EP8 マーメードドルフィン③
ギルドと言っても色々あります。どの世界にも、不届き者はいます。
「さて、ムーンライトのマスターが、何の用かな?」
ガンゼが前に出て、さっきのチンピラ2人と、同じような小物2人が後ろ。その横にギア族の男の子2人と女の子1人。
「貴様が雪姫とか言う小娘か?」
私に近寄り、襟に手を伸ばす。
が、体ごと弾かれる。私の着ている内掛けが、私を守る。
「貴様ぁ!!」
ガンゼが私を睨む。が、私は平然としている。
「おい!遣れ!」
ガンゼの合図。ギャリソンが前に出た。
!?
合図は突撃の物ではない。
後ろの4人は、ギア族の子たちに、剣を突き付ける。
「機械野郎と仲がいいそうだな」
こいつ・・自分のギルドのギア族を、人質に使うのか?
「助けたいか?助けたいなら、俺の命令に従え!」
なんて汚い奴だ!
「鼻っから勝ち目が無いと見ての、暴挙でございますか」
「どうする?雪姫?」
「・・・もちろん、あの子たちの保護を最優先」
私は方針を明らかにした。
「雪姫、前に出ろ」
ガンゼの要求。「手出し無しで」と私は言い残すと、1歩前に出た。
「もっとだ!」
3歩進む。
ガンゼが近寄って来た。そして私の頭の前で、小汚い手を広げた。
「頭を吹き飛ばされたくなければ、土下座だ。地に額を擦り付けて、無礼を謝れ」
どっちが無礼だよ。
「お断りよ」
毅然とした態度。ギルドのトップたるもの、この程度で取り乱しはしない。私の行動が、スノープリンセスの、強さの表れに成る。
「雪姫様!マスターは本当に撃つ人です!謝ってください」
ギア族の男の子が、叫ぶ。言わされてる訳ではなさそうだ。私の身を案じてくれている。
「と、いう事だ。俺は撃つと言えば撃つ。もう一度だけチャンスをやろう。ひざまずけ!俺に頭をたれろ!」
「撃ちなさいよ。撃つ度胸があるならだけど。私を倒しても、ここにいる皆が、あなたを倒す」
私は目を見据え、睨みつける。
私の後ろのは、ブルック、ギャリソン、アーロン君、スノープリンセスの職員たち、助っ人の二人。
そして、このギルドに登録する、多くの冒険者。只で済ませてくれるはずがない。
「この小娘が!!!!」
ガンゼの魔法は、私の頭に直撃!・・・は。しない。
やはり内掛けが守ってくれる。
(白姫さんを信じてたけど、さすがに怖かったよ・・チョットちびったかも)
「小娘ぇ!!!俺の最大魔法だぁ!消し炭にしてくれる!」
お怒りのガンゼは、魔法を撃つ構えを取る。・・・溜めがある。高火力の魔法が来る。
「しゃがめ!雪姫!」
ギムの声。身を伏せる。私の上をギムが飛んだ。
ボコん!ボコボコボコ・・ボコ。
「ボコ?」
「安心しな、峰打ちだ」
ガンゼを打ち、幹部四人を打ったギムは、剣を鞘に・・・
「ん?やっちまった!剣と酒瓶、間違えた!」
なんだと!?ギムの手には、剣ではなく、お酒の瓶。
幹部4人が痛がっている間に、サリーさんとルクスさん、マリアがギア族の子たちを保護した。
頭を押さえ、立ち上がるガンゼ。
「ギム!貴様、魂を酒瓶と間違えるとは、運の尽きだな」
ごもっともだ。剣士の魂をなんと心得る!
「ギムを殺れば、俺の名声は国中に広がる!」
ガンゼは、いい気になっている。
「覚悟・・・グハ!」
ギムは瓶で、ガンゼの顎を跳ね上げる。
「ギム流抜刀術。間欠泉の型!」
おいおい。
「この・・野郎。雷撃・・ぐはぁ!」
「ギム流剣技。右フックの型」
ギムはお構いなしに、瓶でガンゼを殴る。
「ギム流剣技。白刃乱舞の型」
左右下、3方向から瓶が乱れ舞う。目にも止まらない速さだ。
ガンゼの腕が垂れ下がる。膝が傾れる。が、倒れない。
ギムの下からの攻撃が、体を跳ね上げ、倒れることを許さない。
ギムは半身に低く構え、瓶を持つ右手を斜め上に伸ばしフィニッシュ。
ガンゼの顔に原型は無く、前のめりに倒れた。
格好は決まっているが、持っているのは瓶だ。
「安心しろ、峰打ちだ」
瓶だから。
「ギム凄いわ!」
マリアがギムの元の駆け付ける。
確かに凄い。
落ちぶれたとはいえ、仮にもSランクの魔導士相手に、魔法を撃たせる間もなく、酒瓶で倒す・・・やはり、ギムは並ではない。
馬鹿だけど・・・。
私たちは幹部4人の前に出る。
勝負ありだ。
ガンゼと幹部4人を憲兵に引き渡す。
法の下、こいつらには裁きを与えてもらう。
ムーンライトは解散。
職員5人のうち、ギア族の男の子2人、獣人2人をスノープリンセスで、引き受けることにした。
ギア族の女の子は、マーメードドルフィンが引き取ってくれる。
後日、王様から、手紙が来た。
「雪姫へ。この度の件、後の処理は、この王に任せるがよい。厳しく吟味の上、必要以上の罪を与えると約束しよう。
追伸。例の件、国策としては却下に成った。すまん。だが、わし個人として支援する」
例の件とは、私が進めた、3つ目の改革の事。
国としてやって欲しかったが、却下に成った。
この話は次回。
次回、雪姫の改革の3つ目です。




