けもの耳ろぼっとの自爆ぼたん
ばたん。
家の玄関からドアが閉じる音が聞こえてきた。
「おかえり…」
おおきいけもの耳ろぼっとがセンターから帰ってきた。
「聞いてください。新しいミミユニットは私の体につかないことがわかりました。
ユニットのみぞの形状が違うらしいです。
そのかわりに、自爆機能を新しくしてもらいました。
腕の肘のところにスイッチを付けてもらいました。
さあ。押してみてください。
さあさあ」
けもの耳ろぼっとは、自爆用のボタンを押すようにせまってくる。
「自爆用のボタンを押すとどうなるの?」
「そんなもの。決まっているじゃないですか。爆発するんですよ…
ちなみに本当に爆発したら危ないのでおもちゃですが…」
僕はボタンは押さなかった。めんどくさかったのだ。
「ところで、君は何しているの?」僕はナースろぼっとに聞いた。
今はフェネックナースだ。耳が大きい。
「削っている」ろぼっとはどこからか持ってきたグラインダーで金属を削っていた。
じっと見ていることにした。金属を削り、削り。そして削り。
次に削った金属を砥石で研ぐ。
その後は木製の持つところをつけて即効性ボンドで固める。
次に、今作った物を使って、小さい木の棒を削りだした。
木の棒の直径は小指より小さい。
高さ1cmの物は形になってきた。マトリョーシカだ。
半分に切って、はめるくぼみを作り、中身をくりぬいた。
そして、色をつけた。
さらにもうちょっと小さい、木をくりぬいて同じものを作る。
忙しそうだ。何段作るんだろう。
太さが小指より小さいので、その小ささでは人が作るのは無理な大きさだ。
ゲームでもしよう。僕はけもの耳ろぼっとに、話しかけないでと言ってゲームをすることにした。
☆☆☆
3時間後。ゲームに一区切りがついた。
顔をあげると、大きいけもの耳ろぼっとがこっちを見ていた。
「さあ。自爆ボタンを押してください。さあさあ」
ボタンを押してとくっついてくる。
「買い物は行かなくてもいいの?」僕はけもの耳ろぼっとに聞いた。
「いいのです。ボタンを押してくれるまで行きません」
以外にがんこだ。
「わかったよ。押すよ…」
僕は肘のところのボタンを押した。
びー。と音が鳴った。結構大きい音でびっくりした。
「自爆ボタンが押されました。あと45秒で爆発します。半径10メートル以内には近づかないでください。これは警告です。半径10メートル以内には近づかないでください」
自動アナウンスの音声が流れる。
ろぼっとの目が赤と普通の色で光る。
「ねえ。本当に大丈夫なの?」
「本当に爆発すると思いますか?」
「結構音が大きいし…」
「音量はボタンを押すと調節できます。今は最大ですね。耳が悪いおばあちゃんでも聞こえる音量です」
「そうですか…」
「あと10秒で爆発します。中止する場合は爆発する10秒前より前に背中のハッチを開けて解除ボタンを押してください…」
「10秒前に、10秒って言っても間に合わないよ…」
「いいつっこみですね。それも狙いです。あ。3.2.1……」
ぴかっと目とか全身が光った。
「ぼーん。どかーん」と音声が流れた。
ただそれだけだった。
「なんだ。つまんない…」僕はぼそっと言った。
「じゃあ。もう一度肘のボタンを押してください。今度は違うバージョンのです。
さあさあ。
さあさあ……」
またくっついてくるけもの耳ろぼっと。
僕はボタンを押した。
にゅー。ネコミミになった。尻尾は長い2メートルのになった。
「そのボタンではありません。自爆用のボタンです」
しつこかった。
「あー。うるさい」
僕は尻尾を引っ張った。
しっぽが取れた。
「な。なんてことを… 大変なことをしてくれました。
ぼっちゃん。さよならです。いままでありがとうございました」
「なんだよ。尻尾をひっぱたら。取れちゃったけど。これくらいなんでもないんじゃない?」
「尻尾はひっぱっちゃいけませんとあれほど言ったのに… あっ」
「あ。あってなんだよ…」
けもの耳ろぼっとはその後だまってしまった。
「体温の上昇を感知しました。内臓している電源の原子力装置の炉心が、異常になっています。
このままですと、温度上昇により炉心が融解しメルトダウンが発生します。
このろぼっとは機能を停止します。機能を停止します。炉心は隔離されます。
炉心の冷却のためろぼっとはばらばらになり液体窒素を炉心に噴出します。
それでも冷却が追い付かない場合は、退避をアナウンスします…」
「ねえ。なんかすごいメッセージが流れたんだけど…」
僕が言ってもろぼっとは何も答えなかった。
ねえ。ねえってば。ゆさゆさ体をゆらすが何も言わない。
「冷却のためこのろぼっとはばらばらになります。メルトダウンは回避されます。3.2.1……」
とつぜん。ボン。と音がして。ろぼっとはばらばらになった。
「へっ」
目の前の光景が信じられなかった。いつもの冗談かと思ってたけど、本当にばらばらになってしまった。
「ねえ。ねえってば… これどういうこと…」
僕はくずおれた。
10分後。家の玄関のチャイムが鳴った。
「けもの耳ろぼっとを管理しているセンターのものです。ばらばらになったろぼっとを回収にきました」
男の人が言っているが、とほうにくれて、何も考えられなくなっていた。
3名の人がきて、綺麗に回収していった。
☆☆☆
1時間後。
ばたん。
家の玄関からドアが閉じる音が聞こえてきた。
「あっ」言葉にならなかった。
大きいけもの耳ろぼっとが立っていた。
「しっぽはあれほど引っ張ったらいけないといいました」
僕はけもの耳ろぼっとに抱きついた。
「ばらばらになったんじゃなかったの?」
僕はもう一度けもの耳ろぼっとをハグした。
「ばらばらになりました。ばらばらになる前に記憶データはクラウド上に自動的にバックアップされました。その後センターで新しい体に記憶を書き戻されました。
幸い、紙テープはそのまま残っていましたので流用しました。
ちなみにこの体には自爆ボタンはついていません。
費用として親御さんに30万円の請求を出しました」
やっぱりいつものけもの耳ろぼっとだ。と思った。
「もうしっぽは引っ張らないよ…」
僕は涙目で言った。
「もう引っ張っても大丈夫ですよ。原子力装置は私には元から入っていないので、ばらばらにする機能は停止してもらいました。さっきの『親御さんに30万円の請求を出しました』というのはウソです。
おしりぺんぺんの刑10回でゆるします。
さあ。お尻を出してください…
出さなければ私が抱っこしてズボンを脱がせて叩きます」
☆☆☆
僕はその後、おしりぺんぺんの刑に処された。
☆☆☆
ぼくはボタンを押した。
にゅー。ネコミミが出てきた。
ぼくはボタンを押した。
にゅー。ネコミミがひっこんで、狐耳が出てきた。
ぼくはボタンを押した。
にゅー。狐耳がひっこんでトリモードになった。
ぼくはボタンを押した。
にゅー。トリの羽がひっこんでうさ耳が出てきた。
ぼくはボタンを押した。
にゅー。うさ耳がひっこんで、わからない動物の耳が出てきた。
「これ。何の動物?」
「えーと。なんでしょうね。私にもわかりません」
すっかりろぼっとの機嫌が直っていた。
ぼくはボタンを押した。
にゅー。耳がひっこんで小さいビール瓶が耳の位置に出てきた。
「耳ですらないよ…」
ぼくはボタンを押した。
にゅー。小さいビール瓶がひっこんで、コアラの耳が出てきた。
「いちおう新しい耳ユニットの内臓ができるようになったので、1つで2種類の耳が入るユニットにしてもらいました。ちなみにビール瓶は隠し耳なのでカウントされません。
あと、新しい体は機能が増えましたので体重は6kg重たくなりました。
体重が増えた責任はぼっちゃんにとってもらいます」
「なんだよ。それ…」
変なところもいつもと同じだ。
僕はまたボタンを押した。
にゅー。今度は黄金色の狐耳と9尾の尻尾がでてきた。
「これは大当たりですね。黄金に輝く狐耳と9尾の尻尾ですね。
これが出たらセンターに報告が必要です。1万円がもらえます」
「そんなにすごいの…」
「ちなみに、1万円は油揚げと高級な鰹節に使います。変更は認められません」
いつものけもの耳ろぼっとだ。
「わかったよ」
僕は言う。尻尾をふかふかしてみた。すごいボリュームだった。
「このままですと夜寝るのはうつ伏せです。寝るときにぼっちゃんの上に乗っかってもいいですか」
「だめだよ…」
僕はボタンを押した。
けれども耳は動かなかった。
「あたりの耳ですので、連絡してセンターの人が実際に来てみるまで変更はできません。
たぶん明日になりますね」
そうですか。
☆☆☆
ちなみにナースのろぼっとは、木彫りに夢中で気が付いていなかった。
高さ1cmのマトリョーシカの中に、5つのマトリョーシカが入るものを完成させていた。
なんか、ナースのろぼっとは大物みたいだ。




