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俺の右腕

 俺は、ミッションカードをカードリーダにセットし、サングラスタイプのディスプレイでデータチェックしながら、宿舎に向かった。


 部屋で脳をフル回転させながらデータを覚えていると、来客のチャイムが鳴った。宿舎の部屋にはホームコンピューターはついていない。昔ながらの呼び出し音である。

 

 出てみると、アルミケースを持った兵器開発センターの識別バッジをつけた将校が立っている。

 どうやら俺の右腕を持ってきてくれたらしい。

 いつもは、センターまで受け取りにいくのだが、今回の任務はよほど重要らしい。


 俺は、データの記憶を一時中断し、懐かしい右腕を装着することとした。アルミケースをあけると確かに俺の腕がきれいに掃除されて入っていた。


 俺の右腕は、特注品である。

 これ一本で家を1軒丸々買えるほど高価だそうだ。

 なぜなら、この腕は普通の義腕ではない。れっきとした兵器なのだ。

 もっとも、手のひらから弾丸が飛び出したり、火を吹いたりするわけではない。いろいろと細かい機能はついているが、一番の違いは、基本性能である。


 反応速度が市販品の約4倍、パワーが約100倍まで引き出すことができる。

 しかし、普通の生活ではかえってその力は危険なため、通常モードと戦闘モードの2種類で使い分けをしている。


 通常モードだと、一般の市販品と変わりないどころか、健常者と全く変わらない生活が過ごせる。

 強いて違うところといえば、使用している人工皮膚が超強力な特殊素材のため破損しないことから、怪我がありえないことと、爪が伸びないことぐらいで、日焼けまでやってのける。

 しかし通常モードでひきだせるパワーは普通人と同じくらいまでしか発揮できない。


 戦闘モードになると、そのリミッターが外れ、パワーが約100倍まで出るようになるわけだが、パワーコントロールが難しい。

 というより、ほとんどコントロールできないに等しい。

 もともと、人間に出せないパワーのため感覚が追いつかないのだ。ちょうど、パワーショベルを右腕につけているようなものである。


 戦闘モードへの切り替えは、コードナンバーを入力することによって行う。

 入力方法は、右手首の裏側、普通の腕ならば動脈が通っているあたりに携帯電話のダイヤルボタンのような12個のイボがあり、そのイボを押してコードを入力する仕掛けになっている。

 一旦戦闘モードになると、通常モードに戻すコードを入力するまで戦闘モードは続く。うっかり切り替え忘れて、ドアノブをぶっ壊したことが何度かあったが、戦闘中に通常モードになってしまうよりはずっと良い。


 今回のオーバーホールは、前回の作戦中にまさにそれが起きたためで、3メートルのサイボーグと取っ組み合いの真っ最中に勝手に通常モードになってしまい、危うく命を落とすところだった。二度とあんな体験はしたくない。



 翌日、データを丸暗記した俺は、頭を休ませるために熟睡し、その後、宿舎を出てトレーニングセンタに向かった。


 この基地のトレーニングセンターは地下三階にあり、コンピュータコントロールによるシュミレーション訓練が主であるが、俺は一番奥にある火薬銃弾用の試射ブースに入った。

 確かに、最新のレーザー銃やヒートガンは、威力がずば抜けていたり無反動だったりそれなりに良い面が多々あるので俺の装備には欠かせない。

 が、今まで俺の命を支えてきたのは、結局単純な構造で昔から改良しつくされてきた火薬銃器だったこともまた事実である。



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