人生の道
相手は僕が村長にした人だ。まさかこんなところで会うなんてね。
「どうやって僕がここにいるとわかったんですか?体が前と変わっているのに」
「なんだ!気づかなかったのか!追跡魔法でお前らの後をついてきただけだよ!」
「あ、だからあそこにいたんですか」
「あ?お前は知ってたのか?」
「あなたが僕を復讐しに来ると予想していましたから」
「それはよかったな!そして!残念だったな!お前はここで死ぬ」
「あなたは誰に勝負を挑んでいるのかわかりますか?あなたじゃ僕には叶わない」
「やってみないとわからない!ポイント!」
僕の体に赤い点が映った。
「スクランブル!」
僕の体が勝手に動く。腕と足をバタバタ動かし僕は倒れてしまった。
「お前にもこの魔法は効くんだな」
「なぜこの魔法をあなたの親が殺される時に使わなかったんです?」
「魔力切れだったからだ!くそ!私にあの時魔力があったら!」
そう言いながら村長は僕の体を絡めていく。
「クロス!」
僕の体が捻れていく。このまま放置すると骨がぼきぼきになりそうだ。
僕は赤い点を手で隠した。そしたら、僕の体の自由が戻った。
「なんで!なんで手を動かせた!」
「秘密です」
「うわああぁ!!!」
相手が殴ってくる。
「随分技の種類が少ないですね。がっかりしちゃいました。これで終わりにしましょう」
僕は相手に合わせて殴った。拳と拳がぶつかり合い、パァンという音が鳴った。
相手が闘技場の壁へ向かって吹き飛んだ。
「あなたには期待してるんです。あなたの憎しみを使って僕を攻撃してみてください」
相手が闘技場の中央へ戻ってきた。
「くそがぁぁぁぁ!!!」
「それはただの殴りですね。もっと憎しみを込めて殴ってください」
「あぁあぁぁああ!!!」
相手に変化が起きた。動きが少し速くなった。
「お、やりましたね。すごいですよ」
「なにが!」
「あなたは憎しみを力に変えた。んふふ」
僕は相手の拳を避ける。
「当たらなければ意味がない!」
「そこは問題ではありません。あなたは憎しみの使い方を覚えた。ここで一旦終わらせましょう」
僕は相手の拳を掴みとった。
「な、なんだ!私の手を破壊するのか!」
「いや、ちょっと話を聞いてもらいたかっただけです。あなたには二つの道がある」
「いきなりなんだ!」
「一つは復讐に生きる道。これが僕の理想ですね。対戦相手ができるので体が鈍らなくなります。
もう一つは復讐をしない道。僕を復讐するのにはあなたの人生じゃ足りない。そこで、あなたは復讐をせず、自由気ままに暮らす。さぁ、あなたはどっちがいいでしょうか?」
「…」
「まぁ、ここで答えは出ませんよね。これで僕の言いたいことは伝えられました」
僕は相手の首に手刀を落とした。
相手は気絶した。
「勝者、十二番!」
「よし、これで終わりですかね?」
案内の人に尋ねる。
「いえ、まだもう一つだけあります」
「なんですか?」
「私と戦ってもらいます!私が認めたらこの学校に入っていいですよ!」
「んーあなたは学長なんですか?」
「教えません」
そう言いながら、案内の人は僕の対面に立った。
「では、始めますよ」