EP1 出会い②
お風呂回ですが、色気はありません(><)
「ダメですよ。マスターの口車に乗せられては。この人、スケベなんですから」
私より頭一つ小さく、整った顔つきの少女は、紙袋を抱えていた。
「リア!帰って来たか」
マックスは、紙袋を受け取る。
「幾つか足らないものがあります。発注をお願いしてきました」
どうやら、買い物に行っていたようだ。
リアと言う少女は、ポンチョを脱ぐ。
!!この子、人間じゃない。少女・・の形をした、なにか。
形は人だ。でも、服から外に出ている部分。関節から機械を覗かしてる。
「初めまして、私はリア。マスターの秘書をしている、ギア族です」
挨拶されたのに、驚きが顔に出てしまった。
マックスがフォローする。
「こいつはな、お前の居た世界で言う所の、ロボットってやつだ」
リアは微笑みながら、少女の手を取った。
「怖がらせてすみません。迷い人はギア族を知らないので、大概反応は同じです」
「ごめん」
私が口にした冴えない言葉・・。
「うふ」
リアは、小首をかしげ両肩を持ち上げ、微笑む。
・・・可愛い!
「リア、そいつを風呂に入れてやってくれ」
「かしこまりました。さぁ、行きましょう」
リアに手を引かれ、私は風呂へと向かった。
お風呂と言えば、裸。
私はリアの裸に興味がある。ロボットの裸・・・知的好奇心がくすぐられる。
「脱がないのですか?あなたの世界では脱がせてもらうとか?」
見てるだけの私に、リアは鋭い質問をする。
「いや、あのね・・・」
胡麻化す。とりあえず何か言う。
「皆さん、同じ反応なんです。ギア族に興味が・・・」
リアは、笑いながら服を脱いだ。
まぁ、見てしまえば、こんな感じかな?と言う所だ。
首や手足は肌色だが、体は銀色。
鎖骨の下あたりに、5cm程の縦長な宝石みたいなものが埋め込まれている。
胸はある。二つの丸い肉マンみたいのが付いている。。
臍はあるが、女の子の部分はつるつる。
「いかがですか?」
リアは見せるために脱いだといった感じだ。
「あ~うん。綺麗だね」
正直な感想だ。
「ありがとうございます。では次は・・」
見たからには見せねば、これは女の子同士。恥ずかしいことではない。
さぁ、現役JKの全裸!ご覧あれ!
そう、これは儀式。女の子同士が、初めて一緒にお風呂に入る際の儀式。
リアは、私の髪をきれいに洗ってくれる。
「白い髪・・綺麗です」
私の髪は白色髪。白髪女とあだ名され、幼少のころから苦労した。
でも私は、自分のこの髪が好き。
髪と体を洗うと、私たちは湯船につかる。
「ロボットって・・・いいのか?完全防水?」
「はい。大丈夫です。と言うか、お風呂は大好きです」
笑顔!可愛い!!!
リアちゃん可愛すぎる。
元々、コミュ力には自信がある。
サルとでも、コミュニケーションが取れるレベルだと、自負しているが、リアちゃんの取っ付きの良さは別格だった。
「マスターお先頂きました」
私たちは浴衣に着替えた。
「頂きました。ご馳走様です」
私はお礼を言う。
「さて、俺も入るとするか」
立ち上がるマックスを、リアは両肩を押さえつけ、立ち上がるのを止めた。
結構な力持ちだ。
「お湯を入れ替えます。少しお待ちください」
笑顔だが、なんか違う。
「リア、お前の残り湯は、何も嗅ぎ獲れんが、この若さの女だと、元気が出る匂いが・・・」
リアの回転蹴りが決まる。体を上下に半回転させ、足の甲がマックスの顔に当る。
「ぐは!!」
テーブルに倒れ込むマックス。意識はない。
「マスターの鼻は犬並みです。残り湯を楽しまれては、たまりません」
笑顔だよ。すごくいい笑顔。でも・・怖い。
「・・あいたた」
頬を抑えながら、マックスは蘇った。
「勘違いするなよ。俺はスケベではない。超スケベだ」
はいはい。理解した。
「マスターには気を付けてください。エロが毛皮着ている方ですから」
笑顔だ。常に笑顔だ。
「ギア族にはわからないだろうが、生命体はスケベから進化した生き物だ。スケベなしに繁栄なしだ」
ごもっともですが、風呂の残り湯では、子孫は繁栄しないのよね。
お風呂のお湯が入れ替えられ、マックスも入りに行く。
私はリアちゃんとお茶をしていた。
「親切だね」
当然の疑問だ。見知らぬ私は、半日もかからず、打ち解けていた。
「・・・・」
リアちゃんは答えない。
聞こえない振りをした・・そんな感じだ。
「この世界には、色々な種族が居ます」
リアは突然、話し出す。
「ギア族は少なく、大半は獣人と人間です。マスターは獣人に分類されますが、マスターの獣人の獣は、ケダモノと読み、ケダモノ人族です」
真面目な話かと思ったよ。
「寝る時は、必ず部屋の鍵。窓の鍵も忘れないでください」
おっと、やっぱ大事な話だった。メモメモっと。
「仲良くなったか?」
マックスが来た。頭をタオルで拭きながら・・・裸だ。
股間でブラブラしているモノがある。目線をそらす。
「だから気にするな。俺は獣人、お前は人間・・ぐは!!」
リアの蹴りがブラブラに直撃した。
「男は、見ても見せても罪です」
リアちゃんって、こんなのと一緒で、よく無事だよね。
「マスターは生もの専門ですから。私は自販機ぐらいにしか、見られていません」
私は、リアちゃんなら抱きしめたいよ。
「ギア族専門の方もいらっしゃいます。少数ですが、人間の方との結婚例もあります」
大らかな世界なんだね。
「あたたた。リア、ここはよせと言っているだろう」
マックス蘇生。飛び跳ねているのには、訳があるに違いない。
「ここは全生物共通の急所だ。攻撃厳禁だ」
リアは小首をかしげて笑顔だ。返事はしない。
「全く、子孫を残す大事な球を、なんだと思っているのか?」
ため息のマックスだが、同情はしてあげないよ。
「予定を変える。明日、館に戻る」
マックスは、真面目な顔に成る。
「館?」
ここがお家じゃないんだ。
「はい。ここは町への拠点になります。館は半日の距離です」
「早朝出発。夜までには着けるようにする」
「かしこまりました」
深く頭を下げるリア。
「と、いう事で、今日は寝よう。明日は少し、移動距離が長くなるぞ」
私は部屋を用意してもらった。
ベットが置いてある小さな部屋だ。綺麗に片づけられ、布団もシーツも新品。
私は考えに老けた。
・・・まだ1日も立って居ない。
寂しさはあまり感じない。
親の顔や思い出・・すべてを忘れているせいなのか?
違う。たぶん、マックスとリアちゃんが、私を受け入れてくれたせいだ。
でも、この優しさには何かある。普通に考えて、優しすぎる。
必ず裏がある。でも・・・・今は、その優しさを支えにしなければ、私は生きていけない。
今はまだ、考えないようにしよう。
今はあの二人の、優しさに・・甘え・・て・・・。
疲れから来た睡魔に襲われ、少女は深い眠りへと落ちた。
「寝たか?」
「はい。今日はお疲れでしたから、よくお休みに成れると思います」
マックスの部屋にリアはいた。
「思ったより早く打ち解けてくれた。4~5日はかかると思っていたがな」
「性格のいい子。明るくて、芯の強さも感じます」
「トリプルヘッドウルフに、立ち向かおうとしたんだぞ。あれは良いギルドマスターに成れる」
「はい」
「いずれはお前のマスターに成る子だ。仲よくな」
「はい。心得ております」
2人の会話は、遅くまで続いた。
そんなことは知らない少女は、深い眠りの中に居た。
新品のシーツと布団。なんで用意されていたんでしょう?答えは、出会い⑥で^^
④と⑥を間違えました(TT)修正します。