芽衣の滑舌
葵side
「おねえたん!」
「なーに?」
「あにょにぇ、きょうにぇ、ねんちょうしゃんがね、いなくにゃっちゃっちゃにょ。」
「めいにも年下ができるんだね」
「ちょちちちゃ?」
「そう。芽衣より小さい子。」
「しょうにゃんじゃぁ」
昨日の夜それを聞いた美那が芽衣の大嫌いな病院に連れてきた。
...もちろん不安な芽衣のため私もね。
「...おねえたんこわぃよぉ...」
目の前には、今まで発熱や喘息で病院に来た芽衣には知らない機械。
「お姉ちゃん...なんで連れてきたの?怖がってんじゃん。」
「小児の病気として構音障害...っていうものがあってね、...まぁそこまで重いわけではないんだけど。
幼稚園の先生にも気になるところとして言われたし...なによりみんなに馬鹿にされたら可哀想だなって思って。」
...いまいち納得できないけど。
まぁいいや
「桜井芽衣さーん」
芽衣を抱っこして診察室に入る。
芽衣は不安になったのか、私の肩をつかむ力を強める。
「それでは芽衣ちゃん、先生の言うこと真似してね」
美那が先生の質問に答えたあと、謎の芽衣の検査が始まる。
...泣かないといいけど。
私は芽衣を抱っこしてるのを逆向きにして後ろから抱きしめた。
「せんせい」
「ちぇんちぇえ」
「こうえん」
「きょうえん」
「ようちえん」
「よおちえん」
「ねこ」
「にぇきょ」
「なにぬねの」
「にゃににぬにぇにょ」
「かきくけこ」
「きゃききゅきぇきょ」
芽衣は多少怖がりながらも一生懸命に言葉を繰り返してる。
...たしかに、...過保護の美那が心配する部分もあるかなぁ、..
「そしたら次は聴力検査をします。」
「はい」
「あ、家族の方はそこで待っててください」
「...は、い...」
「芽衣、いける?」
「...ふぇ、いけな、ぁいんぁぁぁぁぁぁぁぁぁあん....」
「...あの、何も喋りません、抱くだけです...入れませんか、?」
仕方なく了承を得て芽衣を抱きしめながら検査をした。
その後も、言葉の真似をしながら顎や耳を触られたりとかして泣きそうになりながらも芽衣は頑張った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
待合室に戻ったらずっと我慢してた涙が。
「怖かったねー芽衣ー頑張ったよ〜...」
美那によると一応それっぽい感じはあったけど治りますってことで来週からトレーニングをすることになったそうです。
...芽衣、過保護な姉をありがと。大好き。