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魔王  作者: 覧都
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第百九十一話 謎の行動

「理由は二つ有ります。想像して下さい。この、明るくなった今、ヌルの油身を流し、どの様に火を付けましょうか」


 私は目を閉じ、魔王軍の艦隊のまわりにヌルの脂が浮かんでいる様子を思い浮かべました。


「そこに火を付けようと近づく、ふふふ、そんなことは出来ませんね」


 私が答えると、リョウキ様は嬉しそうにうなずきました。

 まるで先生が生徒から、正解を引き出したような笑顔です。


「二つ目は風向きです。それでも、なお火計を強攻したとして、西風が吹く今は、我軍が風下です。火を付ければ巻き込まれ、少なからず犠牲が出てしまうでしょう」


「そうか!! ヌルの身は激しく燃えるのですから……では、リョウキ様は、どの様にこの火計を成功させようと考えていたのですか?」


「そうですねえ。本当は極秘なのですが、使えない今、隠す必要も無いでしょう。……ふふふ、お話ししましょう。私がこの火計をどの様に成功させようとしていたのかを」


 リョウキ様はまた、恐ろしい笑顔を浮かべました。


「は、はい。是非お聞かせ下さい」


「まず、あと数週間で風向きが変わります。季節が変わる為、北風になるのです。本当は東からの風が良いのですが、これは気まぐれで、いつ吹くか分かりません。そんな物は神様の悪戯で、あてには出来ません。もし、吹いたとしたのなら神風です。そして、真夜中、音も立てず近づき十万本の火矢で一気に火を付けます。簡単ですよね、狙う必要は無いのですから。魔王軍の方向へさえ打ち込めば良いのです。そして、燃え落ちる魔王軍の艦隊を見つめ、夜明け、火が消えたのを確認し突撃をかけるのです」


 リョウキ様から答えを聞けば、簡単に感じます。でも、それを成功させる為の準備や、風向きが変わることなどを計算に入れて、実行するのは容易ではありません。


「す、すごいです。燃え落ちる魔王軍の艦隊が目に浮かびます」


「ふふふ、机上の空論になりました。今、魔王軍が攻めて来れば、この計略は使えません」


 いまいましそうに、リョウキ様が歯を噛みしめました。


「リョウキ様。このまま戦いが起これば勝算は無いのでしょうか」


「いいえ、全く無いとは言いません。ですが、あの立派な闘艦に三十万の兵士は脅威です」


「……」


 私は、無言でうつむいた。

 きっと、壮絶な戦いが繰り広げられるのでしょう。

 ブルッと体に震えが起きました。




「リョウキーー!!!!」


 バルゼオ様の声が近づいてきます。


「どうなされました」


「どうなされましたじゃねえ!! いったいどんな策略を使った!」


「はっ?」


「ま、魔王軍が、全員船から下りている」


「えっ」


「えっ、じゃねえ。何をしたのかと聞いているんだー」


「私は、何もしていません。ふふふ、何故か分かりませんが、運がこっちに向いて来たようです。それも、これも我軍に戦女神がいるからかもしれませんねー」


 リョウキ様がそう言うと、バルゼオ様が私の顔を見つめてきた。


「ちげーねー。こっちには戦女神がついている。運も味方になるはずだ」


「えーーーっ、待って下さい。戦女神はやめて下さい。お、恐れ多いです」


「わあーーはっはっはっ、ここだけの話ですよ」


「そうそう、ここだけの話だ!」


「絶対ですよ。本当にやめて下さいね!!」


 翌日には、私の事を全軍が戦女神と呼んでいた。

 何と言うことでしょう!!!

 でも、いったい何故こんな有利な状況で、魔王軍は攻めてこなかったのでしょうか?

 分かりません。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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