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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パワーこそ最強、という標語のもと育ったら地上最強に鍛え上げられていたので冒険者になってみることにしました

作者: 虚ろな厨2

なんか一発ネタがたまったゆえテスト投稿です

好評なら連載……する、かもしれません

「パワーこそ最強」


 頭の良いんだか悪いんだかわからない言葉。

 それが俺の父さんの口癖だった。

 実に単純明快でスッキリした言葉だ。


 俺、アルバはそんな標語のもと、拳闘士である父さんに育てられたのだった。


「よいかアルバよ、パワーこそ最強だ。ゆえに問う、力が欲しいか?」


 幼い俺は、その言葉に対して即答した。


「おうッ! 俺に力をくれんのか父さん!?」

「お前が望むなら与えよう。俺の修行を乗り越えれば、お前は確実に力を身に付けられる」


 そんな会話を交わしたのは、俺が5歳くらいの頃だったと思う。まだまだやんちゃで遊び盛りの時分である。しかしその会話がきっかけとなり、俺は父さんと、厳しい修行に打ち込むことになったのだ。


 思い起こせば、頭のおかしい修行の数々だった。当時、なにも知らない俺は童心をきらめかせ、父さんに質問した。


「それで父さん。最初はどんな修行なんだ?」

「ちょうどよい。ここに通常よりもちょいと分厚い鉄の盾がある。これを軽く一撃、拳で打つ程度で貫けるようになろう」

「………………………………は?」


 その日から、頭のおかしい修行がはじまった。


 とりあえずハッキリしたことは、父さんは俺に対してやべーレベルの修行を用意していたということだ。幼いながらも本能レベルで、俺は父さんの修行のやばさを痛感していた。


 しかし親身になって俺を応援してくれるので、期待に応えない訳にもいくまい。まだ5歳の俺は、必死になって、まずは鉄の盾を拳で貫けるようになるまで修行した。


 しかしフツーにやったら鉄の盾など、幼児が打ち破れるはずもない。父さんにコツを聞いてみたら、鉄の盾を拳だけで打ち破るには、魔力をよく練って拳を強化し打撃を放つべし、ということだった。


 実に理屈はシンプルだが、あまりにも単純すぎて逆にどうすればよいかわからない。なんやかんやで、俺が鉄の盾を打ち破れるまで、たしか半年はかかったと思う。


「ようやく鉄の盾を破れたな! 次は最低でも1万発で貫ける筈だ、頑張れ息子よ!」

「父さん、なんか手の感覚が無いんだけど」

「それはな、強くなっている証だ!」


 たぶん違うと思った。

 しかしとりあえず、鉄の盾を100個ほど突き破った頃から、変化が表れた。その頃にはもう、俺は一撃で分厚い鉄の盾を貫けるようになっていた。最良の魔力の練り方、拳への力の伝え方を、本能的に覚えたのだ。


「よし、違う盾に変えるぞ? 鉄よりも強度が数千倍も高い合金製の盾だ。これも同じくらい分厚いから、気合いいれていけよ!」


 それ気合いでどうにかなるもんじゃないと思う。


 俺は幼いながらも内心で突っ込んだが、その頃にはもう、俺の拳は鉄よりも強堅になっていた。まず間違いなく、怪童の域には達していたのだ。

 しかし父さんは、鉄の盾から更なる修行メニューを用意した。俺の父さんがやべえ。


 今度は、合金製の盾を貫くべく、突きをはじめたわけである。流石は合金。鉄の盾を一撃で貫く俺が拳を放っても、最初はびくともしなかった。しかし数千万発くらい打撃を入れて、これも辛うじて貫いた。


「合金の盾を貫いたな、二つ目いくぞ」

「父さん。俺の拳をどうするつもりなの?」

「パワーこそ最強なのだ。黙して打ち込むべし!」


 俺はその言葉に従って拳を放ち続けた。次第に、拳へ込める事のできる魔力量も膨大になっていた。そしてついに、良質の魔力を拳へ満遍なく込める術も身に付けた俺は、一撃で合金の盾をも貫けるようになった。


「よし、合金の盾も問題ないようだな。次はオリハルコン製の盾だ。こいつは一説には不壊ともいわれる神話クラスの素材だから、気合いいれていけよ?」


 だから気合いでどうにかなるもんじゃ(以下略)。

 ここまで来てしまったからにはやるしかない。俺は、分厚いオリハルコンの盾をぶん殴り続けた。もうここまで来ると無我の境地である。伝説で語り継がれるオリハルコンを目にしたのは初めてだったが、感動している暇はなかった。


 流石はオリハルコンである。合金の盾を一撃で粉砕した俺の拳をもってしても、なかなか貫けない。しかし、何千発か拳を打ち込んだところで、ようやくそれも貫いた。


「よし、オリハルコンの盾、二つ目だ!」

「父さん、そんな素材の盾どっから仕入れてきたの?」

「気合いで仕入れた、俺に不可能はないッ!」


 また気合いかよ! 俺の拳壊れる! 

 俺は、そう思った。しかしそんな事にはならず、ついにはオリハルコン製の盾すらも、いつしか一撃で貫けるまでに、俺の拳は進化してしまった。俺が15歳の頃だった。


「よく頑張ったな息子よ!」


 父さんは、俺にそう言ってくれた。よく考えれば、とんでもないものを貫く修行をしていたと思う。しかし、俺の受けた修行はこれだけではない。


「アルバよ、次は基礎体力を鍛えるぞ。数千t(トン)くらいの重りを、両腕、胴、両足に付けて走り込みをするのだ。なに、力の伝え方は拳の打ち込みで熟知しているだろう。このくらいの負荷をかけてもノリで走り出せるさ」


 そんなの絶対おかしいよ。


 凄まじい負荷をかけた走り込みが、次は待っていた。しかし、父さんの言う通り力の使い方を、俺は既に知っていたのだろう。俺は、少しずつだが、はじめからその重りを引きずりながら走れていた。


 俺は毎日、その重りを付けて走り込みを続けることになった。それに加えて、父さんは俺に攻撃力だけでなく、防御力を鍛える修行も課してきた。


「突然だがアルバよ、剣や魔法による攻撃が来たとする。お前ならどうする?」

「え、盾で防御するんじゃないの?」

「実に惜しいな。正解は、もとからそれらよりも強固な体を作る事なのだアッ! というわけで、剣や魔法による攻撃を受けても、傷ひとつない体を作るトレーニングだ。身体に良質な魔力を練り、込めて自己を強化しろよ? 毎日それを続けていれば、耐久力もはねあがるはずだ!」


 んなメチャクチャな。しかし俺は、そのメチャクチャに付き合った。魔力との付きあいかたについては、もう既に本能的に解っていた。その日から、俺は父さんの言葉に従い自己強化を続けた。ついには、父さんから渾身の打撃を受けても傷ひとつないまでに至っていたのだった。


 攻撃力、防御力、魔力、基礎体力、瞬発力などなど、俺はありとあらゆる力(戦闘分野)を父さんから鍛えられた。まさにパワーこそ最強、という標語のもとである。


「素晴らしい! 長くにわたる修行によく付き合ったな息子よ。お前はもう、どこに出しても恥ずかしくない地上最強だろう! あとは、お前の望むままに生きるとよい!」


 かくして、俺はすべての(頭のおかしい)修行を終えた。そして今はもう、俺は18歳になっていた。


 もう少年期も後半である。考えてみると、俺の人生は苛烈な修行ばかりであったと言って過言でない。これからは、父さんの言う通り自由に生きよう。しかし学校すらも通ってなかった俺の進路は、現実的に考えて限られていた。


「父さん、地上最強はいいけど俺さぁ……これからどうすればいい?」

「ハハハ、冒険者とかになるのが堅実だろうな!」

「結局そっちの道かよ!」


 俺の青春返せ!

 俺は冒険者に成るべく、冒険者ギルドのある王都を訪ねることにした。

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