EP8 マーメードドルフィン②
実はこの人、強かったようです。
「そうですか。やってしまいましたか」
お風呂から上がり、ギャリソンやブルック、アーロン君に経緯を説明する。
「ごめんね。せっかく礼儀を聞いていたのに」
私は悪くない。と、思いつつも、ギルドの長としての立場もある。
「いいえ構いません。むしろOKでございます。言われるままに、ウジウジしている位なら、ドスンと行くのがスノープリンセス流でございます」
お?結構武闘派だね。
「問題は、この後でございます」
と、言うと?
「先方が、大人しく引けば、問題はありませんが、出てきた時の対処をどうなさるか、お決め頂いていた方が宜しいかと思います」
出て来た時って言うのは、文句付けて来た時だよね?
「リアは暴行を受けています。法的な対処をしては?」
ギア族には、人権が認められている。髪を引っ張る行為は、暴行に当る。
「投獄されても、せいぜい半日。それじゃ、つまらないべ」
ブルックの意見は、それで済ましてやるかよ。だった。
「そうですね。姫が良ければ、徹底的に叩き潰して差し上げるのも良いかと」
アーロン君も過激だね。
「失礼します」
ジェームズ係長が来た。
「私がお呼びいたしました。敵の情報を共有しておくべきでございます」
敵って・・・もう戦う心算だ。
ジェームス係長は、手持ちの情報と言う事で、話し出した。
「ギルド ムーンライト。マスターは『ガンゼ』。『即雷』の異名を持つ、Sランクの元冒険者です。
構成員は10名。幹部4人はAランクに分類され。職員3人はギア族。2人は獣人です。
冒険者の登録数は0。クエストを受け、ギルドで実行するタイプ。
ギルド組合に所属せず、他が受けない犯罪性の高いクエストを、専門に受ける闇ギルドです」
流石は、我がギルドが誇る情報部。
ジェームス係長は、連絡を受ける。
「最新情報です。敵はギルドを出立したとのことです。
目的地は当ギルド。ガンゼ以下、幹部4名は全員の武装が確認されております。職員3名を帯同。こちらは非武装のようです」
武装か・・敵で良い様だね。
「こっちは、マリアは参加できないよね。戦力は、私とアーロン君、ブルックか・・」
マリアの武器は、ミドルからロングレンジ。接近戦は不得手だ。
武器は全て高火力。火力が強すぎて、街中では戦えない。
「十分すぎて、お釣りの方が多くなりそうです」
リアちゃん、強気だね。元とは言え、SランクとAランク4人だよ。
因みに私、Dランク。白姫さんの着物やペンダント、簪を使えば、戦えるとは思うけど・・・。
「雑魚は私が引き受けましょう。ブルック様はガンゼをお願いいたします。チャチャっと済ませてしまいましょう」
ギャリソン?あんた戦えるの?
「これでも、白姫様に認められた一人でございます。Aランク如き、物の数ではありません」
只の執事じゃないんだ・・・。
「ギャリソンは、スケベなだけじゃない。マジ強いぞ」
全然褒めてない。
「はい。分かりました」
受付からの連絡をギャリソンが受ける。来たか?
「雪姫様、マーメードドルフィンのマスター様が、助太刀をしたいと申し出をされています」
助太刀か?どうなの?社会通念的には?
「マーメイドっていや、老舗だ。いい交流相手に成るから、その助太刀、お願いして置け」
「ええ、いい関係が築ければ、今後の為にもなるはずですね」
ブルックとアーロン君の助言で、助太刀を受けることに成った。
私は、戦闘服。白姫さんの着物を着て、受付に行く。
サニーさんとルクスさん、もう一人は、優しそうな女性で、眼鏡を額に上げ、おしゃれな感じの女性が居た。
「初めまして、マーメードドルフィンの主『マリリン』です」
えっと・・・・そっちマリア。
「あ!すみません。失礼しました。こちらが雪姫様ですね」
ブルックだよ。
慌てたサニーさんが、マリリンさんの額の眼鏡を、目の位置に戻す。
「マリマス!ちゃんと眼鏡かけて!」
ルクスさんが私に謝る。
「すみません、すみません。うちのマスタードジッ娘で・・・」
オシャレじゃなかったんね。あの眼鏡。
「助太刀の申し出、ありがたく受けさせていただきます」
私が手を差し出すと、両手で握り返し、ぶんぶん振る。
「よ、よろしくお願いします。憧れの雪姫様と、共闘できてうれしいです」
憧れ?私が?
「変な挨拶で申し訳ありません。マリマスは、雪姫様の大ファンなんです」
マリマスは、マリリンマスターの略か。
「雪姫様は、ルーランでは有名な方です。女王陛下も、いつもお口にされています」
そうなの?
「スノープリンセスのマスター、と言うだけで注目は集めます。まして、17歳で可愛い女性ともなれば、嫌でも注目の的です」
アーロン君から可愛い言われました。
「あの!サインください!」
こっちのギルマスも、結構砕けてるね。
「あ、サインは、ここにお願いします」
「判は拇印で結構です」
マリリンさんの両脇から、サリーさんとルクスさんが指示をくれた。
私はペンを取る。
「マスターダメです!それ移籍同意書です!」
リアちゃんの声に、ハッっした。
「ちっ!」
サニーさんとルクスさん、同時に舌打ち。
マリリンさんは、笑顔のまま、サインを待っている。
サニーさんと、ルクスさんの仕業だ。・・・この二人は曲者だ。
「まぁ立ち話もなんだから、どうぞお掛けください。リアちゃん、お茶の手配を」
私たちは雑談を始めた。
私とリアちゃんのテーブルに、マリリンさん。
マリアとギャリソンの前には、サリーさん。
「ギャリソン様の武勇伝は、聞き及んでおります」
アーロン君とブルックの前には、ルクスさん。
「是非一度、パーティーを組んで頂け無いでしょうか?」
「うちの人たちは、みんなスノープリンセスさんのファンなんです」
凄く好意的と言うか、ぶっちゃけフレンドリーだね。
「おい」
「でね、私がマックスに言ったんだよ」
「それは凄いですね」
「マックスもスケベでさ」
「あのマックス様が、ですか?」
雑談に花が咲いた。
「おい!」
「五月蠅いな。今楽しんでる最中」
「お前ら!なに無視してやがる!俺はムーンライトのガンゼだ!」
あ・・そうだった。忘れてたよ。
戦闘のお時間だ。
実際の強さは、後のエピソードで^^




