第百五十一話 一騎打ち
「チョカイ! 敵将を生け捕れー!」
魔王軍本陣から、また低い声が響きました。
中央の魔王軍の兵士が二つに割れた。
花道が出来ると、チョカイさんは閉じていた目を見開き、ぎょろりと目玉を動かし、ギール様を見つめました。
「はやい!!」
領主様が驚いている。
チョカイさんは猛烈な速さでギール様に近づきます。
それを防ごうと王国兵が行く手を邪魔する。
「ぎゃああああーーー!!!」
悲鳴と共に、兵士の体が吹き飛んだ。
チョカイさんの棍が振られる度に、数十人の兵士が吹き飛んだ。
「わが名は魔王軍七大将軍の一人、チョカイだーー!!」
ギール様の前に出ると、名乗りを上げた。
「わが名はギール、王国騎士団二番隊隊長である」
ギール様も名乗りを上げ、チョカイさんの前で槍を構えた。
「あれはチョカイさんね。懐かしい」
私は、ダンジョンであった日のことを思い出して、つい口に出してしまった。
「ラ、ライファさんはあの化け物の様な、魔王軍の大将軍と知り合いなのか」
領主様が驚いている。
「一度ダンジョンで戦った事があるだけですわ」
「た、戦っただとーー!! そ、それで勝敗は?」
「うふふ、その時は私の圧勝でした。腹に拳を入れたら膝を突いてもどしていました」
「なっ、なにーーっ」
「そんなに驚かないで下さい。きっと今はチョカイさんの方が強いはずです。たまたま、一時的に強かっただけのことです」
「い、いや、それでもすごいことだ。ライファ様はすごい」
「や、やめて下さい。領主様に様付けされては恐れ多いです。ちゃん付けでお願いします」
領主様はブンブン首を振っている。
領主様はいつの間にか、ちゃん付けから、さん付けになり今度は様付けになっている。
キン、キン、キン
チョカイさんはギール様の攻撃をこともなげに、棍で受け流します。
「うおおおおーーーーっ」
ギール様が気合いと共に渾身の一撃をくり出しました。
チョカイさんはそれを体さばきでかわすと、ギール様の体が伸びきったところで槍をつかむと、ギール様の体をグイッと宙に飛ばした。
ギール様の体は十メートル程宙に舞い、地面に叩き付けられた。
「げふっ」
ギール様の口から音が漏れると動かなくなった。
「くそーー、隊長のかたきだー、死ねーー」
王国兵がチョカイさんにおどり掛かった。
チョカイさんが棍を振ると、王国兵の体は花びらのように宙に飛び散った。
「アド、忍術を解禁する。フォルスと共に敵兵をアスラバキせよ」
ふたたび、本陣から低い声が聞こえた。
「ぎゃああああああああーーーーーっ!!!!!」
二万ほど残っていた王国兵が悲鳴を上げる。
王国兵の中に無数の黒い影が動くと、次々王国兵はたおれていく。
「なっ、なんですかあれは、アドちゃんが何人もいます」
「えっ、ライファさんには、なにが起きているのかわかるのか」
「はい、アドちゃんという幼女が分裂して、恐ろしい速さでアスラバキをしています。そしてフォルスという少年でしょうか、一人なのにアドちゃんに負けない位の兵士をアスラバキしています」
「アドちゃんということは、知り合いなのか?」
「はい、かわいい猫耳幼女だったので、抱きしめてなでなでしました。こんなにもすごい子だったのですね」
「あーーーはっはっはっ!!」
領主様は腹を抱えて笑い出しました。
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