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第九話 ナガ帝国 ~話がナガすぎる!! あ、寒いこと言って、すいません~

「ヴィルガさん、この猿の本来の棲息(せいそく)地はどこなんでしょうか?」


「現在、コーナーモンキーと呼ばれるこの猿の棲息が確認されているのは、ダンジョンの周囲の山岳地帯のみよ。ただ、昔から棲息していたわけではなく、ナガ帝国が、この地に持ち込んだとされているわ。本来の棲息地は知られている限りでは、この世界のどこにも確認されていないし、過去においても棲息していないと考えられているわ。もっとも、私達が知りえない未知の大陸などがまだ、あるかもしれないけれど。ナガ帝国は世界の地理に関して、厳重に秘匿(ひとく)していて、ナガ帝国のあったと思われる大陸すらも、ナガ帝国の撤退後、幾度もの航海と探索を経て、ようやく、突き止められたのよ」


「ナガ帝国は撤退した後、滅亡したんですか?」


「ナガ帝国が滅亡したのかはわからないわ。私達にわかっているのは、三百年前のある時期にナガ帝国の民がみな、征服地域から引き揚げ、二度と戻ってこなかったということだけよ」


「その後、ナガ大陸に行った者はいないんですか」


「過去、ナガ大陸調査のための武装船団が、様々な国、組織によって、十三度にわたり、結成されているわ。中には二十隻を超える大船団もあった。しかし、無事に船が戻ってきたのは十三度目のみ、それもたった一隻よ」


 たった一隻のみとは、一体、どれだけの船と人が帰らなかったんだろうか……。


「戻ってこなかった船は一体どうなってしまったんでしょうか?」


「生還した者達の報告から、ナガ大陸の周りには、巨大な海獣がいて、それらに襲われ、海のもくずになったと考えられているわ」


 俺は絶句した。


「じゃあ、結局、ナガ大陸に辿りついた者はいまだいないということですか」


「いえ、最後の調査船団の航路は、海獣の数が少なかったため、五隻の船が辿(たど)り着くことができたわ」


「一体、彼らは何を見たんですか?」


「ナガ大陸についた彼らは魔獣が(あふ)れかえっているのを目にすることになったわ。多大な犠牲を払いながらも、彼らはどうにか、いくつかの町だったと思われる場所に辿り着くことができた。それらは、はるか昔に廃棄されたと思われ、人を見つけることはできなかったそうよ。しかし、ナガ帝国兵の駐屯地だったと思われる城塞で、ぼろぼろの大陸の地図を発見した彼らは、その地図に記されていた、はるか東にある大都市に向かう事にし、五隻の船の内の二隻は修繕が済み次第、海外線沿いに逆に進んで、探索を行うこととなったわ」


うーむ、危険のうずまく未知の大陸を探検する冒険家たち。わくわくする。


「大都市はやはり、廃墟(はいきょ)と化していて、人っ子一人いなかった。しかし、多数のナガ語の書物を回収することができたわ。彼らは沖合(おきあい)で、海外線沿いに進んでいた船が多数の海獣、鯨のように巨大な、しかし、鯨ではない何かに襲われ、あっという間に海に沈んでいくのを目にし、これまで、この大陸を目指し、戻ることのなかった船がどのような運命を辿ったのか悟った。その後、彼らは船の停泊地点に戻り、 生き残った者達で一隻の船に乗り込み、帰途につき、海獣に襲われることなく、戻ることができたというわけ」


 鯨のように巨大な、しかし、鯨ではない何かって何だよ……。背筋に冷たい物が走る。


「回収した書物には何が記されていたんですか」


「ナガ人達は征服地域の言語を理解し、文字を持たぬ者達には、表音文字を作り、与えもした。しかし、決して、ナガ語を教えようとはしなかった。だから、ナガ人たちが去った今となってはナガ語は謎の言語なのよ。書物に記されたナガ文字も当然、解読不可能よ」


「では、あまり大した収穫はなかったということですか」


「そうかしらね。いままで、ナガ人達がどこから、やってきたのかすらも、わからなかったのよ。しかし、彼らの本拠地かどうかはともかく、ナガ人達が文明を築き、暮らしていた居住地が見つかった。それだけでも大きな進歩だと私は思うわ」


 確かに、ナガ帝国の謎を解き明かす為の足掛かりができたことは大きな進歩といえるかもしれない。


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