EP20 テレサ①
計らずとも素晴らしい歌を披露したテレサ。話の途中だったギルド入会時の話からEP20は始まります。
テレサ、魔人族と人間の間に生まれた娘。
テレサの母『アイラ』は、ペイン国のオリンポス山脈の麓、海に近い小さな村で暮らしていた。
浜で、海藻を取る仕事をしていたアイラは、ある日、波打ち際に人が倒れて居る事に気が付く。
駆け寄ると、倒れているのは魔人。
魔人は人類の敵。1500年前まで、人類を滅ぼそうとしていた悪魔。
助けたりはしない。が、アイラは、わずかに意識の有る魔人を、見殺しにはしなかった。
家に運び込むと、手厚く介抱した。
アイラは、早くに両親を失い祖母に育てられ、命の尊さを学んでいた。
その高い倫理観が、例え悪魔でも、見殺しには出来なかった。
助らえた魔人は『オーグ』と名乗り、感謝の意を表した。
王から密命を受け、人類域へ海路で向かう途中に難破したと、説明した。
アイラが『悪魔』と思っていた魔人と、オーグは全く違っていた。
話し方は紳士的で、話の内容は知的だった。
そんなオーグに、アイラは魅かれていく。
アイラの介護で、オーグは次第に傷も癒え、元気になる。
そして「数日後に、迎えが来る」と、アイラに伝える。
別れの日が迫る。
アイラは想いを告げた。
そして、一夜限りの契りが結ばれる。
アイラは、半魔人の子、テレサを身ごもる。
テレサを生んだアイラは、村を追われ、国を追われ、隠れるようにルーランの山の中で暮らしていた。
アイラは、村の人も、国の人も恨まなかった。
テレサに、優しく、美しくあれと教える。
テレサもそんな母を慕い、真っ直ぐに育つ。
テレサ15歳の時、母が病気で倒れる。
母を助けたい。この想いがテレサを下山させた。
山を下り、人里に助けを求める決意をする。
過去に何度か、人と出会い、嫌な思いをしているテレサ。
化け物扱い、モンスター扱いされた記憶が、身を縮ませる。
山を下り、人里に入ると、やはりテレサは、化け物扱いだった。
戸は固く閉じられ、誰も話を聞いてはくれない。
モノを投げつけられ追い返される。
「私は化け物だ」
黒い思いが胸に湧き上がる。が、それでもテレサは、人を恨まなかった。
諦めず、次の村へ向かうテレサ。森の中を進むテレサに、声が掛かる。
「貴女キレイ」
妖精リームだった。
妖精のリームは、テレサの心の美しさに、見惚れた。
「こまってる?」
リームはテレサの話を聞くと、近くの館に行くことを勧めた。
マックスの館だ。
リームは、白姫とマックスを知っていた。
2人の綺麗な心を見ていた。
リームに教えられ、テレサはマックスの館の戸を叩く。
「だから!CDもファンクラブもないって!」
これで何度目だ。この怒鳴り声をあげたのは。
私は叩きつけるように電話を切る。
「マスター、受付から救援要請です」
「雪姫様、電話対応が悪とのクレームでございます」
無いモノを無いと言っただけで、私に対してクレームが入りまくる。
王都襲撃の夜。
テレサがバックスクリーンの上で、歌に魔法を乗せて、広域防御を行った。
その時の映像がTVで流れた。
テレサに関する問い合わせが、止まらない。
半魔人と言うだけで、テレサはナイスバディーの可愛い女の子だ。
肌が青く、角が生えてるだけだ。
毛むくじゃらで、牙の有るブルックと、たいして変わらない。
『半魔人』これだけで、忌み嫌われる存在。
が、この度、TV映像で流れたテレサは、『王都を守る、歌姫』と報じられた。
元々が、イメージの悪さだけの話。
イメージが良く成れば、『半魔人』も『獣人』も変わりはない。
テレサの情報は、ほとんど出回っていない。
スノープリンセスの幹部、と言う程度だ。
そこで、情報を求めた、にわかファンが、ギルドに問い合わせをして来る。
マリアと同じ事務所・・とか訳の分からない事を言う奴もいる。
事務所ってなんだよ!
ギルドだよ!
「すみません、私のせいで」
テレサが謝るが、テレサが悪いわけではない。
「この際、ファンクラブを設けては如何でしょう?」
人前に出れない歌姫か?
やっと学校の先生が慣れてきたレベルだ。ファンの前に出るのは・・・。
「雲隠れしたいです」
そうなるよね。
「雪姫、TV局が話があるってさ」
受付に救援に行っていたサマンサが、よりによってを連れて来た。
「テレサさんの、マネージャー様は?」
居ないよ。そんなの。
「ガオガオガオ」
「ダイル様は、私がマネージャーです、と申しております」
おい。いつからだ?
「テレサに関する活動は、全て僕を通して貰わないと困りますね」
アーロン君もか?
「挨拶なら、まずは社長の俺にだ」
社長だと!?
当のテレサは、テーブルの下に潜ってしまっている。
テレサに芸能活動は無理だ。
「困ります・・許可を取っていただきませんと」
入り口でギャリソンと揉めていたのは、カメラクルー。
TVカメラまで持ち込んでいたのか?
「私、ルーランTVプロデューサーの『ガッツ』と申します。是非テレサさんの特集を組みたくて、参りました」
「ガオガオガオ」
「ダイル様は、オーナの許可が要る、と仰っております」
「姫、如何しましょう?」
「雪姫、どうする?」
私?オーナとか言うのは私?
撮影クルーが入り込む。私にマイクを向ける。
「テレサはね、アイドルではないの。だからデビューとか、特集は無し。話はおしまい。さっさと出てけ!」
きっぱり断る。
「雪姫様、愛想が宜しくありませんな。ギルドとしては経営もございますので、多少は営業スマイルを入れた方が、よろしいと思いますが」
ギャリソンがタブレットを見ながら・・・これって、生放送中か!?
一斉に電話が鳴り始める。
おい!って感じのラスト。この手の終わり方が好きなんですが、中々うまく書けなくて・・。




