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その声を聞かせて  作者: 凪
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#2 生い立ち

高月家の生い立ち


私は父と母と三人家族でごく普通の幸せな家族だった。

東京と言っても端の田舎の地域だった。


父は小さいけれど工場の社長をしていて、従業員とも仲が良くいつも楽しそうに笑っていた。

母はピアノの先生として近所の子供たちに細々と教えていた。

そんな母の影響で家の中は音楽にあふれていた。

私も物心付いた時には音楽に触れていて、音楽が近くにあることが当たり前だと思っていた。

歌うことが私にとっての幸せだったし、喜びだった。

よく母のピアノに合わせて歌っていた。


私が11歳になるまでは。



その日は雨が降っていて、視界がすごく悪かった。

私と母は近所のスーパーで買い物をして少し暗くなってきて帰っている途中だった。

たとえ東京と言えども田舎の町、ガードレールなどが整備されているわけではなかった。

その時、小さな子供が急に道路に飛び出してきた。

そこからの記憶はあまりない。気がついたら、子供は泣いていて、母は赤色に染まっていた。

子供の泣き声と雨が降り続ける音。どうしようもなかった。


そして、不幸の連鎖は止まることがなかった。

父の工場が倒産、しかも気の優しい父は従業員の借金の保証人になっていたらしく、

借金を背負っていた。きっとどん底に落ちたとはこういうことを言うんだろうと思った。

それから父はほとんど家に帰れなくなり、私は学校に行かなくなった。


この島に行くことになったのは、少しでも記憶を忘れさせた方がいいのではという父の配慮だった。



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