EP5 マックスの宝探し①
マックス、白姫の登場回です。
この世界に来て1年半。雪姫19歳に成る。
マックスが死に、悲しみに暮れる中で迎えた18歳の誕生日。祝う気に成れず、スルーした誕生会。
今回はギルドを上げての、盛大な誕生パーティー。
「マスター18歳の誕生日おめでとうございます」
ギルド会議室では、幹部や付き人、一般職員も集まり、くす玉が割られ、クラッカーが鳴り響く。
18歳、雪姫たっての希望で、誕生日会は『18歳』で行われる。
この世界に落ちた雪姫は、年を取らない。次回以降も誕生日は18歳。
永遠の18歳。
「みんな!ありがとう!」
大勢に祝ってもらい。プレゼントの山が築かれる。
この世界では、貰ったプレゼントは、その催しの間に、開けるのが礼儀。
雪姫は、テーブルに置かれたプレゼントの山から、1つの箱を持つと、丁寧に開ける。
「クマのぬいぐるみ」
「えーーっと。リアちゃんかな?」
プレゼントの送り主を当てる、ゲームをする。
外しても特に問題はない。
送り主は、当てて貰うと幸運が訪れると言われる、粋なゲーム。
「はい。マスター正解です」
拍手が起こる。
「盗聴器」
「情報部のジェームス係長・・・だよね」
「正解です、お見事です。マスター」
「・・・避妊具?」
「トーマか?お前だろう」
「その通り。お使いになれる事を、祈っていますよ」
「酒」
「ギム・・一番分かりやすいね」」
「飲まないなら俺にくれ」
こんな感じでゲームは進み、催しはお開きを迎える。
一般職員は職場へと戻り、幹部達は宴会へと突入する。
今日は特別な日だからである。
この世界の法律。
お酒は20才から。だが、19歳を迎えた日、19歳と1日。19歳を超えた日とも考えられる。事実上19歳の誕生日が、お酒の解禁日となる。大らかな国なのである。
雪姫も当然、このことは知っている。
真昼間から宴会を催すのは、雪姫の初アルコール記念日だからだ。
「みんな、倒れたら、優しく介抱してよね」
グラスを持つ雪姫は、向こうの世界での飲酒経験もない。文字通り、初挑戦。
酒と言えばギム。雪姫のグラスに酒を注ぎこむ。
その酒を、じーーーっと見つめる雪姫。
(一度でいいから、マックスと飲みたかったな)
「マスター?無理しなくていいんですよ。飲めなくても、問題ありませんから」
マリアが気を使ってくれた。
お酒を見てたのは、意を決するためじゃないんだけど・・。
「では行くよ!」
グラスの酒を口に含み、飲み込む。
水より柔らかい・・のど越しがいい。お腹が温かい。
「どうです?大丈夫そうですか?」
アーロン君。齢70歳の小学生。お酒の大先輩。
「うん。いけるかも」
もう一口飲む。行ける。二口、三口。
世界が終わりの日を迎えた・・・ぐるぐる回る。皆が波打っている。
意識がぁぁぁぁぁ。
「ちょっと!雪姫!」
「マスター!」
突然倒れた雪姫に、サマンサが、リアが、マリアが、トーマが駆け寄る。
「医療班をよこしてください」
アーロンは救急連絡。
「ストレッチャーです」
ギャリソンは、移動具を持ってくる。
マリアが雪姫のグラスを分析。
「ちょ!ギム!このお酒って」
「あ?魔族殺しだ。最初だから、いい酒をと思ってな」
「お前なぁ!!!」
サマンサがギムに怒鳴りかかる。
魔族殺し。ルーランで最高級な酒。
度数98度。普通に火が付くレベル。
雪姫緊急搬送。
ーーーーギルド医療部ーーーー
「なに心配はいらんて。うぃ。中毒は起こしてはおらん。明日に成れば元気いっぱいじゃ。うぃ」
酒を飲んで運ばれた患者を、酒を飲んでる医者が診察。
幹部達、まずは一安心。
リアとギャリソンは残り看病に当る。
ーーーーーーーーーーーーーー
「あれ?ここ何処?」
うっすらと霧がかかり、川が流れていた。
「雪姫!こっちだ!こっち!」
後ろから呼ぶ声がした。
!!!マックス?
「暫くだな。元気だったか?」
その横には、白姫さん。
「また会えましたね」
いや・・でもどうして?
「ダメだぞ、まだこんな所に来ちゃ」
こんな所って?
「ここは死者が来る、三途の川の川岸です」
え!?
「私、死んだの?え?死んじゃった?」
「安心しろ。まだ死んではいない」
(・・・・よかった)
「死んだら、ほら、この先にある、柵の向こうに連れていかれる」
指さす先、柵が張り巡らされていた。
「雪姫ちゃんは、強いお酒を飲んで、魂が抜けだしちゃったのよ。
でも元気でよかったわ。あら?魂が抜けて元気って‥でも今、雪姫ちゃんは元気だし・・あら?あら?」
あはははは・・・・白姫さんだ。
「でもマックス、マックスはどうして?」
「お前が来ることは分かっていたからな。一日外出券を買って、出て来た」
(白姫さんの予言・・・か)
「1日外出券、10万ペリカよ」
強制労働させられてないよね!?ざわ・・・・。
「またすぐに会えると思うが、お前に頼みがある」
頼み?
「ギルドの俺の部屋、そのままだよな」
「うん。皆で話し合って残してる」
「机の右下の引き出しを抜いて、奥にあるものを処分してほしい。幹部以外、特に外部には、絶対に悟られないようにな」
(それって…相当重要な?)
「分かった。処分だね」
私はマックスの頼みを、引き受けた。
「雪姫、辛くないか?」
「大丈夫。みんなは優しいし、よくしてくれてる。ギルドの運営も何とかなってる。心配いらないよ」
「そうか、残せるものは残したつもりだが、やはり離れると心配でな」
マックス・・・。
「雪姫ちゃん、辛かったり、我慢できない時は、いつでも来て良いのよ」
あの世を、実家みたいに言われると・・・・。
「白姫が、二日酔い効く薬を用意してきた」
「この丸薬よ。すごく苦いけど我慢してね」
「白姫さん・・・ありがとう」
私は丸薬を口にした・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
げぇぇぇ凄い味。意識が飛びそう。
「マスター・・マスター」
リアちゃんの声?何処から?
「リアが呼んでる。戻ってやれ」
「雪姫ちゃん、また来てね」
はい。またって・・・。
マックスたちが、薄っすら消えていく。
体が軽くなり、意識が・・・・・
「!!!」
「マスター」
・・・リアちゃん。
「良かった。なんかうなされていたから、心配で・・」
それ丸薬のせいだ。
「雪姫様。お目覚めに成れましたか」
ギャリソン。
「二日酔いに効く、お薬を用意しました」
「あ、ありがとう」
「白姫様特製の丸薬でございます」
「ヴぇ?」
「久しく作っておりませんでしたので、作るのに苦労いたしました」
(苦労って・・飲まない訳には行かないよね)
頂きます・・・ぐはぁぁぁぁぁ。
「雪姫。また来たな」
「おかえりなさい」
・・・マックス。白姫さん。
「言ったろ、すぐ会えるって」
これも白姫さんの予言?
「雪姫、今度こそお別れだ。だが、いつか会える」
「雪姫ちゃん、もう来ちゃダメよ。絶対にね」
「・・・うん」
マックスが、私を抱きしめた。私も抱き返す。白姫さんとも抱き合った。
「お別れね・・・」
「さようなら、白姫さん」
2人が薄っすら消えていく。
「アォォォォォォォォォォン」
狼の遠吠え。悲しそうな声が聞こえた。
私の父親に成るはずだった、マックス。
私の母親に成るはずだった、前世の母、白姫さん。
さようなら。私は現世で頑張るよ。
「雪姫様!雪姫様!」
ギャリソン・・・。
「よかった、よかった・・・」
ギャリソンはヘタレ込んだ。
「私の丸薬で、雪姫様に万が一のことが有れば・・・」
「大丈夫。決まってた未来だったようだよ」
私の言葉に、ギャリソンは気が付いた。
「白姫様?でございますか?」
「みんなを集めて。マックから頼まれた事が有るの」
次回、男ってやつは・・の回。
月曜の更新が夜になります。




