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ガバメントマスター

ガバメントマスター

作者: 川里隼生

 東京都港区JR田町駅前。テロ組織『世界統一委員会』のメンバーを名乗る男がマシンガンを乱射。負傷者数人。男による発砲は続き、救急車が入れない状況。


「そこまでだ」

 人々の悲鳴が響く街に冷静な男の声がした。そこにはまるで特撮ヒーローのようなスーツを着た人間が立っていた。右腕には赤文字で『日本政府』、地が黒い左腕には白文字で『国家公安委員会』と書かれている。右手に手錠を持っていることから考えると警察官だろうか。


「ガバメントマスターだ。銃刀法違反と傷害の罪で現行犯逮捕する。場合によっては殺人未遂」

「黙れ。我々の要求を聞かないお前らが悪い」

 世界統一委員会の男はマシンガンを自称ガバメントマスターに向けて撃った。弾丸を受け、数メートル吹き飛ぶ。

「攻撃確認。できるだけ穏便に済ませたかったんだけどな……」

 ガバメントマスターはベルト右側の箱から灰色のUSBメモリのようなものを取り出した。ベルトのバックルに差し込まれている黒いメモリを外し、灰色のメモリを差し込んだ。


「Ministry of Defense」という電子音声が聞こえた後、一瞬だけ男の体を光が包んだ。男の左腕の文字が灰色の地に白で『防衛省』に変化していた。持っていたはずの手錠は消え、右肩にロケットランチャーを装備している。

「覚悟はいいか?」

 世界統一委員会の男にロケット弾が炸裂する。

 爆発音の後には、救急車のサイレンが聞こえてきた。


「おかえり、基旗くん」

 首相官邸。帰還したガバメントマスター、本田ほんだ 基旗もときを官房長官が迎えた。

「どうも。それより、これで本当に終わりなんですよね?」

「それなんだが……すまん。やはり君しか適役はいないんだ。君のお兄さんにも試してみたいんだが、彼は行方不明だしね」

「はあ。仕方ないですね」

「すまない。日本政府は君に全面協力する」


 本田基旗は本来であれば大学1年生だ。ある日突然政府に呼ばれ、官房長官からこのような話を聞かされた。

「最近、世間を騒がせている世界統一委員会のことは知っているだろう。昨年までは主に中国で活動していたのだが、今年からはとうとう我が国も彼らの活動地域に含まれてしまった。今は自衛隊で応戦しているが、政府としては自衛隊は国内ではなく国外からの脅威に備えたい。それで国内の治安を守る特別な装置を開発した。しかし、どうやら『マスタードライバー』は装着者を選ぶようだ。詳しくは秘密なんだが、君しか変身できない。頼む、やはり君がガバメントマスターになって日本の治安を守ってくれ」


 本来は基旗以外で変身できる人間が見つかるまでの予定だったのだが、1ヶ月経った今でも基旗以外でガバメントマスターに変身できる人間は見つかっていない。


「官房長官、今度は神田で世界統一委員会がビルを占拠したそうです」

 黒いスーツの男が部屋に入ってきた。

「わかった。基旗くん、出動だ」

「はい」

 基旗はベルトに赤いUSBメモリを差し込んだ。USBには『MIC』と書かれている。総務省を表すMinistry of Internal Affairs and Communicationsの略だ。基旗は国家の平和を守るため、今日も戦っている。

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