姉妹の予防接種。
美那side
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「よく頑張ったねー」
「ありがとうございました、2週間後にまたお願いします」
「はーい、受付でお願いします。」
今年もやってきた、この季節。
外来のほとんどがこれ。
そう、インフルエンザの予防接種。
毎年姉妹4人みんなで外来が終わったあとの診察室を借りて行う。
芽衣の2回目は別だけど。
...今年も芽衣頑張ってくれるかな...
インフルエンザの予防接種と風邪で来た時の注射の泣き方は違う。
...元気だからますます泣き暴れるかなぁー...
「桜井先生〜」
「あ、どうもです!」
「今年も姉妹でやられるんですか?笑」
「あー、じゃあ三日後の週末にやろうかな」
「じゃあ芽衣ちゃんの心の準備が必要ですね!」
早いもので3日後の金曜日。
「美那ー」
「あっ桜〜」
「これ持ってきたよー」
「ありがと〜これから葵と芽衣来るからね」
「...がんばれ芽衣」
「同じく」
それから順番会議してたら葵&芽衣到着。
順番は、私→芽衣→葵→桜にした。
芽衣は3人分見てると怖くて見てるだけで泣いちゃうからね...笑
だからといって1番目でも怖いからね、
「じゃあやりますか、」
「...ふぇ、...」
「じゃあ美那のは桜がやってねー」
「おっけー」
桜が私の聴診をして消毒をして...と準備をする。
...桜に診られるなんて不思議な感覚だ。笑
するとチクッと感覚がする。
私からしたら昨日棚にぶつけた小指の方が痛いけどなぁ..
「よし、頑張れ芽衣」
「...んーん!やーじゃ!グズん」
「ちょっと聴診するからねー」
なんか足すごい伸ばして体曲がってるし脱走体形じゃんもう笑
「ふ、ふぇ、ふぇぇぇぇん....」
「葵そんな首まであげなくて大丈夫だよー」
「雑音なし?」
「うん、大丈夫かな」
「ふぇぇぇぇ、ん、んあーーんうええええん」
「じゃあ消毒ね」
「うぇぇぇぇええええええええん」
「はい頑張るよぉ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああんぶぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんぶしゃあああああぁぁぁぁああああああああぁぁぁ!!」
「終わり!」
また鼻水吹いて...汗
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」
「まぁいいや次葵のやるから桜は芽衣あやしてて」
「...お姉ちゃん?」
「ん?」
「あの、桜先の方がいいんじゃないかな?」
「なんで?」
「あの、わ、私の方が芽衣泣き止ませられる自信あるし、」
「あ、いいよ」
?なんかよく分からないけどいいや
「桜ー」
「ん」
「はい大丈夫刺すよ321」
「て」
「終了」
会話少なすぎてもうこれなんなのってレベル笑
...私と桜の関係ってなんなんだろうね〜
「あ!芽衣病院の雰囲気怖いみたいだから車戻って童謡でもかけとくわー」
「あ、分かった、さ、葵」
いきなり後ろから暖かい感覚がする。
め、芽衣?
「ご、ごめん、ね、お姉ちゃん、わ、私無理」
「大丈夫。」
葵...。
素直にびっくりしたけどここは私が動揺しちゃだめだよね、
すると葵は服を少しだけ捲った。
「雑音ないしいいよ」
芽衣の泣き声と桜の声がなくなるとすごく静か。
「や、やっぱり、...しないと、ダメ?」
「うん、...大好きな家族がインフルエンザなっちゃったら嫌だから、..辛いから。」
震える葵の腕。
...大丈夫、ここなら刺せる...
注射器の中の液が震える葵の腕に入っていく。
「お姉ちゃん...」
芽衣の前じゃ泣けなかった葵。
芽衣くらいに可愛くなってきて、...思わず抱きしめた。
外では泣きじゃくる芽衣の声...
みんな頑張ったね、...
なんか暖かい気持ちになった今年の予防接種でした。