表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電話が鳴った。メリーさんからだ。  作者: 北極ペンギン
2/3

仏 編

日本中を恐怖に陥れた

恐るべきItalian Maryこと

Marioは

スイスのジュネーブで姿を消した!


しかし、また新たな悪夢が

人々の前に現れる!

そう、彼女こそ我々を

絶望のドン底に落とし込んだ

かの悪魔、MaryことMarianne!


そいつと対峙した私の運命やいかに!

そして前書き詐欺は法律上セーフなのだろうか!?

前回のあらすじ!

突如わたしの電話越しに現れた謎の男!

カレは本名MarioでありながらMaryを名乗る!

彼の正体は一体……!

そして所持金不足からジュネーブで脱落した

彼の後を継いだのは、

フランスのMary、Marianne!

なんだこの混沌とした状況はっ……!

わたしの運命やいかに!


…………はぁ。

状況整理したら余計ワケがわからなくなってしまった。

まあ、頭のネジが外れるのもムリもない。

27時ですもの。

そしてどれもこれもメリーさんのせい………だと思う。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ジリリリリ

ジリリリリ


マリアンヌから電話が来て30分立った。

今現在27時30分。


ジリリリリ

ジリリリリ


受話器を取る。

耳に当てる。


「もしもし、Maryですわ!今からジュネーブを出ますわ!」


律儀にどうでもいい活動報告を述べてきた。

メリーさんの習慣なんだろうね。

いいよ、仕事に忠実なのは。

でもね。

あなたたちは今ヨーロッパにいるでしょ?

私は日本にいるの。

だからあなたたちが活動してるとき

時差でこっちは夜なんですよ?

律儀に毎回毎回どうでもいいこと報告されると

こっちは眠れないの。

お願いだから寝させて。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ジリリリリ

ジリリリリ


うんにゅ。

8時か………。

もう八時!?

学校に遅刻しちゃう!

ああ〜寝不足!

ああ〜血色悪い!

ああ〜肌が死んでる!

どれもこれもをメリーさんのせいだ!


ジリリリリ

ジリリリリ


こんな時になによ!

と思ったけど、原因であるとはいえ

目覚ましとして起こしてくれた。

とりあえず電話を取ってみる。


「Bonsoir~。Maryざます。ふわぁ〜。いまParisですわ。とりあえずHiltonホテルでチェックインしてきますわ。ふわぁ〜。おやすみなさい………ですわ」


時差を感じさせる電話だった。

メリーさんも大変だな。

もっとも、受け手が一番の被害者だけど。


さて、メリーさんはしばらく寝てることだろうし、

ちょうど学校に行ってる間は連絡ないでしょう。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「山田(仮名)さんが遅刻するなんて珍しいね」

「昨日いろいろあって……ふわ〜ぁ」

「寝不足?なにかあったの?」

「実はメリーさんから電話があって……」

「メリーさん…?外国の友達?」

「違う違う。メリーさんだよ。あのメリーさん。都市伝説に出てくるアレ。ほら最近わたし怪奇現象に悩まされているって言ったじゃん?ついにメリーさんから電話が来たのよ」


きっとこの子なら信じてくれる。


「胸の次はメリーさん?これだから貧乳は…ボソボソ」

「ん?胸がどうかした?言っとくけど私の胸が伸びないのは怪奇現象であって決して……」

「山田(仮名)さんの胸が小さいのは怪奇現象のせいなら、たしかにメリーさんとかいるかも。私、山田(仮名)さんのこと信じるよ」


ニパアアアと花開く薔薇のような笑顔を彼女は見せた。

美しく、妖艶で、こっそりとと棘を生やす彼女は


「ビッチ臭い売女ね、華は」

「突然なに?信じるって言ったのに」

「いや何でもないこっちの話」

「でも絶望的な胸の話は置いといて」

「おい」

「最近の山田(仮名)さん、少しおかしいよ?顔を合わせるや否やオカルト話持ち込んできて。前はそんなじゃなかったのに」

「いやホントにされてるんだって。昨日だって夜の三時半まで寝かせてくれなかったもん」

「あやしいわ。とてもあやしい!そうだ、きょう山田(仮名)さん家に泊まってもいい?友人が統合失調症だったら友だちとして助けてあげなきゃいけないし」

「ホンネは?」

「親と喧嘩して家帰りたくない。あと、悩みにつけこんで胸を揉みしだきたい」


私の貞操やいかに。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ジリリリリ

ジリリリリ


受話器が鳴る。

耳にあてる。

「もしもし?」


「おす、俺だよ、オレオレ。俺だよ、オレオレ。あんたの孫の……」

「私まだ高校生です!」


メリーさんではなくオレオレ詐欺だった。

振り向くと友人のニヤけた顔が目に入る。

ウザい。


ジリリリリ

ジリリリリ


今度こそメリーさんであってほしい。

でないと絶対また貧乳ネタでいじられる。


「スピーカーつけてね」

こっちがフリをしだすんじゃないかと

疑ってやがる!


「はい」

「おはようございます!Maryザマスよ!今からEiffel Towerを登りますわ!」


プツッ

ツーツー


何こいつ観光気分?


………。

何こいつ観光気分!?


思わず電話を地面に叩きつけた。


つか、昨日からずっと思ってたけどなんでそんなに遠回りするの?

朝だって、わざわざパリ行かなくてもそのままジュネーブから飛行機に乗って日本に来ればよかったじゃん!

仮にジュネーブ空港に東京便がなくともスイスのどっかの空港にはあるでしょう!?なんでパリ行ったの!?


「えっと………山田(仮名)さん?」

「なに?」

「おっぱい揉んでいい?」

「………好きにすれば?」


なんかとてもつかれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ジリリリリ

ジリリリリ

ジリリリリ

ジリリリリ

ジリリリリ

ジリリリリ


「いい加減取ったら?」

「どうせあんた信じてないでしょ?」

「いやでもうるさいし、ホントにメリーさんどうか」

「メリーさんだもの」


メリーさんでしかない。ここ数日たしかに怪奇現象は起きていた。そしてそれに結びつく電話。つまりメリーさん。

友達からすれば外国の友だちからのいたずら電話のように見えるだろうけど、これはれっきとした怪奇現象だ。


「もう………私が取るね。はい、もしもし!」

「Maryザマス!いまEtoile凱旋門にいますわ!」

「ねえ、もう山田(仮名)さん困ってるみたいだし、やめてあげたら?」

「ん?その声は山田(仮名)さんではないザマスね。貴女はどなたでございますか?………野薔薇 華さんザマスか?電話越しの相手が変わられると困りますの。下手したら始末書とか書かされますわ」

「何をわけのわからないことを言ってるんですか」

「トイレの便器を嗅ぎながら自慰した手で勝手に人の家のものを触ってははしたないですわよ?しかもちゃんと手を洗ってないでしょう」

「なっ!?はっ!?」

「しかも貴女、山田(仮名)山田(仮名)と連呼してましたよね?まあ、フランス人たる私は同性愛に関して寛容でございますが?でも人の家でそういった行為に走るのはいささか……」


ガシャン


「メリーさん、本物かもね」

「うん。それよりさ、わたしちゃんと受話器しめてなかったじゃない?たぶんスピーカー付けっぱなしだったかも」

「え?………えぇ!?」

「ちょっと話をしようか、レズ女」


友だちの思わぬ一面を見てしまった。

それもこれもメリーさんのせいだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ジリリリリ

ジリリリリ


また電話が鳴ってる。


ジリリリリ

ジリリリリ


さっき代わりに取ってくれた友人はとりあえずトイレに閉じ込めた。数十冊のBL本と一緒に。


ジリリリリ

ジリリリリ


ここはもう腹をくくって私がでるしかないみたい。


「はい」

「……………」

「あの」

「……………」

「もしもし?」

「……………ごくり」

「!?」

「メリーざますわ!今Parisでお食事中ですの!うむ、なんと芳ばしきことやEscargot。味も絶品ですこと。殻から抜き取り、舌に乗せた瞬間…………………!ごくり。本当に美味ですこと!そうですわ、ついでに世間話と」


プツッ

ツーツー


駄目。これ以上きいたら頭おかしくなっちゃう。

そういえばフランス人はよく食事中にコミュニケーションとるとどこかで聞いたことがある。

でも、電話はカウントされるのかな。

まあ、どっちにしろ許さないけど。


ぐぎゅう


腹の虫が鳴った。

メリーさんのせいだ。

あの大して伝わらないグルレポのせいで

お腹が空いてしまった。

時計の短針が8を越していた。

飯、食うか。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


21時。


ジリリリリ

ジリリリリ


電話が鳴ってる。


ジリリリリ

ジリリリリ


受話器をとる。

耳に当てる。


「もしもし、Maryざますわ!私はいまParis CDG(空港)におりますわ!」

こっちも半日経ってやっと空港に着いたか。

「そしてこれからfianceとvancancesに行ってきますわ!そういうわけですので、Au revoir!!!」


たしかにいま夏だよ。

7月だよ。

そろそろ夏休みだよ日本も。

でもさ、職務中にバカンスってどうよ。

しかもフィアンセと。

なに?メリーさんってそういった融通がきくの?

私もメリーさんになろうかな?


ーーーーーーーーーーーーーーーー


24時。


ジリリリリ


「わたくしMaryざます!いまNiceの海岸でくつろいでいますわ。それにしても人混みが凄いですこと!はあぁ、癒やされますわぁ〜!そういうわけですので、あと5週間は休みますわ!」


ご、5週間!?

死刑が5週間延長された!?

というかありなの!?



5週間寿命が伸びた私。

一向に伸びない胸。

そして未だトイレに閉じ込められている友人。

どうなる、私!

そしてメリーさんはいつまともに働くのか!

続く!

前書きはあてになりません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ