表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王  作者: 覧都
153/208

第百五十三話 決意の光

 王国騎士団の兵士は、半分弱が動けるようになりました。


「ギールさん王国騎士団に、どういう生き方を望むのか決めさせて下さい。そしてあなた自身の生き方も決めて下さい。ついでに言っておきますが、魔王はあなたの生きたいという心を大変喜んでいます」


 私は嬉しそうに微笑む少女が、まるで魔王様のように見えました。

 ギール様はもう泣くことを隠さず、声を上げて子供のように泣いています。

 私も泣きそうです。

 とてもつらかったのだと、強く感じました。


「なあ、アド……さ……ま、教えてくれ、もし、俺が魔王様に降伏したら、どういう扱いを受けるのだろうか?」


 領主様はアドちゃんをどう呼んで良いのか苦しみ、アド様を選んだようです。

 アドちゃんが氷のような冷ややかな目を、領主様に向けました。

 そして、私に今までより強く体をすり寄せてきました。

 まるで撫でることを要求しているみたいです。

 私は要求に応じるように、全身をなで回しました。


「うひゃひゃひゃひゃ!! ラ、ライファ撫で過ぎニャ!! 仕方が無いニャ。アドはライファに撫でられて超ご機嫌ニャ。その質問にだけ、魔王の七大将軍の一人として答えてやるニャ」


「えっ、七大将軍!!」


 私と、領主様、イゴウさん、戦場からようやく矢を取って来た兵士と、まわりに控えている兵士達が驚いた。

 矢を取って来た兵士は、「どうですかこんなに速く取って来た」と、自慢そうですが、私と領主様の手に矢があるのを見て、もう一度目玉が飛び出すほど驚いています。


「ライファ、手が止っているニャ。――魔王様は寛大なお方ニャ。でも、嫌いなことがあるニャ。それは無駄死にと、民を苦しめる事ニャ。お前が、民を苦しめるような政治をせず、兵士が死んでいない今なら、歓迎されるはずニャ。アドが口添えをしてやってもいいニャ」


「……」


 領主様は目を閉じ押し黙った。

 しばらく、考え込んでいるようです。


「クザン、左翼と右翼に攻撃命令を!!」


 少女が声を上げた。

 本陣で赤黒い鎧の兵士が旗を上げ、大きく振った。


「オウブ軍出撃!!!」


「シジセイ軍出撃!!!」


「うおおおおおおおおーーーーーー!!!!」


 初めての魔王軍の攻勢です。

 大きな喚声が上がります。

 中央に多くの王国騎士団がいる為、魔王軍は大きく左右に迂回して、デイラ領兵に向ってきます。


 領兵は領都の前で盾を構え、襲いかかる魔王軍に備えます。

 デイラ領自慢の魔法攻撃隊は、魔王軍本陣に照準を合わせている為、左右から向ってくる魔王軍には、機能しません。

 ここで、一か八かの魔法攻撃を魔王軍本陣に仕掛ける事も出来ますが、その場合せっかく復活した王国騎士団を巻き込み、多くの兵士の犠牲が出るでしょう。


「左翼が、オウブさん、右翼がシジセイさんですね。出番が来て張り切っていますね」


「ま、まさか、ライファさんはあの二人とも知り合いなのか!?」


 領主様はまた大きく驚いています。


「えっ!!」


 私はそんなに驚かれるとは思わず、逆に自分が驚いた。


「にゃははは、知り合いも何も、アドもオウブもシジセイも、ライファを恐れているニャ。アドが恐れた人物は、魔王とフォリスとライファとエマだけニャ」


「くはははは、ライファ様参りました。領都内の領兵の、家族の警護をお願いしてもよろしいですか?」


 領主様はふたたび私を様呼びします。

 でも、私はそれを受け入れることにした。

 領主様の目に決意の光が宿っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ