七話 周囲を思って、泣く。
1000文字切りの短編のような話。
でも多分、一番重い部分。ある意味で、閲覧注意。
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目が覚めた。すぐに窓の外を見て時刻を確認する。どうやらちゃんと朝に起きる事が出来たようだ。
窓に向かって手を伸ばしてみる。見える筈の青空も、血が通っている証拠であろう赤いものも見えない。
もう自分が死んでいることに、憂いはないつもりだった。自分の死体を見た後も。
それでも、こうも突き付けられて、一息付いて、一眠りして、
考えるのもやめて、少しばかり何も考えずに眠って、
ようやく、ようやく自分の深い所で、腑に落ちた気がする。
……少しばかし、落ち着いた事の代償なのか、急に喪失感が襲ってきた。
ああ、私、死んだのか。
……最後に泣いたのはいつだっただろうか。親元を離れて一人暮らしをする引っ越し前の最期の別れの時だっただろうか。それとも高校最後の日に友人たちと一緒に行ったカラオケだっただろうか。
少なくとも、ここ最近は泣いた記憶が無い。
死人に口なし。
死んだ人が語ることはない。
死んだ人が、生きている人に、語りかけることは、出来ない。
ごめんなさい、お父さん、お母さん、お兄ちゃん。
もう連絡も取れない小学校の頃、親友だと思っていた皆。ごめん。
様々な事件があって複雑な間柄になってしまった中学時代の皆。ごめん。
選ぶ道がことごとく違った高校の時の友人達。ほんとうにごめん。
私は、死にました。ごめんなさい。
親不孝者で、
何も出来なくて、
まだ何もしてあげられなくて、
もう何も出来なくてなってしまって、
ごめんなさい。ごめんなさい。