予想外
案内の人はどれだけ戦えるんだろう。回復魔法が使いこなせることはわかってるけど。
「あなたは、できるのですか。戦闘が、拳を打ち合う事が、できるのですか。」
「いきなり質問ですか。どうでしょうね。一回殴ってみたらどうです?小さな受験生さん?」
「そうさせてもらいますね」
僕は拳を振るった。そしたら、通り抜けた。
「あなたの体はどうなってるんですか?」
「教えません」
「んーこれだとあなたに触れられません」
「そうでしょう。それがあなたの試験です。私に触れる事が目標ですね。どんな方法でもいいですよ」
しまった。魔法縛りなんてするんじゃなかった。拳でどうやってダメージを与えようか。
通り抜けるということは、僕みたいに残像を作ってるのか?んーでも、こんな長時間残像を作れるわけないしなぁ。魔法使えば余裕なんだけどなぁ。
「闇雲に殴ってみますね」
「ご自由に」
すり抜ける時は相手の体が歪むのか?んー歪まないなぁ。残像ではない事がわかったけれど、僕の知識では拳で切り抜けるのは難しい。
縛りっていいなぁ。新たな視点をもたらしてくれる。
「んーどーしよーかなー?」
「諦めますか?」
「いやー。まだ頑張ります」
色々試してみるか。
僕は拳をさっきよりも速く打ち込んだ。すり抜けた。
飛んで殴ってみた。すり抜けた。
足も使って攻撃してみた。すり抜けた。
「おぉーどーしよ」
「頑張っていますね」
これ使っちゃっていいかな?体術だし魔法に入らないかな?いいやいいや!これは魔法じゃない!
「すごい速く拳を打ってみますね」
僕は音よりも速く拳を打ってみた。
「わーお!君が言った通り速いね!」
余裕そうだな。驚きはないのか。もしかするとこの人は、魔法を使わないともったいない相手かな?
「魔法って使ってもいいですか?」
「私がいつ使っちゃダメと言いましたか?」
「わかりました。では使います」
重力魔法 誰も逃げられない沼
僕は真っ黒の丸を作り出す。片手くらいの大きさで、球体だ。周りの光を歪めて存在している。光だけを吸い込むように調整しているよ。
「これをぶつけてもあなたは生き残れますか?」
「無詠唱ですか!すごいですね!しかも、なんだか物々しい魔法ですね!いいでしょう!受けて立ちます!」
僕は丸を打ち出した。相手に近づいていく。
これですり抜ける原因に光が関わっていたらわかるはずだ。
だが、相手には当たらず。すり抜けたから効果はなかった。黒い丸は霧散した。
「んー魔法を使っても難しいとはねぇ」
「これを受かった人は一人もいません!私が試験官の時は誰も合格していないんですよ!」
「えぇーそれは試験官としてどうかと思うんですけど」
「いいのです!私が言ったらいいのです!」
強情だな。これは痛い目を見てもらわないとな。
風魔法 空気の調理師
僕は闘技場ごとスパスパ調理していく。
「あなたは何をしてもいいと言いました。この魔法を使えば何処で魔法を行使しているかわかる」
「うわわゎわゎわ」
さっきの投影されていた人が倒れて隅にいた人から出てきた。そこにいたのか。気づかなかったな。
「壊さないで!修理するの大変だから!」
「わかりました。では合格にしてくれますか?」
「ぐぬぬ。ご、合格にしよう」
いぇーい入学決定ー!
やったぁ!