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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

母がプリオン病という、クソみたいな病気を患った事について。

作者: 灰色

※最初に注意があります。内容は感情的であり、個人的感想です※

※現実に起こる命の問題であり、少しでも気分を害したのであれば、すぐ読にむのを辞めて下さい※


『プリオン病という、クソみたいな病気について』


 2025年12月の最初に母の脳に異常があると、すぐ大きな病院で検査入院に入りました。

 当初は何らかの脳の病気であっても、手術や時間が経てば後遺症があっても無事に帰って来るだろうと思っていました。

 最初の検査が終えた時点で「橋本脳症」か「プリオン病」だろうと言われました。

 橋本脳症は推定20万人くらい一人、プリオン病は100万人に一人という確率です。

 個人で調べたので、多少違いはあるかもしれません。


 調べれば調べるほど、自分の中で症状を見ると「プリオン病」ではないかと疑念が出ました。

 しかし100万人に一人……そんなハズはないと何度も自分に言い聞かせました。


 それからまず「橋本脳症」に効果が出る言われているステロイドの薬物投与が始まり、一週間が経って再検査になります。

 正直、その途中でもう個人的には「プリオン病」ではないかと、強く思っていました。

 理由? 全然母の状態が良くならないからです。勿論、だからといってその可能性は低い。

 そして検査結果は「プリオン病。クロイツフェルト・ヤコブ病」。

 医者から家族と本人の前で告げられました。


 軽く説明しますが。「プリオン病」は、発症不明、薬も無い……。

 完全に何も出来ない病気で、進行すれば身体も動かなくなり、話せなくなり、認知症の様にボケていく。

 症状は週間か、或いは日単位で悪くなる。

 医者からは春先にはもうほとんど動けないかもしれない

 下手すれば年を越したら、家族で介護すら出来ないほどになるかも知れないと。

 そうなると療養施設、病院に入って後は死ぬまでそこです。

 母にとっての死に場所は急変でも起きなければ、そう言った場所になります。

 本人にまだしっかりと意識があるのにそれを告げられるのは、全ての人にとって地獄です……。


 母は気分が悪いと途中で病室へ帰っていきました。

 僕たち家族は医者からの説明を聞きましたが、今のうちに家に帰った方が良いという話でした。

 分かりますよね?

 もう助からないから、まだ頭や身体が少しでも大丈夫なうちに「最後の思い出作り」をするんです。


 ここからは感情の垂れ流しです。嫌な人は読まずに去って下さい。良い事なんて何もないです。


 ふざるな! 確かに人は死ぬよ! そんな事は分かってる。でも理屈じゃないんだよ!!

 母は、僕がイジメに合って不登校時に唯一何も聞かず「学校は行かなくていい」と言ってくれた。

 僕が生まれてすぐに父がなくなり、18歳くらいに再婚するまで、兄と僕を母子家庭で育てて!

 苦しくても僕たち兄弟を優先して! そんな兄は交通事故で死んだ!!

 それでも頑張って僕みたいな、どうしようもない人間を育ててくれた!!

 まだ親孝行もしてない……もう何も出来ない!

 

 なんでだ? なんで母ばかりがこんな目にあう! 神も仏もくそくらえだ!!

 世の中、母の代わりに死んでもいいクズなんて一杯いるんじゃないか?

 言い過ぎかも知れない! でも、なんで母がそんな死に方をしなくちゃならないんだ!!

 母には「がんばって」も「良くなるよ」も言えない。言える訳がない! もう知ってるんだよ!

 なんて声を掛ければいい? 謝ればいいのか? 礼を言えばいいのか?

 それで本当に母は救われるのでしょうか? もう、僕自身も父 (義父)も分からない。

 そして一番辛い母自身がきっと……何も分からない。

 なぜこうなったのかと。


 母は涙を人前で見せない人でした。

 でも医者から話を聞き終えて戻った時、泣きながらこう言ったんです。

 『家に帰りたい』

 勿論、少しでも家族の時間を作る為に当たり前の事です。介護もこれから必要になります。

 そんな事はどうでもいい。母が泣きながら言う言葉に僕は……。

 『早く帰ってゆっくりしよう』

 そんな事しか言えませんでした。

 最後に病室を出る時に、母が呟いた言葉が忘れられない。

『迷惑かけてごめんね』

 馬鹿みたい。迷惑なんてかけて当たり前なのに……。本当に、全部が馬鹿みたいだ。


 今は母が帰ってくるための家の整理と……死後に向けた行動をしています。

 死はすでに確定しています。余命宣告ではなく、死刑宣告だと思っています。

 母が居ない家は静かで、いろんな物がどこにあるか分からず、忙しくて大変です。

 何かをしている時は、少しは気が紛れて良いですが、ふと母の事を思い出すと本当にきつい。


 世の中当たり前の様に人が死んでいます。

 事故、事件、病気、戦争……様々な理由でニュースで人の死が流れます。

 結局それは自分に関係が無い限り、ただの数字に過ぎない。

 だって無理でしょう?

 その日に亡くなった人の悲しみをその都度味わえなんて、人には不可能です。

 

 きっと僕よりも不幸な人は山ほどいるのでしょう。

 この話を読んで、そんなの当たり前でこんな事を表現するのは弱い人間だと思われるかもしれません。

 でもそういう問題じゃないんです。結局他人は他人では自分は自分。

 他人の不幸は決して自分の物には出来ず、不幸や悲しみの大小に関わらず、きっとただただ辛い。


 もうすぐクリスマスに正月が来ます。

 多くの人の幸せがあります。正直に言います。

 そういう人達に嫉妬し、そして自分勝手に恨んでしまいます……。


 きっとこれは経験しないと分からない事だと思います。

 不幸のすぐ側の幸せが悪いとも悪だとも思いません。

 でも、知って下さい。

 大切な人はいますか? 死んでほしくない人はいますか?

 死にます。必ず。自分も含めて。

 だから、月並みですが普通の時間を大切にして下さい。

 今ある時間は決して無限ではなく、ある日突然崩れ去る時が来るかも知れません。


 どうか、大切な人、大事な人、死んでほしくない人……その人との時間を大事にして下さい。

 ここまでお読みいただいた方には、謝罪とお礼を。

 個人的な感情の話ですみませんでした。そして、少しでも読んでいただきありがとうございました。

 次の一文で終わりにしたいと思います。


 生きるって、楽しくて辛く……嬉しくて残酷ですね。


 最後までお読みいただきありがとうございます。

 個人的な感情を垂れ流しただけだったのですが、

 驚くほど多くの方に読んでいただき、感謝しかありません。

 母の事に関しては絶対ではありませんが、進展があればまた短編で何かを書くかもしれません。

 恐らくそれは母の最期か、それに近い時になるでしょうが……。

 今回のエッセイで、少しでも読んでいただいた方の琴線に触れる事があれば、幸いだと思います。

 では皆様、良いクリスマスと正月をお過ごし下さい。

 幸せをどうか大切に……。


 

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