雑文やきにく「今、焼肉屋のタダ券が2枚手元にある~さて、誰と行くかが問題だっ!~」
注意:作中で『タダ券』という表現を使いましたが、今読み返すとジャングルポイントで『購入』したんだからタダではないと気づきました。まっ、面倒なのでそこはスルーして下さい。
ここは大都会『米沢』・・のちょっとはずれ。そこに築33年になるボロアパートが建っていた。
そしてこのアパートは近くにある大学と提携していて、そこに通う学生の下宿先として貧乏学生たちを格安まかない付きで住まわせていた。
そんなアパートの一室で、今ひとりの男がスマホの画面を見ながら唸っていた。
「ぐぬぬぬぬ・・、上カルビが一皿858円(税込み)で、ロースが748円。ハラミはちょっと安いけど、それでも638円か・・。うわっ、黒毛和牛上カルビって一皿1628円(税込み)もするのかっ!」
その言動から閲覧しているのは多分焼肉屋の値段表だろう。因みに他のメニューの値段はねぎ塩豚カルビが税込み580円で、厚切りのミノが830円、牛レバーは538円と表示されていた。
更にはご飯は大盛りで429円、ミニビビンバが605円、カルビクッパは748円の値段が付いており、焼肉のお供とも言える生ビールは中ジョッキ1杯が550円だった。
まぁ、確かに安くはないが今はハンバーガーでさえ500円はする時代である。そうゆう意味では男が閲覧している店の値付けはそれ程法外なものとは言えないだろう。
とは言え、それは一般的な収入がある身なればの感覚で、ボロアパートに住んでいる学生という身分の男にとっては中々手が出ない値段なのかも知れなかった。
しかし今回男には奥の手があったらしい。それは男が趣味で作品を投稿している素人小説投稿サイトの換金システムで得た1年分のジャングルポイントだ。
そのポイントの全てを今回男は焼肉屋のタダ券と引き換えたらしい。
まっ、とは言ってもその換金額はたったの3千円だ。いや、その小説投稿サイトでの3千円分のジャングルポイントは作品が相当読まれていなければ得られない額である。
そうゆう意味ではこの男の作品はそれなりに人気があるのかも知れない。
いや、それはないか。3千円分のジャングルポイントは大体12万pvである。この数字は人気作品ならば3日で叩き出す数値だ。
それをこの男はこつこつと1年かけて漸く貯めたらしいのだから、ある意味涙ぐましい話である。
因みに男が手にしているタダ券は2枚だった。そして1枚のタダ券で使える金額は3千円。
ならば計算が合わないと思うだろうが、それにはからくりがあって、なんと現在ジャングルポイントはキャンペーン中だったので2倍分換金できたらしいのである。←勿論上限額は設定されている。確か5千円だったかな。
このラッキーにより男は今、6千円分の焼肉が無料になる権利を持っているのだ。
しかしタダ券には1回で1人1枚のみが使用可能という制限があり、オーバーした分は別途支払いになるようである。
とは言え3千円は無料になるのだ。この額は上カルビでも3皿注文出来る金額である。これに中ジョッキの生ビールを一杯追加しても130円の追加料金しか発生しない。
まさか如何にこの男が貧乏学生だったとしても130円が払えないほどではないだろう。
もっともこの男、何故か『ひとり焼肉』に抵抗があるらしい。なのでタダ券は2枚あるので女性を誘いたいらしいのだ。
と言う事で値段の確認を終えた男は、今度はその誘う相手を吟味し始めた。勿論性別は女の子オンリーである。
「むーっ、クラスメイトの中では常盤さんが一番美人だけど、今まで一回も喋った事がないから無理か・・。」
いや、それって無理とかいうレベルでは無い気がするのだが?こいつ結構ずうずうしいのか?
そして男は第二候補の検討へ移ったようである。
「小野小町さんにはノートを貸した実績があるから接点はあるけど、前にその事の対価として昼食に誘ったらやんわりと断られたから今度も誘っても見込みなしか・・。」
うん、やっぱりこいつロクデナシかも知れない。普通はノードを借りたくらいで焼肉屋について行く女の子はおらんっ!
次に第三の候補として男はアルバイト先の可愛らしい同僚の女の子を吟味し始めた。
「静ちゃんか・・。むーっ、可愛いけどこの前映画に誘ったら彼氏がいるって断られたからなぁ。うん、彼氏持ちを焼く肉に誘うのはマナー違反だよな。」
いや、それは多分やんわり断る口実だと思うぞ?そもそもお前、自分の容姿に関して鏡を見た事があるのか?
どう贔屓目に見てもお前ってもっさいプチおデブな男子大学生21歳じゃんっ!しかもきっとSFヲタクだろう?しかも貧乏じゃんっ!
いや、すまん。人を見た目で判断してはいかんな。
でもそんな男の次の言動はやっぱり駄目だと思う。
「あーっ、なんか俺の周りってあんまり女の子がいねぇなぁ。残っているのはこの下宿先でまかないを作ってくれている磐長ばあさんくらいか。いや、ばあさんを誘うくらいならばタダで券をくれてやった方がマシだよ。」
うん、まぁ、独り言だからな。ここは大目にみてやろう。でも磐長姫の呪いはちょっと怖いぞ?
その後も、男は少しでも関係がある女性を思い浮かべては断念するを繰り返し、結局ひとりで二回行く事にしたようである。
まっ、ひとり焼肉もある意味気楽だからよしとすべきだろう。
だが、その時友だちがいないはずの男の部屋を訪ねる者がいた。しかも可愛らしい女の子がであるっ!
ただ、なんか少しヤンキーが入っている気がするのは気のせいだろうか?とは言え、男の部屋に女の子が訪ねてくるなんて、これは天変地異の前触れなんじゃないのか?
そしてその女の子は開いていた玄関から勝手に部屋の中に入ってきて、男に挨拶してきた。
「ハロー、兄貴。相変わらず女っ気のない部屋ねぇ。でも一応掃除は行き届いているようね。あははははっ、女の子を誘い入れる予定も無いのに準備だけは怠らないってか?」
「咲耶、このやろう。いきなり入ってくるなりそれかよっ!と言うか許可無く入るんじゃねぇっ!ここに俺の彼女がいたら二股かと勘違いされるだろうがっ!」
「いや、兄貴。そんな漫画みたいな展開が兄貴に起こる訳ないじゃん。」
「うるせぇっ!と言うかなんなんだよ。何しに来たんだ?」
「あーっ、なんか風の噂で瓊瓊杵が浮気しているかも知れないって聞いたんで確かめに来たの。」
「瓊瓊杵が浮気?けっ、あいつも懲りねぇやつだなぁ。」
さて説明しようっ!瓊瓊杵とは咲耶の旦那で、男と学年は違うが同じ大学の別学部にいる男なのだっ!
だが、この男。2年前にまだ高校2年生だった咲耶とえっちして、咲耶を一発で身ごもらせた種馬やろうだったのであるっ!
だが男はそれを疑問視して文句を言ったので、咲耶に父親の自覚がねぇぞっ!と〆られた情けない男でもあった。
そんな境遇の妹に対して男は問いかける。
「で、あいつにはもう会って言質は取れたのか?」
「いや、逃げられた。なので今日は泊めて頂戴。で、私まだご飯食べてないからどこか連れてって。」
「ちっ、しょうがねぇなぁ。まっ、丁度焼肉屋のタダ券があるから焼肉でも食うか。」
「おっ、いいねっ!うん、行こう、行こうっ!私、米沢牛の上カルビが食べたいっ!」
「食わせられるかっ!幾らすると思っているんだっ!」
とは言え、可愛い妹の願いである。なので男はなけなしのヘソクリを出してきて妹と焼肉屋へ向かったのであった。
かくして取り敢えずひとり焼肉は回避出来た男であるが、ただその際喜んだ妹が店までの道中、過剰なスキンシップとして男の腕に自分の腕を回しぐいぐい引っ張ったのを大学の生徒が見ていて、それが後日SNSを通じて変な噂として大学中に広まった。
うん、ある意味人気者だな、この兄貴。と言うかそんな事が話題になるのか?この大学の学生たちって大丈夫なんだろうか?他に話題がないのか?
おかげで男は噂の火消しに奔走することとなった。まっ、焼肉では火柱が上がった時は慌てず氷で押さえ込むそうだが、人の口は氷では閉じらせられないから面倒だ。
「いや、だからあいつは妹なんだってっ!」
「嘘つくなっ!全然似てないじゃないかっ!」
学友はなんとスマホのパパラッチ画像を証拠として提示して男に詰め寄る。
いや、それって盗撮行為になるんじゃないのか?あぶねぇやつだなぁ。
しかし男の返答はあっけらかんとしたものだった。
「そりゃそうだ、だってあいつは親父の再婚相手の連れ子だからな。俺と血は繋がってねぇもの。」
「えっ、てことは義理の妹?」
「そうゆう事。」
「えっ、なんな子とお前、あのボロアパートで一緒に寝たの?」
「まぁ、確かに狭いけどふたりくらいなら寝れるさ。今の季節ならば掛け布団はいらないし。」
「そうゆう問題じゃねぇっ!」
まるでアダルトゲームの朴念仁主人公みたいにニブチンな男に学友は突っ込んだ。
因みに、これまで男は貧乏だと説明してきたが、実は男の実家は結構大規模な運送会社を営んでおり、そこそこ裕福だった。
だが、家を出て一人暮らしを始めるにあたり、男は父親から社会の荒波に揉まれて来いと言われて、最低限の金額しか仕送りされなかったので男は常に金欠だったのだ。
まっ、金持ちの家に生まれたからと言って、誰しもが周りからちやほやされるおぼっちゃま待遇を受けられる訳ではないのである。
なので浪費をせずに貯金しろっ!もしくは素人小説サイトで月に333万PVを叩き出せっ!
このPVならば月額8万円にはなるらしいぞっ!
-お後がよろしいようで。-
くくく、後出し情報による、実は主人公って勝ち組だったという事実に貧乏人たちは悔しがれっ!
そう、主人公は地元に戻れば親の運送会社の若旦那として上げ膳据え膳生活が担保されているのだぁ~っ!
まっ、創作だからね。なんとでも書けるわな。でも現在リアルな地方経済は中々厳しいものがあるから跡取り息子だからと言ってフェラーリやポルシェを乗り回せるかというと微妙だね。
いや、実は大型トラックの新車の値段はフェラーリより高かったりするんだけどさっ!




