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最終通告

――悪魔召喚。

 それは、代償と引き換えに願いを叶えてくれる悪魔と呼ばれる存在を、よび出す儀式をさす。その危険性からか、数ある魔法の中でも禁術として世界中で扱われてきた。


 ところが近年、私の国――バーベル国では、悪魔を頻繁に召喚する召喚術師が現れた。……とはいっても召喚するのは下級の悪魔で、願いの代償には、少量の自分の魔力をあてた。

 そんな召喚術師の台頭により、悪魔召喚に関する規制の緩和が行われ、悪魔召喚師は、わが国の主要な職業になってきた。


 そして悪魔召喚師を育てる名門、アザグリール学園きっての落ちこぼれと呼ばれる存在がいる。……そして、それが私だ。


「ナツ、次に悪魔召喚に失敗したら、あなたはこの学園を退学していただきます」

 学園長に呼び出され告げられたのは、最終通告だった。

「……はい」

 私がこの学園に入学して、一年。

 一年間、ずっと悪魔召喚を試しているものの、私はまだ悪魔一体たりとも召喚に成功していなかった。

「……まったく」

 呆れたため息を吐きながら学園長は、私を見つめる。


「ナツ、あなたには期待しているのですよ。この国一の魔力を持っているあなたに」

 この国の子供たちは、九歳を迎えるあたりで魔力検査を受ける。

 九歳以降、魔力の量に変化がないと言われているからだ。


 そして私はその検査で、類を見ない魔力量と判定され、それ以来、一流の悪魔召喚師になることが期待されていた。


 ……それなのに。

 十五歳を迎え、名門アザグリール学園に入学したものの、一年たっても悪魔は召喚できないまま。


 これでは、学園長が呆れたため息を吐くのも仕方がない。

「何とか言ったらどうですか」

「……申し訳ございません」

 俯く。

 それ以外に、泣かない方法が見つからなかった。


「……はぁ」

 もう一度大きいため息をついて、学園長は、私にもう退室していい、と指示を出した。



 学園長室をでるとにやにやとした女子生徒が行く手を阻んだ。

「馬鹿みたいに魔力だけはあっても、使えなければなんの意味もないわね!」

 そういう彼女の周りには、三体の低級悪魔がいる。

 ……うらやましい。

「……すみませんが、急いでいるので」

「まぁ、待ちなさいよ」

 彼女は、避けようとした私の肩を掴んだ。


「うらやましい目で見ちゃって。そんなに、悪魔が欲しいなら、私のをゆずってあげましょうか?」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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