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「「「おかえりなさいませ、坊っちゃま。」」」
「あぁ、ただいま。頼んだアレは届いてる?」
「はい。」
小さな小包を受け取り藍奈を連れて自室に戻る。
「想様、それは…?」
「お前への贈り物だよ。」
「私に…ですか?」
「そうだよ」
藍奈にそれを押し付けて着替えを始める。
「想様、私は…」
「そこにいてくれて構わないよ。 …あぁそれから、その小包開けな。」
「はい。」
ぺりぺりと包みを開ける音がして、そのあとすぐに藍奈の感嘆を含んだ声が聞こえた。
「気に入ったかい。」
「…はい、とても。」
贈ったのは藍奈に似合うであろう黒のワンピース。
藍色の髪に似合うはずだと思って特注したんだ。
「ありがとうございます、嬉しいです…。」
「うん。」
ワンピースを抱きしめて笑う藍奈を見ながら僕も口元を緩ませた。