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悪魔と契約

 自分の一生じゃなく、私の一生をかけてという部分に、寿命の違いを感じる……のは、どうでもいいとして。

「私を、本当に殺さないの?」

「はい」


 あっさり頷き、アザグリールは続ける。

「もちろん、魂も取りません」

「本当に……?」

 疑いのまなざしで見ると、アザグリールは恥ずかしそうに頬を赤らめた。

「そんなに見つめられると、照れますね」

「……」


 ……ええ。

 この顔が真実で、本当に私を殺さない、魂をとらないのだとしたら。


 アザグリールが私に、一目惚れを……?

 ……いや、ないわ。

 あまりにも私にとって好条件すぎる。


「信じてないですね。従魔契約でも結びます?」

「!?」


 従魔契約。

 魔物と人が結ぶ契約で、その魔物は契約を結んだ人に逆らえなくなるという。


 そもそも、魔物とする契約を、悪魔としたらどうなるのかの前例はない……と思う。



 それをわざわざ持ち掛けたということは、やはり、何か狙いが……。

「原初の悪魔、アザグリールは」

 アザグリールは自分の口に親指を含むと、噛んだ。

 当然、アザグリールが口からだした親指からは、血が滴っている。

「ちょ、なにして……」

「ナツネ――あなたに忠誠を誓います」

 そう言って滴る血をなめとると、悪魔は、私にキスをした。

「っ!?」


 慌てて逃れようとしたけれど、手でがっしりと掴まれていて、頭が動かせない。


「ん、んー!!」 

せめてもの抗議のつもりで胸を叩くと、そのはずみで、唇の隙間がわずかに開いた。

その瞬間、舌が私の口にねじ込まれ、口内を蹂躙される。

これは、キスなんて生易しいものじゃない。

 喰われる……!?


「……っは、」


 ごくり、と鉄の味を飲み込むと、ようやく解放された。


「な、にを……」

 荒い息を吐きながら、アザグリールをにらみつける。

 対するアザグリールは、とても機嫌がよさそうだ。

「従魔契約、これで完了ですね」

「……あ」


 従魔契約を結ぶには、魔物の血液を飲む必要がある。

「俺はあなたに信用されて、あなたは俺から命の保証をえたわけだ」


 いやいやいや。

 高位悪魔を従魔にしたひとなんて聞いたことがない。

 こんなこと、世間に知られたらどう思われるか……。

 ……そういえば。


「時を止めただけと言っていたけれど……」

 学園長や教師陣は、無事かしら。


「あ、忘れていました」

 アザグリールがぱちん、と指を鳴らす。

 すると、学園長や教師たちの瞳に光が戻った。

「学園ちょ……」

 言葉は、最後まで言えなかった。

アザグリールを見ると、学園長も他の教師たちもみんな一目散に召喚部屋から逃げだした。


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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