迷いの子供
これからは話を分割して投稿することにしました!
亜人→魔人に変えました。
やぁ!僕だよ!いつもと変わらない朝だ。恨めしくなるほどに。
どうやら僕は人気みたいでね、毎日人が来るんだ。絶望が満ち満ちている、素晴らしい世界だね!
なんで朝に依頼者が来るかというと、この山の頂上付近の結界は朝しか人を通さないからね。
夜に頂上に来たら結界の近くにある家で待ってもらってるよ。
お、今日も人が来た。背が小さい。子供かな。
「……」
「どうしたの。何も言わないで」
「は、話しかけてくれた!ありがとう」
「話しかける事は普通じゃないかな?」
「私の村では、誰も話してくれないの!」
「そうなんだ。君は何か恨まれる事でもしたの?」
「してない!」
「ふむ。だったら何故無視するのかな。君に思い当たる事もないみたいだし」
「それは私もわからない!」
「村の人達は君と同じ?」
「ううん。体が白に近いオレンジで角は生えてないの!」
なんとなく予想がつく。この子は亜人だ。しかも魔人だから体が紫で紫色の角が生えている。他のところは人間と同じ。魔人だから山を登ることができたのだろう。
「君はどうしたい」
「みんなと仲良くしたい!」
「それだったら僕が助けてあげるよ」
誰かを殺すことになりそうだし。
「助けてくれるの!ありがとう!」
「では、僕を君の村に連れて行ってくれるかい?」
「わかった!」
「その前に」
僕は魔人に変わる。
変身魔法 心を描く体
「えぇー!私と一緒だったんだ!」
「そーだよ。さぁ、君の村へ出発だ」
「おぉー!」
僕達は山を降りていく。
南に一時間くらい歩いた後にその村が見えてきた。
「あそこにあるのが私の村!」
「なんか普通だね。木でできた建物が何個かある。人の高さくらいの柵もあるし。あそこの真ん中にある一番大きい建物は何?」
「村長の家だよ!」
「へぇー」
いい生活してそうだな。
村についた。子供と大人が家の外に出ていて、話し合ったり遊んでいたりしている。
「こんにちはー」
返事がない。笑えるほど無視されてるな。
「君の家はどこかな?」
「ここだよ!」
指で示された家は周りの家に比べてボロボロだった。壁と屋根はつぎはぎで補修されていて、痛々しい。家に入る。
「こんにちはー」
「あら、こんにちは。どうされましたか?」
この子のお母さんだろう。
「この子が案内してくれたんです」
「連れてきたよ!」
「まぁ!あなた一体どこに行ってたの!もう帰ってこないか心配だったんだから!」
「ごめんなさい。でも、お母さんが助けて欲しそうだったから」
「私のために!ありがとう!」
「えへへ。どういたしまして」
「でも、一人でもう外に出歩いちゃだめだよ?」
「なんで?」
「それは言えないの。ごめんね」
「わかった。それでね、この人が助けてくれるんだって!」
お、僕に話がまわってきた。
「どうも。見ての通り魔人です」
「そこは名前を言うんじゃないでしょうか」
「言えない事情があるんですよ」
「そうなんですか」
「はい。では、少し話をしませんか?二人きりで」
「はぁ、いいですよ。フーア、その部屋で待っててね」
「うん」
フーアが他の部屋に行く。
「突然ですみませんが、何故村人達はあなた達を無視するのですか?」
「私と娘は三年前、この村に来ました。
食料も水もなく、途方に暮れていたところでこの村を見つけました。村人達は快く受け入れてくれて、住む場所も与えてくれたんです。
だけど、一週間前村長がお亡くなりになりました。そこから、私達の生活が一変しました。新しい村長は村長のお子様でした。性格は野蛮で、村人からも嫌われていました。村長は村長の家族から決められるので仕方がないのです。
新村長は私達魔人を差別してきました。村人に魔人を無視するように命令しました」
「逆らう村人はいなかったのですか?」
「逆らえばこの村から追放すると言われて、どうしようもなかったんです」
「なるほど。なんとなくわかりました。では、ここからは別の話です」
「なんですか?」
「あなたは、村長に復讐したいですか?」
「ふ、復讐ですか」
「はい」
「村長を変えてくれるなら、したいです」
「わかりました。その言葉を聞ければ大丈夫です。僕もこの村に住みます!」
「え?」
「僕の魅力で村人達の人気者になります!そこで、村人を味方につけて村長を追放するのです!」
「そんなことができるのですか?」
「はい」
「あなたを信じるには証拠がありません。でも、住むのなら村長の家へ行けば住むことができます。私達が案内したとは言わないでくださいね」
「わかってますよ。では、今から行ってきますね」
僕は家を出た。