表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/226

望まぬ帰還(2部)

日本編です^^おさらいも兼ねての、出だしとなります。

私は、元の世界に、戻ってきてしまった。

ここは、友人と来ていた湖の湖畔。


私は森で『穴』に吸い込まれ、異世界ルーランに落とされた。

ルーランでは、異世界転移者を「迷い人」と呼び、迷い人は、例外なく『時』が奪われる。

更に『穴』から落ちて来たモノは、何かを失い何かを得た者と、何も失わず何も得ない者の二通り。

私は前者。

前の世界での記憶の一部を失い、代わりに超魔法を得る。


ルーランに落ちた私が出会ったのは、獣人マックス。

ギルド「スノープリンセス」のマスター。


私の魂は本来、この世界に生まれてくるはずだった。

しかし、私を生むはずだった、マックスの妻の白姫さんは、呪いに掛かり、私を生む前に亡くなってしまう。

白姫さんには、強大な力があり、未来を見る事ができた。

そして、世界が滅ぶことを知っていた。


異世界で生まれた私を、我が子のように想ってくれた、マックスと白姫さんは、世界を滅びから救う為、私に戦える力、『ギルド』と『四聖獣』を残してくれる。


私は仲間達と共にルーランで「ギルド スノープリンセス」を運営しながら、来るべき時に向け、力を着けていた・・・が、『穴』が、私を元居た世界へと戻してしまった。


ルーランのギルド「マーメードドルフィン」のギルマス『マリリン』さんを巻き添えにした私は、途方に暮れていた。




「どうしよう・・・」

頭が真っ白だ。何も考えられない。

「雪姫さん、雪姫さん!」

マリリンさん・・・。

「私、どうしたら・・・どうしよう?」

「落ち着いて、今は状況に対応しないと」

マリリンさんは、私の肩を両手でしっかり押さえ、目を見据えていた。

「うん・・うん・・・」

そうだ、落ち着かないと。


ここは元居た世界。私は地元の湖に遊びに来ている最中。

周りには、3人の友人が居る。

今の姿、白姫さんの着物の姿を見られるのは不味い。

とりあえずは、家に帰ろう。



私は、この世界の記憶を取り戻していた。

自分の名前も、父と母の事も、友人関係も、全て思い出している。

友人には悪いが、いったん家に帰り、家から連絡を入れることにした。


森を抜け、最寄りの駅まで行くと、タクシーを捕まえて家に戻る。

幸いマリリンさんは、冒険者スタイル。

腰の剣を隠せば、山では違和感のない格好だ。

私の着物姿は、大分違和感があるが、それでもタクシーの運転手さんは、乗せてくれた。



「さ、入って」

私は、我が家にマリリンさんを招き入れる。

約2年間を、ルーランで過ごしていた。

しかし家の中は、友人たちと出かける日の、朝のまま。

マリリンさんを居間に案内すると、固定電話から、友人の一人「山田ゆかり」の携帯に電話を掛けた。

今頃、プチ騒ぎになってる頃だ。


「あ、わたし。ほのか」

私の名前は『柊ほのか』こっちの世界では、高校2年生。

「ほのか!どうしたの?何処に居るの?」

やはり、居なくなった私を、探してくれていたようだ。

「ごめんね。急に気分が悪くなって・・通った・・タクシーに・・乗っちゃったんだ」

心苦しいが、嘘でごまかす。

「大丈夫なの?ねぇ」

私にとっては、2年ぶりの友人の声。

演技ではなく、こみ上げてくるものがある。

私の言葉は、詰まり詰まりだった。


「今は大丈夫、安静にしてるから。皆に謝っておいて」

「わかった。皆には伝える。後で連絡するからね」

これで大事にはならない。



台所の冷蔵庫から、麦茶を出す。

私は数時間前まで、この家に居た。

『穴』に飲まれ、ルーランで過ごす2年は、この世界では、ほんの数秒の出来事。

不思議な感覚だった。



「さぁ、マリリンさん、対策会議しよ」

麦茶を出し、マリリンさんの前に座る。

「『穴』に飲まれた時の、対応マニュアルに従い、現状の把握から始めましょう」

マリリンさんも、ギルドのマスター。

緊急時の心構えは出来ている。冷静だ。


「私たちは、『穴』に飲まれた。そして、雪姫さんの居た世界に落とされた」

「うん」

現状の把握と言っても、私にとっては勝手知ったる世界。

「次は安全性の確保よ」

知らない世界に落とされたわけではないから、現状は緊急事態ではない。

安全は確保されている。

「最後に、この世界についての情報と、生きていくための術の確保」

私が全て知っていし、普通に暮らすことはできる。

「流石は優秀ね。スノープリンセスの、ギルドマスターだけの事はあるわ」

そこ、褒められてもね・・・。



「えっと‥次は・・」

「魔法かな?」

この世界には魔法はない。魔法が使えるかは、大きな疑問だ。

だが、余り強力なのは撃てない。我が家が心配だ。


お風呂場で「アイスバーン」を試した結果、床が薄っすらと白くなる程度。

マリリンさんの「ウオーターシャワー」に至っては、指先から水がチョロチョロ出る程度。

全く使えない訳ではない。が、相当弱くなっている。



   「雪姫」

!?氷姫さん!

私は、打掛と色無垢を着ていることを思い出した。

「私たちは、この世界に拒絶されているようだわ」

テーブルの上に出て来た氷姫さんは、親指程度の大きさ。

四聖獣たちも、同様だった。


白鳳は、ライターの代わりぐらいにはなる火を吐く。

白虎は、団扇で扇ぐ位の風が起こせた。

白龍も白玄も、生活魔法程度の力しかない。

「役に立てそうにないわね」

そうでもない。話し相手になってもらえるし、居てくれるだけ心強い。



「後は、帰還の方法よね」

マリリンさんが核心に触れる。

「うん・・だけど『穴』は・・・」

『穴』に関しては分からないことだらけだ。

ルーランに戻れる方法など・・・。


   

         「戻れない?」

      「もう、みんなと会えない?」

 「リアちゃんにも、ブルックにも・・もう会えない?」


突然、喪失感が襲ってきた。

こみ上げる不安と寂しさ。

押さえきれない・・・・。


私は泣き出してしまった。


私をなだめるマリリンさんも、いつしか泣き出していた。

私たちは抱き合いながら、泣きまくった。

夕闇が、部屋を暗くする。

私たちの泣く声だけが、部屋に響いていた。







2部では、新キャラが1人。日本編で登場のキャラです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ