第百九十八話 救援要請
三人は誰が答えるのかと目を動かしました。
僕自体は恐くないのでしょうけど、後ろに並ぶ大将軍達は体も大きくて、筋肉が発達しています。恐怖を感じているのでしょうか、話し出せないでいます。
「今、上がっている、のろしは何ですか」
フォリスさんが質問してくれた。
「は、はい。あれは領都の緊急事態を伝えるのろしです」
リョウキさんが答えてくれました。
領都に緊急事態?
「まさか、天帝の騎士団ですか?」
「さすがは、魔王様!! ご慧眼恐れ入ります」
リョウキさんが悲しそうな顔で褒めてくれた。
のろしだけで、詳細は分からないはずですが、この状況で領都が危機に陥るのなら、天帝の騎士団しかいません。
奴らは最悪です。暴徒と同じです。
略奪、虐殺何でもありです。領都が大ピンチですね。
この三人が焦るのも無理はありません。
「俺たちが、王国の為に戦っているのに、手薄になった領都に襲いかかるとは、許せない!!」
バルゼオさんが、怒りの表情で声を上げた。
「ま、魔王様、私達はどうなってもかまいません。ライファ様を助けて下さい」
バルレノさんが涙目で訴えかけてきます。
助けて下さいと言われても、今まさに魔王軍はあなた達に、こてんぱんにやられた所ですよ。
「ラ、ライファ様!?」
僕の後ろの大将軍達がザワザワしている。
「その、ライファさんがどうしたのですか」
やさしく聞いて見た。
僕だってちゃんと憶えています。
ちょっと目つきの悪い、イルナお気に入りの女騎士ですね。
「移動魔法で領都に単身で戻ってしまいました。領都には守備兵三千人、聖騎士五百人がいるだけです。急がないと全滅してしまいます」
バルレノさんが焦りを隠しきれず、早口で訴えてきます。
「ふふふ、仕方が無いですねえ。ですが、この戦を停戦して応援を出すなどというわけにはいきませんよ」
「我ら、バルビロ軍十万、魔王様の軍門に降ります。今思えば最初から、そうしておけば良かった。天帝の勇者が国をのっとった今、王国はもはや悪逆非道の国、忠義を尽くす価値のある国では、なくなってしまいました」
「領主様の許可無く、その様な決断をしてもよろしいのですか?」
「はい、それは大丈夫です。わけは領都の居城にてお話しいたします」
バルレノさんが寂しげに答えました。
何か事情があるようです。
「ふふふ、僕の最後の策が無駄になってしまいましたね。良い決断をした皆さんを、アスラ魔王国の一員として歓迎いたしますよ。ジグリオさん!! 皆の姿を見せてあげて下さい」
魔王軍の一員になったバルビロ軍に、最早隠す必要も無いので僕の秘策を披露することにしました。
少し反則気味なので、出来れば使わずに、魔王水軍で勝ちたかったのですが、情けないことに、魔王の艦隊は、何もしないうちに壊滅してしまいました。
「ピーーーーーッ」
ジグリオさんが高い、超音波のような声を出しました。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」
バルビロ水軍十万の喚声があがりました。
そうですこれが、魔王の最終奥義です。
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