表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

Mr.R 現る!

 俺は、あやしまれないよう清掃員の仕事をしながら食堂に入っていった。


 職員数は1000人近くいる施設なので、食堂も広い。

 もう午後1時近い時間なので、利用者のピークは過ぎているようだったが、それでも半分ぐらいの席は埋まっていた。

 研究者が多いせいか、白衣の人間が結構いるし、技術者の作業服姿の人も多い。


 モップを持って食堂に入った俺を、数人の白衣姿の人間が食事をしながらチラッと見た。

 別に不自然なことではないが、俺のスパイとしての本能が頭の中にかすかな警報を鳴らし始めた。

 なんとんなく不具合さを感じながら、俺は作業用帽子を目深にかぶり、ダストボックス付近の床をモップでふきながらMr.Rが来るのを待った。


 Mr.Rは、昼食をとった後、紙ナプキンで口を拭きながらダストボックスに近づき、口を拭き終わった紙ナプキンを丸め、ダストボックスに捨てようとして「あ、ゴミ箱いっぱいだなぁ」と言う。

 俺は、「あ、私が捨てときますよ」といって紙ナプキンを受け取る。その紙ナプキンに設計図のマイクロチップが包まれているので、俺はそれを持って脱出する・・という段取りになっている。


 一人の男が近づいてきた。

 白衣を着た金髪の男だ。

 俺が作戦前にミッションカードで記憶したMr.Rの顔写真と一致している。が、体がやけにごつい。

 プロレスラーが白衣をきるとこんな感じかと思われるように盛り上がっている。

 たしかデータでは、身長170センチ、体重55キロのはずだが。身長は確かに170センチくらいだが、体重55キロということはあるまい。

 最近ボディビルでもはじめたのか。


 俺の頭の中の警報は、ちょっとだけ大きくなった。


 Mr.Rと思われる男が白い手袋をつけたまま、紙ナプキンで口を拭きながらダストボックスの前に立った。

「あ、ゴミ箱いっぱいだなぁ」

 やけにでかい声で言って、わざとらしく俺のほうを振り返った。


 俺の体内警報は一気に高レベルまで達した。


《やばい・やばい・やばい》


 しかしこの状況では、とりあえず紙ナプキンを受け取るしかない。

「・・・私が捨てておきます・・」

 俺はそう言って右手でモップを持ち、左手を差し出した。

「あぁ、わるいなぁ」

 そう言うと、Mr.Rは丸めた紙ナプキンを俺の左手の掌に置いた。

 と、次の瞬間、俺の左手首をすごい力でつかみ、にやりと笑いながら言った。


「ごくろうさん、ケンジ中尉」


「やっぱり!!!!ばれてる!」


 俺は、紙ナプキンを握ったまま、左腕を振りほどこうとしたが、びくともしない。まるで万力ででも固定されているようだ。

 「どうだい。君の腕もすごいらしいが、このパワースーツもいいだろう。まだ試作品だがね」

 Mr.Rはそう言うと、空いている手で、白衣の胸元を広げて見せた。

 渋い銀色の胸当てが見える。

 なるほど、俺の左腕をつかんでいる白い手袋はパワースーツの一部だったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ