EP20 テレサ④
8月13~16まで、お休みします^^夏休み。
朝、部屋に入ると私の椅子に、バッチいおじさんが座ってる!
「あんたが雪姫か。噂は聞いてるぜ」
しかも、このおっさんの臭い。相当臭う。と言うか気が遠のくレベルだ。
「雪姫様、紹介致します。情報部部長のボンド様です」
情報部?いたんだ部長。
部なのに「係長」しか出てこないから、変だとは思っていたが、このバッチくて、臭いおっさんが?
「ああ、すまんすまん。一度ギルマスの椅子って、座ってみたかったから」
顔をしかめる私に気が付いたのか、謝りながら、ボンドおっさんは立ち上がるが、周囲に臭いをまき散らす。
「エラーエラー、臭覚センサーに致命的エラーを感知」
機械的な声が、マリアから流れ、口から煙を出して停止した。
リアちゃんはハンカチで鼻を覆っていたが、マリアは無防備。
失礼だとか考えたのだろう。要修理でルルちゃんの出番だ。
「あん?そんなに臭うか?」
ボンドおじさんは、自分の匂いを嗅ぐが、ギア族破壊臭は、自分では分からないようだ。
「だから申し上げました。嫌われると」
ギャリソンがボンドさんを見下ろす。
「先に風呂か」
「ご案内いたします」
ハンカチで鼻を覆うリアちゃんに連れられ、ボンドさんは出て行った。
「ギャリソンいいかな?この椅子、焼却処分」
「いや、すまんすまん。長い移動だと、つい我を忘れて走るから、身だしなみには気が回らなくてな」
回らないレベルじゃないぞ。
がさつだ。無精ひげに角ばった顔。角刈りに広い肩幅。
男臭さの塊だ。
同じ情報部でも、紳士的なジェームス係長とは、まるで別タイプ。
「やっと息が出来ます。流石に小一時間はきついですな」
小一時間息止めてたの?聖霊ってすごいな。
「ギルドマスター、改めて自己紹介だ。情報部最高責任者のボンド。外回り専門の情報屋だ」
「情報部には助けられてるよ。よろしく」
大人の対応をしたが、リアちゃんが戻ってこないことが気になった。
「向こうさんは、3人だ。日時は、こっち任せで良いとさ」
3人?こっち任せ?って、まさか魔人族の?
「滞在時間は3~4時間ってとこか?魔人族の王様が、迷惑かけたくないと、気にしてたからな」
おいおい。じゃあんたが?
「ヒアリ族の情報、感謝してると伝えたぜ」
ジェームス係長に伝言を頼んだが、この人が魔人族とコンタクトが取れるって言う、人なのか?
「魔人族はゲートが使えない。俺も大っ嫌いだからな、気が合う。だから仲良しさ」
そんなことで?気が合うとか言うレベルなのか?
「なので、奴らはゲート石を持っていない。だからキキを借りていく。来るときはゲートで来て貰わんと、騒ぎになるからな」
キキさんなら、制限なくゲートを開けるから、適任だ。
「最短で5日後か?」
「王様の都合もあるから、聞いてみる。ギャリソン、王様に日程確認してもらえる」
ギャリソンは別室へ行く。この部屋には2人だけになる。
ブルックやアーロン君、テレサたちは、たぶん逃げた。
このおっさん、臭いのは毎度の事だろう。
「聞いたぞ。キメラの話」
「情報部は何か持ってないの?」
「ない。今回に限り、キメラの情報は手に入れられなかった。徹底した情報操作が行われたようだ。情報部としては完敗だな」
うちの情報部が、完敗とは・・・。
「相手は国家クラス。厄介にならなけりゃいいがな」
「魔人族は考えて居ないんだ?」
聞き難くはなかった。が、少し意外だったようだ。
「へぇ~。マスターは考えてるのかい?」
聞き返されたか・・・。試すつもりだな。
「無いと思う。でも可能性は捨てきれない」
「なるほど、その一言で分かったよ。ジェームスが入れ込む訳がな」
???
「普通は『疑う』と言う言葉を使うもんだ。だがマスターは『考える』を使った。
疑心は目を曇らせる。真実は、曇った目では見ることはできない。
考えて考え抜いた先に、見えないものが浮かんでくる」
よくわからないけど、それって答えになってないよね?
「魔人族がキメラに関与か?あったら、とっくに昆虫族を倒してる。
それに、彼らは、俺たちが考えていたより、遥かに倫理観に重きを置いていた。戦闘も放棄し、防衛戦闘のみだ」
魔人族が倫理観?
「ここだけの話だ。他言するな。王にも言うなよ。『魔人族は滅びかけている』」
!?
「遺伝子の限界、と言う奴でな。同族による繁殖に限界が来てる」
それで人類と・・・。
「彼らの希望は『テレサ』だ。人類と共存することで、種を残したいと考えた。
で、どうすれば、人類に受け入れてもらえるか?
彼らは真剣に考え、高い倫理観を身に着け、将来的に人類との共存を見据えて来た」
そうだったのか。なら人類を攻撃など、するはずがない。
「雪姫様、王様は本件を最優先とするそうです。予定は任せるとのことでございます」
ギャリソンが戻る。
こっち任せなら、7日後にしよう。7日後のお昼12:00。
「お待たせしました」
ジェームス係長と、キキさん、そして情報部に配属した飛鳥さんが来た。
キキさんの顔が、曇りまくっていた。
「キキ、頼むぞ。今回は大仕事だからな」
ボンドさんが言うが、キキさんは、今にも泣きだしそうだ。
「キキちゃん?どうかしたの?」
私が聞くと、意外な答えが返ってくる。
『ボンド部長に同行とか、死んだほうがましです!』
え?
魔人族との交流、魔人族は敵か味方か?




