルを3つ取り出した。
うーんと、なになに?
「コラージュ:物体を切り貼りする。」
「マルチプル:物体を増殖させる。」
「モデリング:物体の形を変える。」
うーーーん、悩ましい。どれも良さそう。
コラージュなんて絶対強い。物体を切り貼りできるなんて絶対強い。十中八九、切断技とか使えそう。
その一方でマルチプルも捨てがたい。レアアイテム増殖させて転売したら一気に金持ちだろうな。
モデリングも転売向きだな…
うーーーん、悩ましい。
ちょっと待てよ。俺はエンタメ業界人だ。
そんな自分のために使うようなスキルなら転勤する意味がない。
「よし、決めたぞ!!」
カプセルを開けると体が光に包まれる。
『神のご加護があらんことを
ラプスちゃんが祈っている。
暖かい。
数分でその光は消え、奥の部屋へと案内された。
『こ、こちらで身体検査とその調整が済みましたら、すぐにご出発いただきます!』
メジャーで身長を測る、体重を測るなどした。
『さ、さぁ、いよいよです! こちらからどうぞ!』
簡易なドアノブに手を添える。
「これ本当に異世界に繋がってるのか?」
恐る恐る開けてみる。
「うわっ!」
下は真っ暗で落ちる寸前だっt…
『えいっ!』
ラプスちゃんに後ろから押された。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!」
落下していく、俺。
ここまで読んでくださり誠にありがとうございます!
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どんな「カプセルトイ」が異世界にあったら面白いか、コメントで教えてくださると嬉しいです!!
皆さんのアイデアを色々反映させていきたいです!
好きな世界観をたらたら書いていきますが、応援いただけたら嬉しいです。
何卒宜しくお願い致します。