表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王  作者: 覧都
196/208

第百九十六話 開戦

「うううーーむ」


 なかなか攻撃開始の合図が上がりません。

 さすがのリョウキ様も心配になってきたのでしょうか。

 うなっています。

 夜明けまで二時間を切ったように感じます。

 全ての段取りが終っているので、私もリョウキ様も、もう何も手出しが出来ません。ハラハラしながら待つばかりです。


「おっ、おおおーー」


 とうとう合図の火矢が一筋夜空に上がりました。

 河に赤い線が浮かび上がります。

 兵士が矢に火を付けたのでしょう、河がぼうっと弱く光り出しました。

 その光がふわりと宙に浮かびました。

 浮かび上がった、光がスッと下に落ちると、恐ろしい勢いで赤く光り出します。

 対岸に赤く高い壁が出来たみたいです。


「ここまでは完璧です。あとは火が消えたあと魔王軍を全滅させることが出来るかどうかです」


 私は、呆然と真っ赤な炎を反射する水面を見つめています。

 ユラユラと揺れる赤い水面は口には出せませんが、とても綺麗に感じました。






「大変ニャーー!!!」


 魔王城の魔王の寝室に可愛い幼猫が入ってきました。

 僕は、大魔王ですが、体は小さいです。

 ベッドは、歴代の魔王のサイズなので巨大です。

 その巨大なベッドの入口側の端っこで、ちょこんと小さくなって眠っています。


 当然一人で眠ることは出来ません。

 枕元にクザンとシュラさんが控え、入り口には警護担当のメイドさんが二人。

 窓にも二人ずつ警備担当のメイドさんが立っています。

 そして、ベッドの対角線上の反対側にフォリスさんが眠っています。

 僕の位置からだと、フォリスさんは一回り小さく見えるほど遠くにいます。


「あっ、アドじゃないか」


「ふひひひ」


 アドが可愛かったので全身をワシワシ撫でます。


「アスラ様!!」


「うわっ!」


 フォリスさんが、すごい怒りの表情です。

 そうでした。

 アドの見た目は可愛らしい幼猫ですが、本当は大人の女性なのでした。


「もっと撫でていいニャー」


 上目遣いで見つめます。

 くっ、かわいい。


「アドさん、何か慌てていませんでしたか?」


 フォリスさんが、冷たい口調でアドに話しかけます。


「そ、そうニャ。のんきに眠っている場合じゃないニャ」


「なにがあったのですか?」


「ふふふ、大変なことが起っているニャ」


 そう言ったアドの目は薄暗い寝室であやしく光った。




「な、なにーーっ!」


 僕は戦場の魔王本陣に移動した。

 目の前が真っ赤に輝いている。

 出来たばかりの艦隊が、ゴウゴウ音を立てて燃えている。

 魔王本陣は河から少し離れています。ですがここまで、炎の熱気が伝わってきます。


「へ、兵士は大丈夫ですか?」


「たまたま大丈夫だったニャ、疫病で全員が陸に上がっていたニャ」


「疫病ですか?」


「原因不明の下痢で苦しんでいるニャ」


「エリクサーでは治らないのですか」


「やってみたけど駄目だったニャ。体力は戻るけど、下痢自体は治らなかったニャ」


「ふーーっ」


 ため息が出ました。

 まさか、この疫病まで敵の策略なのでしょうか。


「怒らないのかニャ?」


「ふふふ、怒っていますよ。でももう、ここまでやられれば、相手が悪かったと諦めるしかありませんね。まさか東風まで吹かせてしまうとは……」


「そんなもんかニャ。慌てて損したニャ」


「ふふふ、ですが勝負はまだついていません。これからです。ジグリオさんはいますか?」


「はい、アスラ様! ここに!」


「指示があるまで待機していてください」


「はい、わかりました。ふふふふっ」


 ジグリオさんが意味深な笑いをして本陣を後にしました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ここから反撃、でしょうか。 続きが気になるので応援させていただきます! [一言] 評価を入れさせていただきました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ