風神の告白
サジタリウスの大聖堂にいる主人公アンナ。
姉は美貌を持ち、父親は傲慢で母親は成金だった。
空は今日も青い。
空を見上げているとお姉様が本を持って私の隣に座る。
お姉様はパッツンで金髪でくるくるな髪の毛は私とは違い母親達に可愛がられていた。
私はと言うと白くてくせ毛が強かった。
そしてそばかすも多く疎まれていた。
目はお姉様とは違い緑色でまつげは短かった。
「そんなに凹まないで…お母様たちの事は気にしないで」
「……お姉様…………分かりました」
(本当はお姉様だって私のこと嫌いなくせに。
自分だったらヒステリックに叫ぶだろうに。
お姉様にはわからないわ。私のことなんて。)
お姉様は母親達の前では私を虐める。
それが本心なのかもしれない。
私はお姉様を睨みつける。
そこまで可愛くないはずなのになんて醜いことは言わないけどお姉様はあんまり可愛いというほど可愛くはなかった。
私よりは可愛いけれど。
宝石を散らしたような星空が私を見下ろす。
私の住んでいる地域では風神がいるとよく言ったものだ。
本では沢山その事が綴られていた。
紅に染まった龍、砂塵とともに消える龍____
人間の言葉を話せると有名になっていた。
「____有り得るわけないのに信じてしまう…私はやっぱりおかしいわ…。」
目を閉じて風を感じる。
髪の毛が揺れるとともに私の体を何かが取り巻く。
あったかい肌のような硬い何かが当たった。
髪を揺らす風が頬を撫ぜる。
「私と一緒に来るのだ」
「……風神様?」
「そうだ。私は風神アスタロト。」
アスタロトなんてかっこいい名前…
風神がアスタロト…?
私は目を開きアスタロトと名乗る龍の目を見る。
赤く鋭く何かをひめていた。
「…どこまで行くのかしら」
「ウィンググラード。風の谷だ。」
◆
風の谷とは風が年中吹き荒れる谷。
いつも空は霞んで見えるらしい。
平均20~25度
____よく人が死んでしまうほど深い。
「…私を殺す気?」
私は少し怒り口調で話しかける。
私は死にたくない。
だけどそこまで貪欲ではない。
「いいや、私はお主を仲間にしたいだけだ。」
アスタロトはいった。
私はこぼれ落ちる赤いりんごを思い浮かべる。
ちょうど一年前。
私はたまたま風の谷、ウィンググラードのあたりで遊んでいた。
そこにはたくさんの農民が住んでおり、特にりんご農園が多かった。
祖母がそこに住んでおり、たまたまおそ日に行っていた。
その日もりんごを貰いに行ったのだ。
「…おばあちゃん、今日のも赤いね」
「リンゴは私たちのために育ってくれてるからね。私達も沢山愛情を注がなくちゃね。」
祖母は91歳になるのに白い髪の毛を揺らし元気にりんごを育てていた。
私はそんな祖母が唯一の味方だった。
「リオネットのいうことは無視しなさいな。」
「うん…!」
私は元気よくうなづいた。
私は家に帰ろうと重たい足を動かした瞬間、風が大地を揺らした。
その時私の籠から赤い林檎がこぼれ落ちた。
祖母はそれから____行方不明。
風で吹き飛ばされてしまったのかもしれない。
今もわからない。
私は悲しい瞳で風神を見つめる。
風神は心を読むようににやりと笑う。
「その老人なら風の谷にいる。」
「い…生きてる!?」
こくんと首を縦に振る。
私の心臓はもう既にキャパオーバーだった。
《作者から》
短いですが更新は沢山するつもりです
宜しくお願いします




