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EP15 『穴』を知る者①

舞台は日本です。

この世界戻て、5日が過ぎた。

悲しみと不安は、いまだ私たちを丸呑みしている。

でも「きっと戻れる」

私たちは、前に進むことを決めた。


魔法はしょぼく成るが、「異空間ポケット」は、同じように使えた。

四聖獣と氷姫さん、マリリンさんも居る。

何とかなる。そう自分に言い聞かせて、自らを奮い立たせた。



「買い物に行こう!」

落ち込んだ時、女の子は「買い物」をすることで、魂を蘇らせる。

「・・・あ、でも今は」

確かに買い物の気分ではない。無いが、無理やりでも、買い物モードに切り替える。

欲しい物を買うと、生きる活力が漲ってくる・・はず。



「美味しい物がいいわ」

氷姫さんも賛成。

「でも、私・・・ゴールドが・・・」

任せて!マリリンさんが円を持っているはずがない。が、私は持っている。



私の父と母は、4年前、私が中学2年の時に、事故で亡くなった。

保険金やら慰謝料やらは、高校生の私には、不相応な金額。

勿論、後見人である、親戚が管理しているが、無駄使いをしない私を信じ、結構な額が口座にある。

今日は、後先考えず、口座を空にするつもりで買い物をする!


と、いう事で大都会「東京」の、渋谷と言う街に来た。

私の家は、隣のK県。渋谷までは小一時間。

勝手知ったる渋谷の街で、買い物三昧だ!



マリリンさんは、20代半ば。常識もあれば、良識もある。

幾ら緊急事態とは言え、ギルド間の交流しかない私に、お金を出させることに、少なからず抵抗を持っていた。


1Gは、約1万円・・・これを偽る。

1Gは1000円。

1/10で伝え、1万の物を1Sと信じ込ませる。


最初は腰の引けていたマリリンさんだが、物は上物。価格は激安。

しかも見たことの無い、鮮やかな洋服などに魅かれ、次第にあれやこれやと買い込みだした。

十分な資金。

ハイになり、高揚した気分。抱えているストレス。

この状態で、好き放題の買い物をするとどうなるか?


  「訳の分からないものまで、大量に買い込む」


家に帰り「異空間ポケット」から取り出し、開封した商品には、どっちが選んだ物なのか?分からない程、異様なものが含まれていた。


「この海竜の絵柄Tシャツ・・・マリリンさん?」

「いいえ違います。私はイルカのTシャツを選びました」

「じゃ、こっちのマダラのワンピースは?」

「なんですか?それ。何の呪術に使うんですか?」

こんな感じだ。


だが、発散できた。気持ちを切り替えることが出来た。

これで少しは落ち着いて、今後を考えられる。



5日間で、私の爪が伸びたことから、私の時間は元に戻った証拠となり、マリリンさんの爪が伸びていない事から、マリリンさんは、時間を奪われた証拠となる。


『穴』の法則。時間を奪われる。戻る時は、拾われた時に戻る。

私は『穴』を通り、時間を奪われルーランに落ちる。

が、今回は元の世界に戻ったことから、この法則には、当て嵌まらないと、考えられる。

戻れる時は、ケプラスのダンジョンで『穴』に拾われた時。

根拠は無いが、これは十分な希望。



夕飯は、買って来たスィーツになる。

この世界のスィーツは、種類も豊富で、素晴らしい発展を遂げている。

ケーキやら、タルトやら、プリンやら・・・

マリリンさんは太らない。どんなに食べても体形が変わることはない。が、私は違う。

ルーランでは、全く気にしなくてよかったが、自分の世界に戻れば、食べた分だけ太る。

今夜のカロリーは・・マジヤバい。


そんな私の前では、氷姫さんと四聖獣、マリリンさんが、奪い合うように食べていた。



夕食後、マリリンさんにお風呂を勧め、私はランニングマシーンでカロリー消費に励んでいた。


呼び鈴が鳴る。


玄関には、見るからに怪しい連中。

よれよれの背広に猫背。無精ひげを生やした痩せ男。

白衣に身を包み、インテリ眼鏡の女性。

自衛隊の制服?を着た、笑顔の女の子。


これ・・出ないと不味いのか?警察に連絡が先か?




日本編は、2部では今回だけです。

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