EP13 慰安旅行⑦
ギムは、いい子です^^
旅館ヒラメの露天風呂は、海にそびえ立つ崖の先端にある。
女湯の崖とは別に、約50m離れた場所に、並んで崖がある。
そちらの方が、男の露天風呂。
二つの崖は、ほぼ並行してそびえ立つ。
共に、竹垣で仕切られ、横からは見えないようにガード。
透視などの魔法にも対応してあり、覗くことはできない。
前部分のみが開かれ、大海原を一望できる、絶景安心空間に成っていた。
この竹垣と、崖の淵までは僅か1m。
今、男たちは、その僅かなスペースに立って居た。
崖の高さは30m。下は海。落ちれば只では済まない。
「あそこが、俺たちの目指す場所だ」
ブルックは女湯を指さす。
「チャンスは1度。しかも短時間勝負です」
カメラを構えるアーロン。
「しかし、道は細く遠く、壁は高いですな」
「ガオガオガオ」
通訳が居ないので、ダイルの発言は想像に任せる。
男たちは、海側の開かれた部分に戻る。
「俺がロープを持って、この崖から、向こうの崖まで飛ぶ」
無謀である。10mの助走で、50mを飛ぶなど、いかなブルックでも不可能。
「私が、跳ね上げましょう」
ギャリソンが、両手を伸ばし前で組み、ブルックの片足を乗せ、力任せに跳ね上げる構えを見せる。
ブルックとギャリソンの合体技。「ブルックロケット作戦」だ。
「距離は何とかなる。問題は、竹垣と崖の淵までの間が、1mしかない事だ」
「届かなければ、崖下に墜落。地獄ですね」
「飛び過ぎても、女集に見つかり、地獄でございます」
「ガオガオガオ」
「だが男には、やらねばならん時がある。地獄と分かっていても、飛ばねばならん時がな」
ブルックと書いて『漢』と読む!
「向こうに着いたら、縄を引っ張る。すぐ来るんだ」
「分かりました。ブルック、御武運を」
「了解でございます。速やかに移動いたします」
「ガオガオガオ」
ブルックが端に立つ。そして構えるギャリソン。
ブルックは走り出し、ギャリソンの手に足を乗せた!
ギャリソンは、力任せに跳ね上げる!
今、万感の思いを胸に、ブルックが飛ぶ。
夢と希望と野心を乗せて、ブルックは天を舞う。
飛びすぎ・・・・1mの幅に、ナイス着地など不可能。
元々企画段階から破綻していた作戦。
ブルックは竹垣に直撃。
竹垣を破壊し、女湯の湯舟に転がり込む。
「きゃーーーー」
リアちゃんの反応。
「見るな!」
サマンサは、ブルックに回し蹴り。
「サイレントスノー!」
私の攻撃。
壊れた竹垣の向こうには、アーロン君とギャリソン、ダイルを確認した。
後で凍らせる!
「皆さん!大丈夫ですか?」
大きな音に、駆け付けたのはマリアとルルちゃんだ。修理が終わったようだ。
「敵か?」
ギムも来た。
凍ったブルックを見て、マリアとルルちゃんは理解したが、ギムは理解できてない。
ブルックが、攻撃を受けたと勘違いし、身構えている。
「ギムが叩き斬る前に、ポーション」
粉々になると蘇生できなくなる。
ポーションは飲むだけでなく、振りかけても効果はある。
一応蘇生させよう。
「敵は手ごわいぞ。気配が感じられない」
構えるギムは、周囲を見渡す。
「大丈夫、大丈夫、敵襲じゃないから。ブルックのバカが、覗きに来たから、凍らせただけだよ」
ギムは私を見ると、「そうか」と、構えを解く。
「マリア、行くぞ」
もう用はない、って感じ。
「あ、ブルックを連れてってくれるかな?」
「はい。縛り上げておきます」
マリアは、気を失っているブルックの頭を鷲掴みにすると、引きずって連れて行く。
「ギム~サンキュウな~」
風呂場から出るギムに、サマンサが礼を言う。
「ああ」
ギムは、一言言うと振り返る。
「雪姫、裸だとポンポン冷えるぞ」
!?この言葉で全員が気が付く。私たち裸だった!
ポンポンどころかスッポンポンだ!
「ギム様だから・・・いっか」
リアちゃんの反応。
「だよね~ギムなら気にならないよ」
サマンサも。
「ですね」
テレサもか?
女湯に入ってきても、嫌悪感無し。
一本気で寡黙。剣の達人。
・・・あれ?ギムって、結構いい男なんじゃね?
マリアとルルちゃんが来て、お風呂に入り直し。
壊れた竹垣は、私の氷魔法で壁を作り、見えないようにした。
大きいの、形が良いのだのの話は、また今度。
女性陣で、ブルック、アーロン君、ダイル、ギャリソンを取り囲む。
「悪かったよ」
「もうしないから、許しって下さい」
「男の性、と言うものですな」
「ガオガオガオ」
「ダイル様は『悪かった。もうしません。男の性です、と申しております」
「全く、男どもは・・・」
私は呆れかえる。
「全くですね。女の人のお風呂を覗くなんて、最低ですよ」
トーマ?あんたは居なかったね?
「当然です。僕はそんな、下賤な行為はしませんよ」
髪をかき上げ、前歯がキラリ。爽やかな風が来る。
「後で、クレアちゃんを口説いて、データーを貰えば、済むことですから」
おい・・・。
「あはは。冗談ですよ。だいたいお風呂なんて、単に裸と言うだけじゃないですか。恥じらいも無い裸なら、ママのを見慣れています」
おいおい・・・。
判決。
ブルック以下3人は、強制送還。
先に戻らせ、明日はギルドでお仕事だ。
スケベな連中も居ないし、ゆっくり楽しむぞ!
1部と2部のインターバルですが、他世界編を入れたせいで、繋がりが分かりにくくなってしまいました。
インターバルは短めにし、2部の途中で休みを入れられたらと考えています




