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EP11 襲撃①

敵襲です^^

「雪姫様、情報部から直通です」

直通・・重要な案件の時だけ使う、特別な回線。

「私、え?・・・分かった。指示ある迄、そのまま待機で!」

受け取った電話を置く。


「コードイエロー!進行中の全クエストを放棄。冒険者と援護に出ているメンバーはゲートで回収」

「私がゲートルームに参りましょう」

ギャリソンが対応してくれた。

「王様に報告。一報を入れて」

「私から入れます」

リアちゃんに任せる。

「Bランクの冒険者を、防衛隊に編入。Aクラスは王宮に集合」

「Bランクは、僕が誘導するね」

「Aランクは、あたいが連れて行くよ」

私たちは、慌ただしく動き出す。



ラムタ大陸。

四方を海で囲まれた広大な大陸。


赤道付近に、大陸を東西に連なる、3000m級の山々を有す、オリンポス山脈。

その山頂部付近に、幅200K、深さ1kにも及ぶ、ラムタ大渓谷がある。


1500年前、巨大翼竜『ロプロス』の咆哮で作られた大渓谷。

大陸の東側より放たれた咆哮は、オリンポス山脈の山頂付近を削りながら大陸の西側まで達した。


この渓谷が、ラムタ大陸の北側を支配する「魔人族」「昆虫族」と、南側を支配域とする人類を分断した。


かつては、人類を滅ぼそうとしていた魔人族は、ラムタ大渓谷の出現により、人類域への侵攻を諦める。

この渓谷が、人類を救ったと言われていた。



「コード」とは、魔人族、あるいは昆虫族が、人類に攻撃を仕掛けて来た時に発動される。


「コードブルー」侵攻の可能性がある場合に発動される。

「コードイエロー」侵攻が確認された際に発動される。

「コードレッド」敵の人類域到達を確認した際に発動する。


ラムタ渓谷の監視は、7つの国が共同で常時行っている。

「コード」が発動された場合、7国議会が設立され、共同で対応に当たる。



魔人族は知能も高く、オリンポス山脈を登り、ラムタ渓谷を超えて迄、人類域に攻めては来ない。

渓谷は東西に延びていて、迂回路はない。

しかも常に強い風が吹き抜ける。苦労に見合わなのを知っているからだ。


だが、昆虫族は、ギム並みの知能しかない。

超カースト制度の昆虫族は、王の一言で進軍を開始する。

過去にも何度か、昆虫族による侵攻があった。




「マスター、国王から連絡です。『すぐに、ゲートで来い』との事です」

緊急事態にゲートの使用許可が出る。

私とリアちゃん、ジェームス係長が王宮へと急ぐ。



王宮会議室。

長テーブルの中央に、ゴルノバ王とステラ王女。横には、国の重鎮たちが座る。


重鎮の一人が尋ねた。

「マスター雪姫。ラムタ渓谷監視隊からは、何の報告もない様だが、今回のコード発動は、どういう事なのかね?」

「コードの発動の詳細は、ジェームスより説明します」

私はジェームス係長に任せる。

「我々が入手した情報によりますと、侵攻を開始したのは『ヒアリ族』です。

総数は約200万。魔人族との国境の山裾より、地下に潜ったとの情報です。

ヒアリ族はラムタ渓谷の下、地下深くを進み、推定現在地は、ラムタ渓谷を超えた辺りと思われます」

重鎮たちが、ざわついた。


この情報には不思議な所がある。

幾らスノープリンセスの情報部が優秀でも、昆虫域や、地下深くの情報まで、得られるはずがない。


「ジェームス君、君は何処から情報を得たのだ?」

当然の疑問だ。

「申し訳ありません。情報提供者に関しては、お答えしかねます」

情報世界の暗黙のルールだ。


「情報元も分からんネタで、コードの発動は出来ん。もし、間違いでしたともなれば、我が国の恥となる」

お役人発想だ。

「せめて情報元をはっきりして貰えないと、話にならん」

「申し訳ありません。ですが、信用のできる者からの情報です」

ジェームス係長は譲る気はなさそうだ。

「国王、これでは話にならん。発動は無理ですぞ」

「確たるものがない以上、むやみに発動は控えるべきです」

「いかにスノープリンセスの情報部とは言え、これでは・・」

情報元ってそんなに大事か?とりあえず発動して、避難が先じゃないのか?


「情報が正しいか間違っているかの議論は、後でもできます。今は近隣住人の避難を優先すべきだと思います」

私は、意見をする。が、思わぬ非難を受ける。


「雪姫君は、この世界の事を分かっていないようだ。迷い人は、これだから困る」

「国には、メンツと言うものがあるのだよ」

「国王、わが軍による、確たるものが見つかる迄、発動は控えるべきです」

こいつら・・・・。

「ジェームス係長、貴方の情報の信頼度は、どの程度とお考えですか?」

ステラ女王が口を開いた。

「100%でございます。間違いなく、ヒアリ族は侵攻してきます」

ジェームス係長も負けていない。


ゴルノバ王は、考え込む。

恐らくは私を信用してくれている。じゃなければ、悩む必要はない。でも国の王としては、重鎮たちの意見もある。だが、ここで悩んでいる暇はない。

「時間がありません。ゴルノバ王、コードの発動を。メンツより、命です」

私は再度訴える。

「控えろ!小娘!ギルドのマスター風情が・・・」

「おやめなさい!」

私に対しての非難を、ステラ女王が止める。

「私たちのマスター。雪姫様が小娘扱いされるのは、非常に不愉快です。本来なら、情報に関することは、公開は致しませんが、マスターの名誉を守るため、今回は全てをお話ししましょう」


ジェームス係長が、怒っていた。




全5回です。

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