第百四十六話 王国騎士団の脅威
「おい、焦りすぎだ。落馬するぞ」
防壁の東門に、王国騎士団の先発隊が着いたのは、軍議が終り昼食を済ました後だった。
門の警備の衛兵に騎馬隊は止められます。
「何者だ!!」
「ふふふ、俺はこたびの戦争の総大将を務めるザビロ様だ。すぐに領主を呼べー!!」
領主様と私は城門の上から、ザビロの姿を見下ろした。
ここの領主デイラ様と王国騎士団の隊長では、領主様の方が身分は高い。
だがザビロの態度が悪い、何かありそうです。
「俺が領主デイラだ。王国騎士団に援軍を頼んだ覚えは無い。邪魔なだけだ帰ってもらおう」
騎馬隊は、ザビロを先頭に五百騎程が並んでいる。
どいつも、人相が悪く、ニヤニヤして気味が悪い。
ザビロの手勢だろうか。
「ちっ、田舎領主風情が偉そうに、これを見ろ」
ザビロが、一枚の封書を出し衛兵に渡した。
領主様がそれを受け取ると、封蝋のしてある正式文書だった。
内容は、戦場においてザビロに、国王と同等の権限を与えるという内容だった。
ご丁寧に玉璽まで押してある。
ザビロは国王の宝剣を抜き、ニヤニヤしている。
領主様はザビロの前に進み出ると、臣下の礼をとった。
私は領主様にならった。
「ひゃあーーはっはっ、俺がここでは、国王だー! 野郎共、お宝は後だ、最初は五百人の処女だー!! いけえーーー!! 一番の美人は俺のもんだー」
ザビロが、背筋の寒くなることを言いながら、配下と共に領都へおどり込んだ。
これを楽しみに必死で騎馬を走らせてきたようです。
「いけねえ、ライファちゃん、こいつらの狙いは、あんたの部隊だ!!」
「皆さんは、静観していて下さい。手出しをすれば、どんな災難が降りかかるかもしれません」
私が領主様と領兵に声をかけると、悲壮な表情になった。
「う、うむ。すまねえ。勅令の前じゃあ俺たちは手が出せねえ」
国王の権限をもった盗賊団のできあがりです。
「やれやれです」
「呼びましたー」
「!?」
シュドウからここの状況を聞いてくれたのでしょうか。
イルナ様が呼んでもいないのに来てくれました。
「私の可愛い聖騎士に、酷いことをしようとしているのですから、相応の罰を与えなければいけませんね」
「その声は、大聖女イルナ様ですか」
領主様はイルナ様の声がわかるようです。
姿は、聖騎士の服を着て、顔は布を巻き隠しています。
「違います。イルゾーです。ライファさん、何をしているのですか行きますよ!」
「ふふふ、俺たちは、城壁の上から見学させてもらうぜ」
領主様に笑顔が戻った。
ザビロの騎馬隊は街の中央に進みましたが、私達の駐留している場所は、門をそのまま左に曲がった先にあります。
まだ当分かかりそうです。
私達の駐留先は、四方を壁に囲まれた居住区で、入り口が四カ所ある。
正面の門に移動魔法で移動すると、顔を布で隠した聖騎士が二人いる。
「あの、」
私が呆れて声を出すと、勝手に名乗った。
「私はアンゾーだ」
「わ、私はエゾーです」
エマ姉は、言い慣れていないのか少し恥ずかしそうだ。
「はい、ライゾーさんこれを!」
リアン王女が、私に布を渡してくる。
「わ、私もやるのですかー?」
「当たり前です。守護神覆面四騎士なのですから」
イルナ様がノリノリです。
「バカヤロー!!、道を間違える奴があるかーー!!」
ザビロが怒鳴りながらやってきました。
「ここです!!」
「聞けーー!! 女聖騎士共ー!! これから始まることは、俺たちが内緒にしておいてやる。おとなしく従えーー。そうすればー、痛くしないでやるーー!! げひひひひー」
ザビロが気持ち悪い下品な顔をしてニヤニヤしながら言いました。
少し口からよだれが垂れています。
「やかましー下郎!! 痛い目に遭いたくなければ、大人しくお家へ帰れー!!」
イルナ様が叫びます。
あんまり迫力がありません。
何だかかわいらしさが抜けていません。
「なんだー! てめえらは?」
「我らは、聖騎士の守護神、覆面四騎士だ」
「ぎゃーーはっはっはっはっはっはー!!!」
盛大に笑われました。
おおいに恥ずかしいです。
「まずは、この馬鹿共から血祭りに上げろーー、かかれーー!!」
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