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魔王  作者: 覧都
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第十七話 悪だくみ

 祭壇には多くの花が生けてあり、左右に四本の太い石柱が立っている。

 左側の二本の柱が勇者を表わして、右側の柱は聖女を表わしている。

 柱の上には玉が飾られていて、この玉が勇者の存在を光ることにより示す。

 昨日まで一番左の柱の上の玉が黄色に光っていたが、今はその光が消えている。

 その横の柱の玉は青色に光ったままだ。


「天神の勇者がこの世から消滅したと言うことですな」


「アスラめ、砂漠の難攻不落のダンジョンで死んだのだな」


「ふははははは」


 俺と教祖は腹を抱えて笑った。

 そういえば、教祖がアスラを嫌っていたのは、この神殿で教祖が、幼女を襲っているところを見つかり、足の骨を折られてからだったな。

 いずれにしてもお互いの目の上のこぶがいなくなってせいせいした。


「ふふふふ、奴を殺す手間が省けたな」


 そうは言ったが、アスラがいなくなると、共通の敵がいなくなる。

 教祖は次に俺をおとしいれにかかるに違いない。

 うかうかしてはいられないな。


「次は国王ということですかな」


 すごく小さな声で教祖はつぶやいた。

 その顔は、暗く陰湿で、俺ですら背筋に冷たいものが走った。

 だが、俺もせっかくこの世に力を持って生まれたのだから、もっと楽しく暮らしたい、国王など邪魔なだけだ。

 まあ、国王の次はお前だがな。

 どうせ教祖も同じ事を考えているのだろう。わかっている。


「ふふふ、聞こえなかった事にしておくよ」


 俺は神殿を後にした。




「せあーーーーっ」


 武闘家フォリスさんの気合いの入った一撃が入った。

 このダンジョンのボスが魔石に変わる。


「一応回収しておきます」


 俺は収納魔法で拳くらいの魔石を収納した。


「おいら疲れちまったよ」


「ふふふ、じゃあ一度地上に出て、町に戻り休日をとりますか」


 S級冒険者が、三十階層までしか通用しないダンジョンで、行動不能のボスモンスターとは言えフォリスさんは、ボスを倒すまでに成長してくれた。

 イルナも同じだけ成長している。

 俺にとっては順調すぎて言うことは無い。


 移動魔法で船の自宅に移動した。


「おお、アスラ殿!!」


 船に戻ると爺さんが寂しそうに酒を飲んでいた。


「じいちゃん久しぶりー」

「お爺さま、お久しぶりです」


「爺さん、しょぼくれているじゃねえか、なんかあったのか」


「アスラ殿は知らないのですか、国王が亡くなったのです」


「えっ」


「ふふふ、王国は、天帝の勇者が押す第一王子派と教祖が押す第二王子派に分かれ内紛状態です」


「ほう」


 国王が死んだのは大変と思ったけど、内紛の話になると急に興味が無くなった。

 特に天帝の勇者や教祖の話になると余計に感心が無くなった。

 あいつらのことは心底どうでもいい。


「まあ、わしも内紛には興味が無いのだが、この街の西にトロールが出ましてな。これを退治する兵士の派遣を頼んだのだが、全然相手にされんのだ。このままでは町が壊滅する」


「ほ、本当か、大変じゃねえか」


「父ちゃん、町の為ならおいら、まだ動けるよ」


 フォリスさんの顔を見たら、やる気十分の顔をしている。

 俺たち四人は、すぐに町に向った。


 町は破壊が進み、人の気配がなかった。


「爺さん、皆殺されてしまったのか」


「いや、隣町に避難しておる」


「冒険者はどうしたんだ。こんな時の為にいるはずだろ」


「こんな小さな町には、小さなギルドしか無い。冒険者も避難している」


 小さな町の小さなギルドにはせいぜいB級冒険者がいればいいほうで、人数も少ない。戦ってもけが人が増えるだけということだろう。

 トロールの姿を探したら、町の中央公園で噴水の水を飲んでいた。


「どうじゃ、すごいだろ」


「そうだな」


 二階建ての家を軽く壊せそうな程の大きさだ。


「あの、アスラ様、わたし一人で戦ってみたいのですが……」


 フォリスさんがキッと眉をつり上げて言ってきた。


「いえ、そうはいきません。二人はまだまだ成長途中です。ケガをするといけません」


 フォリスさんがすごくしょんぼりしている。


「とはいえ、ここまで良く鍛錬しています。俺の後ろにいて、安全だと思ったら前に出て戦ってください」


「はい!!」


「だ、大丈夫なのか」


 爺さんが驚いている。


「爺さん心配するな。この二人はもっとすごいモンスターと戦っている」


 自信満々の、フォリスさんとイルナの姿を見て、爺さんは目を見開いて驚いていた。

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