EP7 お墓参り②
白姫が雪姫に残した、力の一部が分かります。
「ここからは、歩きだ」
ブルックは、私を下ろす。
ここは、白姫さんの実家のある場所。鋭い円錐形の岩が立ち並ぶ、不思議な所。
確かマックスも、同じ場所から歩いていた。
「ここは神聖な場所。気が乱れるから、走るなと言われている」
(へー私には、お前はお前だとか言っていたが、自分もだね)
そう思いながら、ブルックを見た私に・・。
「不思議か?俺だって、あいつらを見ていたんだ。なにを重んじ、何を守っていたかをな。だから、お前の気持ちは痛い程よくわかるし、嬉しいさ。
だが、お前はマックスじゃない。ギルドマスターだ。お前がみんなを引っ張らなければならない。分かるだろ?」
ブルックの言いたいこと、良く分かった。
「さぁ着いたぞ」
洞穴の場所だ。白姫さんの住んでいた家だ。
洞穴の中は、枯れ葉や枯れ枝が散乱していた。ドアが無いから、風が吹くと入り込んでしまう。
ブルックは床、私は祭壇の掃除をした。綺麗に拭いて、花を手向け、供物を捧げる。
そして持って来た着物を着た。
服の上からだが、色無地を着る。
帯は紐帯と呼ばれる。縄状のものだ。名護屋帯とも言うらしい。
普通の帯と比べ、艶やかさは無いが、結びやすく、人と人を結ぶという意味も込められている。
そして、上から内掛けを着て、髪には簪を刺した。
ブルックが来て、私を見ると「まるで白姫が居る様だ」と言った。
祭壇の前で、くるりと1回転。
「白姫さん、着たよ。似合ってる?」
ブルックと並んで、手を合わせ、深く感謝の意を唱えた。
「雪姫、その着物について教えておこう」
ブルックは、祭壇の前で説明してくれた。
外側の内掛けは、防御専門。
内側の色無地が、攻撃重視。
そして帯は、長いままだと鞭になり、先端が鋭い刃に変わる。
二つに折ると、槍。
四つに折ると、剣。
一度付けた帯を、武器として使っても、前は開けたりはしない。
簪と、ペンダントは、おいおい説明してくれるそうだ。
実戦で説明した方がいいらしい。
「その着物にはな、白姫の命が刷り込まれている。『どうせ死ぬから、命を残してもしょうがない』と、お前に残する心算で、命を削って魔力を込めた」
ブルックの言葉に胸が熱くなる。
マックスと白姫さんの娘として生まれ、平和な世界で暮らせたら、どれほど幸せだったろう・・・。
「また来るからね」
別れを告げ、私たちは洞窟を出た。
走るの禁止区域を出ると、ブルックがお姫様抱っこをしてくれる。
来た時のゲートの所まで行ってから、ゲートで帰る予定だ。
が、森に入ってすぐ、ブルックが立ち止まる。
「お客さんの様だ」
私の美味しそうな匂いにつられ、九尾の狐と言うのが、追って来ているらしい。
「着物、着た方がいいかな?」
私は戦闘服を着る提案をする。
「よせよせ。あんな小物相手に見せてやることない。勿体ない。簪だけ付けろ」
減るものでは無いらしい。
色無地の5つの紋。攻撃紋を使っても、私が着ていれば回復するし、着物は、たとえ焼けたりしても、自己修復する優れものだ。
「ここで、簪とペンダントの使い方を教えてやる」
九尾の狐は9体。私たちを取り囲む。
「お前が使える魔法は、アブソリュートスノーを除き、4つだ」
アイスバーン Bクラス魔法。自分の周りの地面を凍らせて、防御に使う。
アイスシールド Bクラス魔法。氷の壁、これも防御用だ。「氷壁」とも言う。
サイレントスノー Bクラス魔法。動きの遅い敵を、音もなく凍らせる。隠密行動中に有効だ。
スノーウィンド Bクラス魔法。吹雪により、敵を凍らせる。サイレントスノーより強力。
私はまだ、Bクラスの魔法しか打てない。
アブソリュートスノーは『穴』から落ちて来た時に覚えた魔法だが、他の魔法は、レベルアップと共に覚える。経験1年半の私では、Bクラスが精いっぱいだ。
「なに簡単だ。やればすぐにわかる。ペンダントを握ってみろ」
言われるがままに、ペンダントを握る。
!?頭の中に「敵は?」と浮かんだ。
「ペンダントが自立思考型のアーカイブだ。白姫の魔力で沢山の情報が込められている。そして簪は、体に負担のかからないように、簪の魔力で、お前の力を増幅、コントロールする。お前は、レベル以上の魔法が撃てるようになっている」
九尾の狐は、ブルックの威嚇に怯え、襲い掛かれないでいた。
「『九尾の狐』と、考えろ。自立思考型のアーカイブが、最適な魔法を選んでくれる」
「うん。九尾の狐・・だね」
私は考えた。
頭の中に「スノーウルフ」「スノードラゴン」の2つが浮かび上がる。
「頭に浮かんだ魔法を使え。今なら体に負担なく使える」
「スノーウルフ!」私は魔法の発動をした。
雪が積もり、雪で模られた狼が5匹。命が吹き込まれたように動き出し、私の周りを守る。
「スノードラゴン!」
空中で雪がドラゴンを形成した。
そして、ドラゴンは氷を吐きながら九尾の狐を倒す。
「な?簡単だろ?」
これ凄い。敵を考えるだけで、倒す最適な魔法を選んでくれる。
「この世界で、経験の浅いお前でも、戦えるための方策だ。慣れるまでは、これらに頼れ」
白姫さんは、どれだけ考えてくれていたんだろうか?
私たちは館へ戻る。
1泊した後、明日ギルドへ。
私は寝床の中で、ペンダントを握った。
「敵は?」
ペンダントの質問に、わたしは『ギム』と考える。
ギムの倒し方が知りたかった。
ペンダントの答えは・・。
「・・・・・・マリア?」
うぁ、白姫さんって凄いな、と思った。
次回で1部終了と考えていましたが、もう少し先まで続けます。




