表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王  作者: 覧都
185/208

第百八十五話 汚いおっさん

「ロホウさーーん!」


「はっ!!」


 大河の西岸の本陣の中で返事がします。


「闘艦が完成しました。いよいよ戦いが始まります!」


「そうですか」


 返事は淡泊ですが、ロホウさんの表情が少し明るくなった。

 これまでずっと、いつ襲いかかってくるか分からない、バルビロ領兵との長いにらみ合いに、疲れているのかもしれません。


「少し見張り台に、のぼってもよろしいですか?」


「ふふふ、大魔王様がなさりたいことを邪魔する者などおりません」


 ロホウさんの手が櫓を示してくれました。


「ありがとうございます」


 とはいえ、僕は決して偉そうにはしません。

 それをしてしまうと、増長して暴君になってしまいそうだからです。

 家臣にもちゃんと丁寧に御礼が言える、そんな大魔王なのです。

 天帝の勇者とは違うのです。




「ふふふ、この櫓はしっかり作られていますね」


「はい、時間もありましたから太い木でしっかり作ってあります」


 櫓の高さも頑丈さも、前の櫓とは大違いです。


「あああーー、やばい」


 櫓にのぼるとすぐに恐怖に襲われました。


「えっ!?」


 ロホウさんが僕の言葉に驚いています。


「い、いつからですか?」


「な、何の事でしょうか? 何の事かわかりません!」


 ロホウさんが少し慌てています。


「す、済みません。なんの事かわかりませんよね。風です。風が弱いのです」


「風ですか?」


「はい、前回のぼった時にはスカートがまくれ上がる位の風がありました。でも今は髪が少し動く程度です」


「……」


 ロホウさんはまだ良く理解が出来ないようです。


「ロホウさん、魔王軍の船は帆船です。風で動くのです」


 まだ、少し西風は吹いていますが、随分弱々しくなっています。

 いよいよ急がないといけないかもしれません。

 もし東風にでもなった時には、戦う前から負けてしまいます。




「ジュウドウ!」


「はっ」


 僕は櫓の上にロホウさんを残し運河に戻りました。


「闘艦を移動魔法で、戦場まで移動するのはシャドウに可能でしょうか」


 僕は出来上がった闘艦を見て、どうやって運ぶのかを思案している。


「これだけ大きな物は、シャドウには難しいかと」


「そうですか」


 となると、僕の魔法ですか。

 今日の夜中に頑張って見ますか。

 何隻かまとめて移動出来るといいのですが。


「おーーい、アスラ殿ーー!!」


「ああ、爺さん」


 僕とジュウドウの姿を見つけて、爺さんがやってきた。


「はーーっ、はーーっ」


 爺さんは走ってきた為か、息を切らせている。


「何でしょうか? そんなに慌てて」


「ちと紹介したい奴がおってのう」


「誰ですか?」


「この者じゃ!」


 爺さんが後ろから走ってくる、汚い服を着てバサバサの髪の男を紹介してくれた。


「だ、誰ですか?」


 僕と汚い男の声が合わさった。


「誰ですかでは無い、この方こそがお前が会いたがっていた大魔王様じゃ!!」


「えーー! この女の子がーー!!!」


 そうです。女の子の格好をした僕が大魔王なのです。


「ば、ばか者!! これこそが世を忍ぶ大魔王様の仮の姿じゃ!」


「なるほど、世を忍ぶ事が完璧に出来ています。とても可愛らしい。提督に言われなければ絶対に信じられません。うん、すごい」


 すごい勢いで見てきます。

 臭い吐息が顔にいっぱいかかります。


「こ、こら!! さっさと自己紹介をせんか!!」


 そ、そうだ、そうだ、いったい誰なんだよお前は!!

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ