EP19 祭りの日に⑤
テレサの名前は、歌姫から頂きました。
目標になるので、王都の明かりは全て消すように指示が出ている。
月夜の明かりが、王都を静かに照らす。
王都を、静寂が包み込む。
私たちは、コロシアムに陣を取り、待ち構えていた。
「スノープリンセス!作戦開始!」
「一切手抜きしてあげないからね。慈悲は閻魔様に乞いなさい」
ギルドフラグ『不屈の雪』は、激しく炎を出し燃え上がる。
「王都!閉門!」
王が指示を出す。
空からは5000の翼竜。リプロスと、ルプロスの中型翼竜。
地上からは、3000の魔豚。2足歩行で高攻撃力を持つ。食べてもおいしくない豚。それぞれが王都に迫っていた。
「距離、5000mです」
リアちゃん達ギア族が測的を行う。
「テレサ!最大広域防御!」
テレサの最大防御魔法発動。
コロシアムで、野球をやる時に使う、バックスクリーン。
観客席の上に建てられ、ひときわ高い場所にある。
その上にテレサは居た。
スポットライトがテレサを捉える。
TVが多数入っていた。これは全国に放送されている。
テレサは、歌い始める。
歌声に、防御魔法を乗せ、全方位、広域に防御する。
半魔人のテレサ。
ライトに照らされ、夜空の中で歌う姿は、幻想的。
その美しい歌声に、私達は目を奪われた。
「敵翼竜、距離3000です」
「マリア、光子砲準備!」
「93式近距離地対空誘導弾で、マリア殿の援護に回るであります」
空の翼竜は、マリアと飛鳥さん。
「ダイル!トーマ!地べたの豚は任せた!」
「ガオガオガオ」
「ダイル様は、今晩のおかずは豚焼きだな、と申しております」
「豚には豚。イノシシを召還するよ」
敵は一方向から来ている。守り切れば勝ちだ。
「ギム、ララちゃん、サマンサ、ノアちゃん、ブルックは、突破された時、対応!」
万が一にも備える。
「距離2000mです」
リアちゃんの報告に私は頷いた。
「よし!攻撃開始だ!」
夜空に、マリアの光子砲が放たれる。
飛鳥さんの地対空ミサイルも連射。
街から歓声と拍手が上がる。マリアの攻撃と分かっているファンや、街の人達からだ。
空に、火の玉が浮かんでは消える。敵に当たり、炎上した証拠。
翼竜は、散開する。
正確な照準のマリアは、次々と落としていくが、四方から迫る翼竜を、全て捉える事は出来ない。
マリアと飛鳥さんの攻撃から逃れた翼竜が、一斉に突っ込んでくる。
が、見えない壁。テレサの歌に乗せた、防御魔法が壁になる。
突っ込んだ衝撃で、首の骨、羽の骨を折り、墜落する。
「ガオガオガオ!」
「ダイル様は、大地の聖霊よ、美味しく頂け、と申しております」
大地に大きな穴。ドイルの土魔法だ。
大量の魔豚を穴に落とし、殲滅。
「召喚魔法!イノシシ召還!」
トーマの召還したイノシシが、魔豚に向かい突進。
魔豚も、ダイルたちの魔法の連発で、撃退できそうだ。
テレサの広域防御魔法は、長くは持たない。魔力を込め歌うのは、相当な魔力消費をする。
「何とかなりそうだな」
ブルックの言葉を、リアちゃんが否定した。
「第2波、来ます!空1000。地上1000です!」
1000?1波より少ないね。種切れ?
「!!!」
リアちゃんが、手で口を覆う。
「なに・・・あれ?」
私たちには見えない。
「距離30k未確認生命体1。巨大です!」
未確認生命体?
「翼の生えたカタツムリです。高さ50m 長さ200m」
なんだそれ?
「キメラ・・・か?」
合成獣だと?
「TV局が、映像を捉えましたね」
アーロン君が、映像を見つける。タブレットで確認する。
どでかいカタツムリ。確かに鷲のような羽も生えている。
「マリア、光子砲遠距離射撃!」
「はい。目標未確認生命体。北北東30。照準!発射」
マリアの光子砲は、大型カタツムリへと向かう。
が・・・。
「マスター、未確認生命体への攻撃、通用しません」
リアちゃんが叫ぶ。
「キメラだ!物理攻撃は通用しない!」
テレサの広域防御が限界。解除される。
ダイルは、土魔法を放つが、効果が弱まり、穴が小さくなる。
連発の後だからだ。トーマも同じ。
城壁の上から、王国軍、魔法部隊が攻撃をするが、50の魔豚は攻撃をすり抜け、城門へ突進。王都への侵入を許した。
「ギム、サマンサ!市街戦だ!」
ギムたちが、駆逐に向かう。
マリアの光子砲が、加熱の為停止した。
援護に回っていた飛鳥さんの攻撃も止まる。
「氷姫さん!」
私は、四聖獣を出す。
王都の街は、王国軍も守りについている。
突破されたが、数は大したことはない。ギムたちも向かう。守り切れるはずだ。
翼竜の方は、白鳳と白龍に任せる。
「問題は、あの訳の分からんカタツムリですね」
「なに、王国魔法部隊が出るはずだ。物理には強くても魔法には弱い。それがキメラだ」
だね。私たちは、空の翼竜の心配だけだが、白龍と白鳳が上手くやっつけてくれている。
「こちら、王都放送局、アナウンサーのエミリです。
魔道ドローンにより、上空から王都内に侵入した、20頭の魔豚を追っています。
ああ!王国軍です!魔豚の前に、王国軍が立ちはだかりました!なんと勇ましい!我らの王国軍!
王国軍による殲滅が、はじまり・・・王国軍殲滅されました!なんと魔豚は強い!
繁華街に向い、魔豚が進撃!住人の方は、決して外には出ないでください!
あ!あれは・・・ギムです!悪魔のギムが、魔豚に向かっていきます!そして斬る!なんと残酷な。
続いて突進してきたのは、スノープリンセスのサマンサさん!ブルックさん。魔豚を斬る!投げる!
そして、あれは、ノアさん!ララさん!
ギルドスノープリンセスの4人が、街を守っています!」
「ギム・・・可哀そう」
いや、マリアじゃなくても、そう思うよ。
「ギム様は、うちのメンバー扱いされていませんから」
「人としても、扱って貰ってませんよね」
流石に哀れになって来た。
「マスター、国王から緊急依頼です」
まさか?
「あのキメラには、魔法が通用しない。王国軍では倒せない」
あの王様が、慌てた様子だった。
「魔法にも耐性って・・・チートじゃないですか?」
物理攻撃も魔法攻撃も通用しないなら、限界を超えた魔法だけだ。
私が相手だ!
気合いの雪姫。物理限界を超えた魔法の登場です。




