EP13 『穴』④(1部完)
ここで区切る必要はないのですが・・・。一応^^1部最終回。
次回より、他世界編が15編ほど。
引き続き、毎日更新で、他世界編終了まで、続けていきたいと思っています。
「行くぞ!デカネズミ!ギム流抜刀術『横一文字』!」
突進するギム、迎え撃つ親分ネズミ。
「くらえ!!!・・・おわ?」
技を放つ瞬間、踏み込んだギムは、氷に足を滑らせ、そのまま壁に激突。
「ギムぅぅぅ!!!!」
マリアの悲痛な叫びは、ギムには届かない。
ギムは、壁にめり込んだ。
横を通り過ぎるギムを見て、親分ネズミは、再び余裕の顔になる。
「あっちゃー・・・。まぁ氷の上ですからね」
「突進バカですから、滑るとああなりますね」
テレサとトーマは、この程度の失態は見慣れている。
「ブリザード!」
私は親分ネズミに魔法を放つ・・が、親分には効果はない。
不味い・・この狭い空間だと、四聖獣は出せない。
白武に、踏み潰して貰うと楽だけど、大きくなり、上の街も崩落させちゃう。
「リーム。お願い」
テレサが、聖霊のリームを呼ぶ。
「テレサ、ピンチ?」
テレサの肩の上に、ハイビスカスの花、聖霊のリームが現れる。
花の花弁に目を持ち、可愛らしいリームだが、戦闘力は並ではないと聞く。
「あのネズミ、お願いできる?」
テレサの頼みにリームは『テレサお願い。リーム聞く』
花から茎が現れ、体となり、根のような足が、多数生えてきた。
テレサの肩から降りると、根のような足で立ち、巨大化する。
茎のような体からは、棘のついた触手が伸びる。
「後はリームに任せましょう」
テレサは、私たちの前に防壁を張る。
大ネズミ対、聖霊ハイビスカスの戦いだ。
「ギギギギギーーーー」
低い声を出し、威嚇する親分ネズミ。
全く気にすることなく、近寄るリーム。
先にリームが射程圏内に入る。
茎から延びる触手が、鞭のようにしなり、親分ネズミを打ち付ける。
触手に付く鋭い棘が、親分ネズミの体を削る。
親分ネズミも、只打たれている訳ではない。
タイミングを計り、触手を掴む。そして引っ張る。
体勢を崩したリームに、親分ネズミは突進、体当たりでリームを吹っ飛ばした。
「リーム!」
大きく飛ばされ、倒れたリーム。
「大丈夫です。リームは遊んでいます」
動揺した私とは逆に、テレサは冷静だった。
掴まれた触手が千切られ、倒れ込むリームだが、根のような足を使い、飛び起きる。
茎からは、さらに6本の触手を出す。さっきとは違う。棘の色が赤みを帯びていた。
「今度は少し本気です。あの触手の棘には、猛毒があります」
テレサは、真っ直ぐにリームを見ながら、説明してくれた。
6本の触手を回転させながら、リームは親分ネズミに近寄る。
親分ネズミは、口から「何か」を飛ばした。
それは弾丸のように早く、リームの触手に当ると、触手は切れ飛ぶ。
「ギギギギ」
親分ネズミの不敵な笑い。
自分の攻撃が、敵の防御力を、上回ると知った笑みだ。
今度は複数の「何か」を吹き出す。
「何か」の正体は「歯」だ。
高速で飛ぶ「歯」は、リームの体を抉る様に削る。
「下がりましょう。リームの本気が見られます」
テレサは、数歩下がると、防壁を張り直した。
リームの目が、黒く輝く。
空中にふわりと浮くと、横に1回転。周りには、6体のリームが現れた。
「分身した?」
私は、7体のリームを見て叫ぶ。
「いいえ、分身ではありません。リームは、ハイビスカスの聖霊です。花の聖霊と勘違いされやすいですが、ハイビスカスの木の聖霊なんです」
7体のリームは、親分ネズミを取り囲む。
「歯」を飛ばすが、リームは触手を使い「歯」を打ち落とす。
「ハイビスカスは、成長すれば3m以上にもなり、複数の花を咲かせます。その1つ1つが、リームなんです」
テレサは、リームの強さを知っている。
親分ネズミとでは、格が違う事を分かっていた。
「ギギギギギーー!!」
大きな声で威嚇するが、リームは射程に入るなり、一斉に猛毒の棘を持つ触手で攻撃する。
窮鼠猫を噛む間は、与えない。
「ギィィィィ!!!」
親分ネズミは、猛毒の棘の前に断末魔の叫び。
「終わりました」
テレサの一言が、戦いの終了を告げる。
一撃こそ貰ったが、圧倒的な戦力差だった。
「リーム、お疲れ様でした」
リームは、愛らしい花の姿に戻り、テレサの肩の上でフワフワ浮いている。
「リーム勝った。褒めて褒めて」
「はい。リームに助けて貰いました。美味しいものを食べましょう。
リームの好きなもので良いですよ」
「美味しいもの食べる。テレサ嬉しい。リーム嬉しい」
肩の上のリームに、優しく微笑みかけるテレサ。
信頼で結ばれた二人だ。
「雪姫さん、ありがとうございました」
マリリンさんは、親分ネズミの亡骸にお礼を言った。
・・大きさぐらい判断してよ。
「雪姫さん、助かりました」
「お礼の言いようがありません」
サリーさんと、ルクスさんは、私にお礼を言うが、私たちのギルドは「提携」をしている。互いに、助け合う仲だ。
「でも、『穴』が地上に開いて、これが外に出ていたらと思うと、ぞっとします」
マリリンさんの言葉は重い。
『穴』は、突然開き、何かを落とす。
概ね大事には至らないものだが、今回のようなケースも間々ある。
このネズミが、街中に出ていたら大惨事だった。
この世界は、常に危機と隣り合わせの世界なのだと、実感した。
『穴』に関しては、全ての事案で報告義務がある。
私は、ギルドに連絡して、王宮に報告するように伝える。
「よし、これでOK。後はギムを回収して撤退」
壁にめり込んだギムは、マリアが見ている。
動かないギム。マリアは必死に揺さぶる。
動かないおじいちゃんと機械は、とりあえず揺すってみる。
どこの世界もやることは同じ。
「でも、このネズミ・・・相当の知性を持っていましたね」
ルクスさんが、死んだ親分ネズミを見ながら言う。
「ええ、ネズミは元々頭がいいですからね」
これだけ大きく成長するんだ。頭もよくなるよね。
ゲートが開き、王宮から衛士たちが来た。
『穴』の調査は、王宮が担当している。私たちは、簡単な事情徴収を受ける。
「これで今月3回目です」
「ああ。多いな。今回はダンジョンの中でよかったが・・」
衛士達が話していた。『穴』に規則性はなく、いつ、どこにでも開く。
「マスター、生きていますので、このまま連れ帰ります」
気を失ったままのギムを担いで、マリアが戻って来た。
私は、マリリンさんの元に歩み寄る。
「また、困ったら遠慮しないで言ってください」
手を出し、固く握手を交わした。
「マスター!!!!!」マリアが叫ぶ。
「え?」
私の後ろに『穴』!?
「マリマス!雪姫さん!離れて!」
サリーさんの叫び声が聞こえたが・・・・
引き込まれる・・嫌だ!元の世界に戻される!
手を握っていたマリリンさんが踏ん張る。
助けて!
マリアが駆け付ける姿が見える。
サリーさんとルクスさん、テレサが・・・
助けて!お願い!!
『穴』の中から、遠ざかるマリア達が・・見えた。
いやだぁぁぁ!!!
私は、マリリンさんと『穴』に吸い込まれた。
「・・・・ここは?」
森の中。見覚えのある風景。
枝を拾いに入った森の中だ。
私は、元居た世界に戻って来た。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
1部完。
ラストのパターン。パクってしまった感、満載。自己作品だからパクリにはならない?
このパターンが好きなんですw




