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魔王  作者: 覧都
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第百三十話 厄介ごとの予感

「これはうな重と言うのじゃ、飲み物は梅酒を用意した。ささ、味わってくれ」


 王様が真剣な顔をして進めてきた。


「うっ……」


 その言葉と共に、食べ始めたフォリスさんとアドが、うなっただけで何も言えなくなった。

 僕は、恐る恐る蓋を開けると、まずは美味しそうな香りを楽しんだ。

 そしてご飯の上に乗った茶色の身とご飯を一緒に食べた。


「おいしい」


 思わず小声になった。

 柔らかい身から大量の油がでてきて、口の中が濃厚な油で一杯になり、身が口の中でとけていく……。

 しばらく感動で動けなくなった。


「こんなに美味しい物があるなんて奇跡です」


 フォリスさんも感動しているようですね。


「お替わりニャ」


 アドはもう食べ終わったようです。


「陛下、お願いがあります」


 僕は我慢出来なくなった。

 ニコニコして上機嫌の今のうちに、無理とは思いますが王様にお願いをしようと思った。


「なんじゃ? アズサちゃん」


「稲の作り方を教えていただけませんか?」


「ふふふ、だめじゃ」


「くすっ、でしょうね」


 さすがに、教えて貰えるわけがありませんね。


「と、言いたいところなのじゃが……。こちらの頼みを聞いてくれるのなら教えてもよい」


「えっ」


 僕は一瞬笑顔になりましたが、どうせ厄介ごとだと思って表情がすごい勢いで曇っていく。


「北の国境に、青龍八頭が住みつき、盗賊と共に砦を作りおった。どうじゃろう、退治をして貰えないだろうか」


「……」


 僕は、ドラゴンとは一度戦った事がある。

 あの時は赤龍だったので、あまり参考にはならないかもしれませんが、稲と交換なら無理をする価値はあります。

 魔人達が幸せそうな顔をして、丼やお寿司を食べている顔を思い浮かべると、やらないわけには行きません。


 それに、うな重は絶対イルナと一緒に食べたい!!


「やはり駄目じゃろうかのう。うちの騎士団でさえ歯が立たぬ相手じゃからのう」


「やらせていただきます。いいえ、やらせて下さい」


 僕の言葉を聞いて、チガーさんとレオナさんが、すごく驚いてこちらを見た。


「いくらアズサ様でも駄目です。相手が悪すぎます」


「うふふ、まずは見るだけ見せて下さい。強すぎる様なら諦めます」


 僕は、フォリスさんとアドの方を見た。

 二人は、うな重のお替わりを凄い勢いでかき込みながら、目だけはギラギラさせて、僕を見つめて来ます。

 やる気十分なようです。


「あの、私もお替わりお願いしてもよろしいですか」


 僕も食べ終わったので、お替わりをおしとやかに頼んだ。


「す、すまんのう。あの二人が3回お替わりをしたので……」


「えーーっ!!!」


 まさか、これで終わりとは、世界の終わりぐらいのショックです。


「いやいや、いまから焼くのでしばらく時間がかかるという事じゃ。この世の終わりみたいな顔はしなくてもよい。可愛い顔が台無しじゃ」


 うわーーっ、はずかしい、僕はこの世の終わりみたいな顔をしていたらしい。

 でも、そんな顔をするだけの価値のある食べ物だと思いました。

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