桜井家の楽しい日常
美那side
「芽衣、起きて!幼稚園行くよ!」
「...」
「めーい!おはよー」
「...にぇむぃ」
「もー...幼稚園だよ??」
「んーん、にぇーむぃにょ」
「今日は幼稚園でお遊戯の練習?」
「...しょ」
芽衣はおそらくそう、と言いたいのだろう。
しかし滑舌のなってない芽衣だからしょ、と聞こえる。
いつものことだけど...なんかたまにそれが愛おしくなる時がある。
「美那!!」
「はーい?桜?」
「うん、今日オペだから葵と行ってるよ!私の車使うから!」
「分かったー気をつけて」
私はそう言って寝室から顔を出して階段の下の2人に手を振る。
...桜のオペって里山さんの移植だっけっかな...不安だなぁ...。と仕事のことも考えつつ芽衣に目をやる。
「めーい!お姉ちゃんもう行っちゃうよ!」
「...んーいやなのにぇむぃの」
「また夜お姉ちゃんと寝ようね」
「いーまぁ!おねえたんと!にぇん!にょ!」
「だーめ、朝ごはんクロワッサンだよー起きてー」
「...じゃっきょ」(だっこ)
「いーよ、降りよ」
芽衣の小さな体を持ち上げる。
肩に顔を伏せてくる芽衣は眠そうの一言。
顔洗い、歯磨き、お着替え。それから幼稚園に送るのも私。
「ほら、芽衣。幼稚園ついたよー」
「...やぁだぁ...」
「ほらお友達とお遊戯するんでしょ?」
「...だけどおねえたんとがいーいー...」
「お姉ちゃんお仕事だよー」
「...んーんーやーぁだ」
先「あっおはようございます〜」
「おはようございますー、ほら幼稚園の先生来たよ。」
先「芽衣ちゃーん、おはよーう。幼稚園だよ〜」
「...おねぇたん...んーん...」
先「ふふ、それじゃあお預かりしますねー」
「はい、お願いしますー」
「...ん...ふぇ、ふぇぇぇぇん...泣」
先「それでは失礼します〜」
軽く会釈をして幼稚園を去る。
...毎回この時間には泣いちゃうし心がもたないよなぁ...。
まぁ幼稚園ってそういうものだししょうがないけどさ、
私は車でそのまま病院へと向かった。
「桜井先生おはようございます〜」
「おはようございます!里山さんのオペどんな感じですか?」
「順調ですよ!そんなに大変ではなさそうなので3時間後には終わると、」
「わかりました、ありがとうございます」
こう見えて私は小児科医。
...最初は向いてないかななんて思ったけど意外とはかどる。
回診、オペの報告、外来、レポートの整理なんてしれてればもう夕方。
今日は葵が芽衣迎えに行ったとのこと...あと3時間はできるかな。
それから3時間半後、車で家に戻った。
「ただいまー」
「おかえり〜」
「おきゃえぃ」
「お姉ちゃん夕食食べてないよね?」
「もちろん...もしかして作ってくれた?」
「うん!芽衣が野菜の皮むきとか手伝ってくれたの!ちょっと待っててねー」
...ありがたいなぁ。
「おねえたん!」
「めい〜」
「じゃいしゅき!」(だいすき)
その後、芽衣を膝に乗せながら夕食をとってお風呂も一緒に入り一緒に寝ました。
芽衣はお風呂でたくさん遊んですやすや。
いつも通りの楽しい日常でした。