予想通りの出会い
これまでの話のタイトルを変えたところがあります。話の内容は変わっていないです。
男の子と別れた。
「すみませーん。入学試験を受けたいでーす」
「はーい」
あれ、もうちょっとびっくりされると思ったんだけど。
「入学試験を受ける人は多いんですか?」
「毎年大勢の方が試験を受けます」
「なるほど。ここはどんなところですか?」
「あれ、知らないんですか?」
「魔法を学びたいと思ったのでここに来たんですけど、ほとんど調べてなくて」
「では、ご紹介します。魔法学校は魔法で頂点に立ちたい人が来る場所です。魔法の真髄がわかるところで、魔法に関わることは全て知ることができます。
ここで研究者になる人もいれば、王様や貴族に仕える人もいます。世間では、この学校に入れば将来は約束されたようなものと言われています。ただし、入学試験もそれだけ難しいのです」
「はぁーなんか僕にはもったいない気がしてきました」
「いえ、魔法を学びたいと志す人は大歓迎です。試験を今すぐにでも始めましょう!」
「はい。あ、僕って何をすればいいんですかね」
「今からご案内します。実技試験だけというのは知っていますよね?」
「いえ、知りません」
「えぇ!私達の学校も舐められたものですね。まぁ、いいでしょう。
この学校には試験が二つあります。一つは冬に開催される試験。実技試験と筆記試験の両方を見させていただきます。学校側が提示している点数を超えた人達は全員合格です。
次に、一年中受けられる試験ですね。ここでは実技試験だけが評価対象です。試験方法は会場に着くまでわかりません。そして、定員は一年で十人です。狭き門なのです。しかし、受かれば学費はなし。クラスも自分で決めることができます」
「それは凄いですね!やる気が出てきました!」
「では、ご案内します」
僕達は白い建物に入って行った。
そこには十人くらい人がいた。筋骨隆々の人がいたり、魔法の杖を持っている人がいたり。子供が僕を含めて二人しかいないな。
「これで、受験者は全員揃いましたかね」
さっき案内してくれた人が言う。
「皆さん!今日は遠路はるばるきてくれてありがとうございます!では、今日の試験を始めさせていただきます!」
どんな試験内容かな。
「皆さんはトーナメント制で戦ってもらいます。魔法を使うもよし、武術を使うもよしです。戦う場所はこの白い建物の闘技場です。では、私についてきてください」
僕はついていく。武術でもいいんだな。魔法学校なのに。だったら身体能力だけで魔法は使わないでおこう。
「着きました!最初の対戦者は十二番の人と二番の人です!」
え、僕番号もらってないんだけど。
「ごめんなさい。渡し忘れてました。これです」
僕に十二番のカードが渡される。えぇ!初戦僕?
「わ、わかりました。では、行ってきます」
僕と相手は闘技場の中央で構える。
「制限時間は五分。全力を出してもいいです。結界があるので外に被害はないので安心してください。危ないと思ったら私が間に入ります。では、よーいスタート!」
案内の人は力に自信があるんだな。少し戦ってみたいけどまずは相手を倒さないと。
「よそ見はいけない」
相手が剣を突き出してくる。風を切る音が聞こえるな。
「よそ見はしていませんよ。あなたの動きには最初から気づいてました」
僕は相手の剣を掴む。
「なに!」
「この剣柔らかいですね。刀ですか。もうちょっと強く作らないと割れてしまいますよ。こんな風に」
僕は手に力を込める。刀にヒビが入って刃が割れた。
「は?な、なぜ割れる。人間技じゃない。お前のどこにそんな力がある」
「人を見た目で判断してはいけませんよ。子供でも強い人は強いんですから」
「何を言って---」
僕は相手の顔に拳を叩き込んだ。相手は闘技場の壁まで吹っ飛んだ。
「あの人早く治療した方がいいですよ」
「あ、は、はい!勝者十二番!」
よし、勝てた。頑張って手加減したよ。案内の人がどれだけ治療魔法使えるかわからないからね。
「ヒール!」
相手の顔の傷が無くなっていく。案内の人の魔力量結構高いな。魔法も達人くらいまでは行ってるんじゃないか。
「ふぅ。治ってよかった。とりあえず闘技場の隅にこの人置いておきますね」
え、ベッドとかに寝かせないんだ。
「それでは、次の試合に移ります!」
試合はどんどん進んでいった。勝負は一瞬で終わることが大半だった。負けた人は闘技場の隅にゴミのように積まれている。みんな気絶しているからいいのかなぁ。
「これで第一試験は終わりました。次に第二試験を始めます。
さっきの試験とは違って三人です!三人で戦います!第一試験で六人まで絞れましたので、次は二人まで絞ろうと思います。
では、十二番の人!五番の人!七番の人!闘技場の中央に集まってください!」
また初戦かぁ。これってきた順番なのかぁ?いやでも僕のさっきの相手二番だったし。よくわからないな。
「よろしく!」
五番の人が筋骨隆々の人で、
「どーもです」
七番の人が杖を持ってる人だ。
「よろしくおねがいします」
「挨拶は終わりましたか?では、始め!」
んーどっちから倒そうかなー。あれ?どっちも僕の方を狙ってる?
「協力して強い者を倒す!これが俺の戦略だぁ!」
五番の人が殴りかかってくると同時に後ろの人が魔法を唱える。
「ホーリービーム」
魔法は僕と五番の人を狙って撃たれた。行使者から見たら僕と五番の人が重なっていただろう。考えたね。僕には当たらないけど。
「こっちに飛んできますよ」
「お前を倒すのが先だ!」
だめだ。聞いてない。僕が避けると同時にホーリービームが五番の人の体を貫いた。ホーリービームは意識を刈り取る魔法だ。当たったら精神力が強くないと倒れてしまう。
「な、なんで」
五番の人が気絶した。
「それは、あなたが背中を見せるからいけないんです。人を簡単に信用してはいけませんよ」
「協力した方が倒しやすかったんじゃない?裏切る人は僕の好みじゃない」
「あなたに好かれなくてもいいです。子供なのになんですかその物言いは。私みたいに敬語を使いましょう。ね、おチビさん」
挑発上手くない?この人。さっきの僕の試合見てて言ってるし、鋼のメンタルだね。
「では、さようなら」
僕は七番の人に近づいて拳をさっきと同じ強さで振った。ガギン!おっ障壁か。
「この障壁は私の魔力の半分を使って作りました。魔法が使えない子供にこの障壁は破れません」
絶対の自信はここからきてたんだな。んーでも破れそうだけどなぁ。あ、いいこと思いついた!
「んー硬いなぁ。僕では割れそうにないよ。だけど、連続で殴れば壊れるかも?」
「子供には破れませんよ。そして私もじっと見てるわけではありません。ウォーター!」
水が飛んできた。僕はびしょびしょになった。
「これでチェックメイトです。サンダー!」
僕は感電した。びりびりびり。
「痛いなぁ。もう。」
「な、なんで効かないの?」
「あれ、敬語じゃ無くなってるよ?」
「な、なんで!」
「あーもう仕方ないなあ。それじゃあ種を明かそう。あなたの魔法が弱かっただけだよ」
そう言って僕は障壁を五連発殴った。障壁が割れて魔法使いは吹っ飛んだ。
「あ、今回も吹っ飛ばしちゃった」
「勝者、十二番!」
よし勝ったぁ。順調順調。案内の人が傷を治していく。
「治療完了!次にまだ戦ってない三人は闘技場の中央に集まってください」
お、僕以外の子供が残ってるじゃん。頑張れー。
「では、始め!」
三人は走って近づいていく。そして手と手が触れ合う時、それは起こった。
ガン!強い音が聞こえた。大人同士がぶつかって気絶した。
え、そんなことある?絶対子供が魔法使ったでしょ。
「勝者、十一番!」
「これで第二試験が終わりました。続いて、第三試験を始めます。今生き残っている人で戦ってもらいます。ルールは先程と一緒です。十一番さん。休憩は欲しいですか?」
「いらない」
「十二番さん準備はよろしいですか?」
「はい」
「では、始めましょう!よーいスタート!」
相手がローブを外した。
「お前!この私が誰だかわかるか!」
「知っていましたよ。この会場に来てからわかりました」
「復讐家!お前を殺す!」
「かかってきてください。あなたとは一度戦いたかった」