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ザビ共和国 ケベ空港

 入国審査を終えると、空港のロビーに下り立った。

 さすが首都の空港である。

 人でごった返している。

 ここから列車に乗り、一旦指定されたホテルに入る。そこで現地の連絡員と接触し、科学研究所へ潜入の準備をする段取りになっている。

 

 車窓から見えるザビ国の景色は、意外と美しい。

 それにとても判りやすい。鉄道をはさんで右側が伝統の街、左側が近代科学の町になっている。

 ザビ国の歴史は古い。

 さまざまな戦争や内紛があったものの、建国してから2千年が経過しており、現在まで現代的なビルのほかに石造りの伝統的な建物も建築されてきた。

 元来ザビ国は地盤が固いらしく、地震が起こったためしは無い。

 そのせいか、石造りの建物の中には、2千年間建設当時のままの重厚なデザインの姿で、いまだに現役で使われている建物も少なくない。

 プライベートで来たならば、そういう史跡を巡るような観光をゆっくりとしたいと思えてくる。


 反面、左側は伝統的な建物はほとんどなく、近代的な高層建築が連立している。

 建替えの工事中もところどころに見える。実にきれいに分かれている。

 これには、ザビ国の大胆な都市計画が反映している。


 世界に産業革命が訪れた約200年前、賢帝と称される当時の皇帝ルルゼフ3世が、伝統を壊すことなく新しい科学文化を取り入れるため、鉄道の線路を起点とした大胆な都市計画を打ち出した。

 伝統と科学を融合させるのではなくきっぱりと分けたのである。

 当時のザビ国内では、新しい科学文明に対するさまざまな意見が飛び交い、収集がつかなくなりつつあった。

 その時、普段はあまり表舞台に出ない皇帝の鶴の一声で、この形の原型が決まったと言われている。

 歴史の浅い我がユーリ連邦では考えられないことだ。

 多分、我が国で同じようなことがあれば、もめにもめて結局折衷案のようになり、いいかげんな都市の姿になっているか、一旦都市を捨てて別のところに新都市を建設している可能性が非常に高いと思う。



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