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魔王  作者: 覧都


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第九十九話 力試し

「ぐあーはっはっはっーー、そんなことよりまずは力試しをしようではないかーー。おい、シジセイ行くぞ」


 ――ちょっと待てー、チョカイ、俺を差し置いて勝手に何をしようとしているんだー。

 と、思っているまに、臨戦態勢だ。


「いくぞーーっ!!」


 チョカイが滅茶苦茶嬉しそうだ。

 脳筋野郎め!!


 武器を納めたまま、素手で戦おうとしている。

 二人の美青年も、やる気満々だ。

 女のような美しい顔からこぼれる、狂気を含んだ笑顔が実力を物語っている気がする。


 ぐああああーーーーー。

 ごぶうーー。


 勝負は一瞬で決まった。

 二人共、腹に一撃をくらい、口からよく振ったシャンパンのように液体を吹き出している。

 そして、ゆっくり崩れ落ちるように膝をついた。

 二人の美青年の美しい顔が、苦虫をかみつぶしたような顔になっている。


 二人の美青年は、二人の吐き出した物が、足に少しかかったようだ。

 チョカイとシジセイはひざまずき、二人を見上げている。


「くそう、アド、オウブいけーー!!」


 チョカイが苦しそうな顔をして声をあげた。


「い、行くわけないニャ。先にダンジョンにいるのだから、相手の方が強いに決まっているニャ」


 そ、その通りだ。アドの奴、幼児のくせに賢い。

 しかし、驚いた。チョカイやシジセイは、俺たち世代じゃ、俺と同じくらいの強さだ。

 それをたった一撃とは。


「いや、試すような事をして済みませんでした。俺は魔王国の将軍見習いのオウブ、ひざまずいている太っちょの方がチョカイ、美形の方がシジセイ、そしてこのインテリっぽいのがリョウメイ、そして、子猫がアドです」


「くはーーーっ」


 美形の二人と、姫と呼ばれていた女が、赤い顔をしている。


「な、何をするニャーーー!! ぎゃははははーー」


「か、可愛すぎます」


 三人でアドを抱き上げて、全身を撫でています。


「や、やめるニャーー、おまたは駄目ニャー。おまたはアスラ様だけニャー」


 ドスン


 アドが床に落ちて頭をぶつけた。


「い、今なんと?」


「いたいニャー。突然手を、はニャすニャー」


「い、今なんて言いました?」


「お、おまた……」


「破廉恥じゃない方です」


 は、はれんちって……


「アスラ様だけニャ」


「そうです!! それです!!! アスラ様は私のお仕えする方のお父様の名前です。あっ、済みません。遅くなりました。私は王国聖騎士団第四番隊隊長エマ」


「私は、副隊長ライファです」


「わ、わたしは一般人のアンです」


 三人が思い出したように自己紹介をしてくれた。

 人間は、みんなこんなに強いのだろうか。

 一般人まで混ざっている。

 まあ、さっきは姫と呼ばれていた。

 身分を偽っているのだろう。


「今は大聖女イルナ様に忠誠を誓っております」


 ――なっ、なっ、なっ、なんだってーー!!


「イルナーーーーーーーーーッ!!!!!!」


 俺たち全員が腹の底から大声を出した。

 最早、魔人達の心の娘イルナ、チョカイがもう泣いている

 三人はまた我慢出来ないようで、アドを抱き上げると撫ではじめた。


「おまたはだめニャ……」


 アドが小声で言う。

 アドは目がとろんとして、なすがまま身をまかせている。

 アレかー! 自分より強い相手だから猫をかぶったのかー。

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